ゲスとちんこと女神さま
ここはとある世界のとある国のとある村の近くの小さな池。
今日も池の周辺は沢山の人で賑わっています。
元々はちんこの活躍で悪い魔法使いを駆逐した王国の家臣たちが、ちんこの活躍を称えるために、ちんこの像を池のほとりに建てたのが始まりです。
ところが、リアルなちんこ像を目の当たりにした人々、特に淑女の皆様は、ついつい夜の天下一武道会を夢見てしまいます。
夢見る淑女は、いそいそと帰宅した後は夕食もほどほどに、お相手をベッドにお誘いしてしまいます。
いつもよりも積極的な淑女に紳士も劣情の炎に身を焼かれ、ついつい目の前の生贄をむさぼる野獣と化してしまうのです。
ぱんぱんぱんぱん
あんあんあんあん
おぎゃあおぎゃあ
こうして、ちんこの像は『子宝祈願』のご神体として祀られるようになりました。
しばらくの後、池と村はある不幸に襲われてしまいます。
きっかけは池のポストに投函されていた『ピザの宅配チラシ』でした。
チラシをテーブルの真ん中に置き、どのピザを注文しようかとあれこれ楽しく悩むちんこと女神さま。
お賽銭箱の小銭合計を鑑み、セットのトッピング割引率を計算し、予算内で最もお得なピザを決定したちんこと女神さまは、勇んでピザの注文をすべく電話をしました。
ところが、電話の向こうからアルバイトの店員さんが返してきたのは「池は宅配エリア外です」という無情な回答。
女神さまは深く悲しみました。ちんこは怒りに我を忘れました。
こうして村は、いつやまぬとも知れない雨と、猛り狂った巨大ちんこの猛威に晒されてしまうことになったのです。
壊滅寸前の村を救ったのは、やり手の村長カズくんと、カズくんの愛人でちんこの宿主であったアドニスくんでした。
アドニスくんの機転により、ちんこは我を取り戻し、女神さまとちんこは仲良くピザを二枚も楽しむことができたのです。
その後、食べ慣れないオリーブオイルと大量のチーズにお腹をやられてしまったちんこと女神さまは、繰り返しお腹を襲う苦痛と、ピザで摂取したカロリーを消費する名目で堪能するはずだった夜の部を失ってしまった悲しみに襲われてしまいました。
その結果、村はおろか、王国中が、ちんこが召喚した雷鳴と女神さまが召還した豪雨に蹂躙されてしまったのです。
こうして、ちんこと女神さまは『崇神』として祀られるようになり、いくつもの祠が池の周辺に建てられ、様々な供物がお供えされるようになったのです。
あるとき、ちんこが悪い魔法使いの塔から救った姫さまが、王国財政再建のためにやり手の村長であるカズくんを強引に自らの婿に引き入れようと画策しました。
この策略はアドニスくんの願いを受け入れたちんこの活躍によりとん挫し、姫さまはお付きのメイドとともに池の祠に幽閉されたのです。
姫さまの手には、アドニスくんから奪った『ちんこがなくなる指輪』がありました。
戯れに姫さまが『ちんこがなくなる指輪』をはめてみると、何ということでしょう。
元々ちんこがなかった姫さまに、ちんこが生えたのです。
ちんこが生えると同時に、姫さまはメイドの生足や胸元に劣情をもよおしてしまいます。
姫さまとメイドのリリィは交互に指輪をはめ、互いにお願いをしました。
「ねえリリィ、先っちょだけ」
「姫さまお願いです、先っちょだけ」
ぱんぱんぱんぱん
あんあんあんあん
あんあんあんあん
ぱんぱんぱんぱん
こうなると、当然指輪なしにも挑戦です。
あんあんあんあん
あんあんあんあん
こうして怠惰な生活をリリィと送っていたアイリス姫さまですが、どうしても叶わぬ組み合わせを試してみたくなってしまいます。
それはつまりこういうこと。
ぱんぱんぱんぱん
ぱんぱんぱんぱん
でもこれは指輪が一個しかない状態では叶わぬ夢。
ところが奇跡が起きたのです。
実はアイリスとリリィが幽閉されていたのは『ガチホモの祠』だったのです。
それは『ガチホモの日』に起きました。
大量のガチホモが祠を訪れたのです。
指輪をしていなかったリリィは女人禁制とばかりに祠から追い出され、指輪をはめていたアイリスは本日のメインディッシュよろしく白褌一丁に着替えさせられ、おしくらまんじゅうに投下されました。
こうしてアイリス姫の夢も叶ったのです。
これからの物語は、さらにその後のこと。
「女神さま、今日はあんこうがお供えされていたよ」
「あんこう?」
女神さまは淡水生活者なので、海の魚については余り造詣が深くありません。
「あら、ぷよぷよね」
事前にインターネットで、あんこうについて調べておいたちんこは、胸を張りながら女神さまに答えます。
「ぷよぷよのあんこうは、吊るして切るのさ」
「まあ、吊るすなんて」
思わず頬を赤らめてしまう女神さま。
正直なところ、ちんこにも女神さまの琴線がどこにあるのかいまいちわかりません。
「今日はあんこう鍋にしましょう」
「うれしいわちんこ。ところであんこうにはどんな栄養素が含まれているのかしら」
「えっとね。コラーゲンと亜鉛がたっぷりだそうだよ」
コラーゲンでちんこはぷるぷるです。
亜鉛でちんこは元気百倍です。
「すばらしいわ」
女神さまはたっぷりのあんこう鍋を堪能した後に、たっぷりのちんこを堪能することを思い浮かべました。
さて、鍋も煮えてきたところのこと。
どぼん
池の上から大きなものが投げ入れられたような音が響きました。
ちっ
忌々しそうに女神さまは舌打ちしてしまいます。
ちんこが身投げをし、アドニスくんが身投げした後は、崇神として祀られたこともあってか、池に身投げする愚か者はこれまで皆無でした。
しかしただいま池に響いた音は、まさしく身投げの音。
「どこの馬鹿かしら」
いらつく女神さまにちんこは釘を刺します。
「どうするの? 放っておくの?」
「そう言う訳にもいかないわ。冥王に引き渡さなきゃならないし」
女神さまはぶつぶつと文句を言いながら身投げした者を引き込み、ちんこといっしょに顔を覗き込みました。
「あら?」
「あれ?」
二人には見知った顔です。
身投げしてきたのは、アイリス姫さまのメイド、リリィだったのです。
「何か事情がありそうね」
「そうだね。この子は悪い子じゃないし」
女神さまとちんこは、リリィを冥王に引き渡す前に、念のため身投げした理由を聞いてみました。
「なんてことを……」
涙ながらに語り終ったリリィを、女神さまはやさしく胸に抱きしめてあげました。
女神さまは怒りに打ち震えています。
こんな女神さまを見るのは、ちんこも初めてです。
「ちんこ、手伝ってくれる?」
「もちろんだよ女神さま」
◇
アイリス姫とメイドのリリィは、アイリスがガチホモのお稚児さんとして認知されたことから、正式にガチホモの祠を住まいとすることに決めました。
ちなみに王国再建は、カズくんが『復興担当大臣』として村長と兼務することになりました。
カズくんを慕って集まってきた人々により、既に村は飽和状態です。
なのでカズくんは王国が『男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』すなわち『パートナーシップ制度』を導入することを条件に大臣を引き受けたのです。
カズくんの手腕により王国の基盤は強化されていきました。
そのおかげでアイリス姫は王国再建の重荷から解放されることになったのです。
アイリス姫とメイドのリリィは幸せに暮らすようになりました。
昼間っからあんあんぱんぱんしているのは相変わらずですが。
ところが、衣食住を満たされてしまうと、小市民出身のリリィはともかく、王族出身のアイリスには、余計な欲求が湧いてきてしまいます。
姫さまは王国再建がカズくんの手でなされていくのを目の当たりにし、ちょっと焦ってしまいました。
「私も王国再建の一助を担わねば」
焦るアイリス姫はよからぬことを思いついてしまいます。
「私とリリィの『ぱんぱんあんあんビデオ』が高く売れないかしら?」
姫さまは、悪い魔法使いと計画していた『エッチなビデオを高く売りぬける作戦』を思い出してしまったのです。
ところが残念ながら姫さまは脳筋王のお馬鹿娘。
彼女は馬鹿正直にアダルトビデオ販売会社に売り込みに行ってしまったのです。
インターネットで王国のアダルトビデオ販売会社を検索したお姫さまは、リリィを連れて販売会社に出向きました。
「このビデオを高く買ってくれないかしら」
それは姫さまがリリィとぱんぱんあんあんをしている様子を盗撮したビデオ。
ここがどこなのかもわからず姫さまに言われるがままについてきたリリィは、テレビ画面に映し出された自分の姿を見てたいそう驚きました。
「姫さま、何ですかこれは!」
「アダルトビデオに決まっているじゃない」
「これをどうするのですか!」
「高く売るのよ」
「いやです!」
「だーめ」
「いやです!」
「だまらっしゃい。己の身分をわきまえよ」
……。
ここで問答無用で権力を振りかざすお姫さま。最低ですね。
リリィは恥ずかしさに身を震わせながらも黙るしかなかったのです。
一方のアダルトビデオ販売会社社長は冷静でした。
「このままだと単なるラブホ流出モノと変わらないですね。せいぜい月会費9ドルで視聴し放題程度の価値しかありませんよ」
がーん。
姫さまはショックを受けました。
不意に彼女の脳裏に悪い魔法使いの言葉がよぎります。
「姫さま、ビデオを高く売るには『きれいなねーちゃん』なだけじゃ駄目なのですよ」
そう言うことだったのね。
途方に暮れる姫さまの表情を伺いながら、社長は口元を嫌らしく持ち上げました。
「それでは良い芸能プロダクションを紹介しましょう。このビデオはプロモーション用にお預かりします」
アイリス姫さまとメイドのリリィは社長から一枚の名刺を渡されました。
「ここね」
その建物は王国のスラムにありました。
ちょっと怖い雰囲気に小市民のリリィはびびりますが、自分にとっては貴族も乞食も等しく下僕な姫さまはお構いなしです。
姫さまは躊躇なく芸能プロダクションのドアを開けたのです。
そこにはいろんなタイプの男性がたむろしていました。
姫さまはちょっとドキドキです。
リリィは怖くて姫さまの陰に隠れます。
すると、一番奥にいた、その辺のホストでは太刀打ちできないであろうイケメンが二人に声をかけました。
「やあ、販売会社の社長から話は伺っています。オレたちと共に、最高にすばらしい作品を完成させましょう」
プロダクション会社の社長を名乗るイケメンはそう二人に笑いかけると、応接のソファに二人を座らせました。
「それじゃこちらにサインをもらえるかな」
イケメンが出した書類には『契約書』と書いてありました。
小市民のリリィは嫌な予感がします。
が、後ろで男の誰かが独り言のように呟きました。
「『クーリング・オフ』って八日間だったかな」
その言葉に姫さまの眉毛がピクリと動きます。
「そう言えば聞いたことがあるわね。不利な契約ならば八日間以内なら解除できるって」
姫さまはリリィの耳元でそう呟きました。
「わかったわ。サインをすればいいのね」
姫さまはとりあえずサインをしてしまいました。
その後、リリィにもサインをするように促してしまったのです。
それは罠でした。
「はい、確かにサインを確認しました。それじゃ野郎ども、早速撮影だ!」
「うおっす!」
え? え? え?
何人もの男どもに突然身体を押さえつけられたアイリスとリリィは何が起きたのかわかりませんでした。
でも、身の危険が訪れていることはわかります。
「待って! 『クーリング・オフ』を申請するわ!」
が、男どもは止まりません。
「やめてよ! 法律違反よ!」
「馬鹿かお前は?」
イケメンは醜く歪んだ笑みを浮かべています。
そう、業務請負契約に『クーリング・オフ制度』は適用されないのです。
こうしてアイリス姫とメイドのリリィは契約に縛られてしまったのです。
イケメンは二人を別々の単体女優としてデビューさせることにしました。
姫さまは腐っても王族ですので、まずはイメージビデオから。
これを有料会員限定のサイトで取扱います。
一方のリリィには過酷な撮影が待っていました。
そう、それはそれは過酷な撮影だったのです。
沢山の男に囲まれたリリィは抵抗しました。
が、監督は容赦なしです。
「お前がそんなだと撮影が進まないんだよ! 汁男優にだって生活がかかっているんだよ!」
生活のことを言われると小市民のリリィは何も言えません。
皆に迷惑をかけているんだと脅かされると自分が悪いように思えてしまいます。
泣きながらリリィは撮影を続けました。
あるときリリィはマネージャーに『契約解除』をお願いしました。
するとマネージャーは少し驚いた顔をしてから、ちょっと待っていてねとリリィに告げます。
「それじゃもう一度言ってくれる?」
マネージャーに促され、リリィはもう一度彼にお願いしました。涙を流しながら。
「契約を解除させてください」と。
「はいオーケー。ばっちり録音させてもらったよ」
必死なリリィのお願いを弄ぶように、マネージャーはリリィの前に契約書を突き出し、小さく書かれた『解約条項』を指差しました。
「読めるかな?」
リリィはマネージャーに促されるまま契約書に目を走らせ、走らせ、走らせ……。
リリィは絶望しました。
「さて、それじゃこの場で『違約金』を用意してもらおうかな」
解約条項のところには次のように記載されていたのです。
「乙が契約を破棄する場合は、宣言と同時に違約金を即金にて甲に支払わなければならない。支払えない場合は、乙はこれまでの出演作に関する権利をすべて放棄した上で乙の引退作を撮影し、この権利を甲に譲渡しなければならない」
引退作と銘打った撮影で、リリィは文字通り『ぼろ雑巾』にされてしまいました。
人間としての尊厳を奪いつくされて。
その日、リリィは池に身を投げました。
◇
さて、女神さまはちんこにあることをお願いすると、何十年かぶりにお忍びで地上に姿を現しました。
その姿はちょっときれいな街娘。
でも、瞳の奥にえっちな光を瞬かせ、しっとりと濡れた唇が艶やかに光るさまは男心をくすぐります。
「ここね」
女神さまはリリィから聞きだした芸能プロダクションの場所を確認すると、その近くの交差点で網を張ることにしました。
すると、誘われるかのように黒服が女神さまに近づいてきます。
「ねえ、芸能界に興味はないかな?」
お決まりのセリフです。
「別に……」
女神さまは興味なさそうな返事をします。でも逃げるようなそぶりは見せません。
「きっとあなたならテレビや映画とかで引っ張りだこですよ」
女神さまはちょっとだけ反応してちらりと黒服に視線をやります。
「最初はフォトジェニックからはじめるのもお勧めですよ?」
「どうしようかしら」
「大丈夫ですよ。ちゃんとしたプロダクションですから」
黒服が差し出した名刺には『あんあんプロモーション』と記載されていました。
「そういうことなら……」
こうして女神さまはプロダクション会社の扉をくぐったのです。
女神さまをお迎えしたのは、イケメン社長と数人の男たち。
ソファに座らされた女神さまの前に、契約書が差し出されます。
「まずは契約をいたしましょう」
イケメン社長の笑顔とは裏腹に、いつの間にか女神さまの後ろには男達が、女神さまを威圧するかのように並んでいます。
どうやら契約をしないと帰さないつもりのようです。
契約書を見ると、『甲』のところには既に『あんあんプロモーション 代表取締役社長 池野 面太』と記載されています。
「ここにサインをしてください」
社長が指差すのは『乙』の場所。
「ここにサインをすればいいのね」
女神さまは契約書が動かないように左手で契約書の表面を押さえ、右手でサインを記入しました。
『女神 沙真』
そのとき、ほんの少しだけ契約書が光ったような様子を見せましたが、誰も気が付きませんでした。
早速イケメン社長は表情を楽しそうに歪めます。
「へえ、いい名前だね。それじゃ沙真ちゃん、早速撮影を開始しよう」
「いやです」
いきなりの撮影拒否です。
すると社長はふーんといった表情で女神さまを見つめました。
イケメン社長は思いました。「いい女だ。一回の撮影でつぶすのはちょっと惜しい」と。
しかし一方で、先日撮影した引退モノが姫さまモノを凌駕する勢いで大人気なのも事実。
そしたら最初からぼろぞうきんになってもらおうかとイケメン社長は画策しました。
「それじゃ契約解除するの?」
「解除します」
「ちょっと待ってね」
イケメン社長はボイスレコーダーを用意すると、もう一度女神さまに問いかけました。
「契約解除するの?」
「はい、契約解除します」
「はい録音完了」
イケメン社長は一層表情をゆがめると、契約書を女神さまの前にかざし、『解約条項』を指差しました。
「残念でした。ここを読んでくれる?」
イケメン社長に促された女神さまは声を出して『解約条項』を読み上げました。
「乙が契約を破棄する場合は、宣言と同時に違約金を即金にて甲に支払わなければならない。支払えない場合は、甲はこれまでの出演作に関する権利をすべて放棄した上で甲の引退作を撮影しこの権利を乙に譲渡しなければならない」
「あら、私が契約解除すると、社長が引退作を撮影されちゃうのね。変な条項だわ」
女神さまは不思議そうに呟くと、おもむろにイケメン社長の手から契約書をもぎ取ります。
一方のイケメン社長は女神さまが何を言っているのかわかりません。
「引退作を撮影されるのはお前だよこのメスブタが!」
激昂するイケメン社長と部下の男達に囲まれても女神さまは平然としています。
「だって、契約書にそう書いてあるもの」
「よこせ!」
イケメン社長は女神さまから契約書を再び奪い取ると、『解約条項』に目を走らせました。
……。
なぜ「甲」と「乙」が入れ替わっている?
ミスプリントか?
「こんなのは無効だ!」
イケメン社長は契約書を破り捨てようとしますが、その直前に女神さまが呟きました。
『麻痺』
途端にイケメン社長と男達は身体の自由を奪われてしまいます。
「それじゃ、撮影開始よ。ちんこ」
「わかったよ女神さま」
男たちの後ろには、いつの間にかちんこが何者達かと共に佇んでいたのです。
◇
イケメン社長は夢を見ています。
それは全身がとろけるような夢。
イケメン社長の服は徐々に溶け、肌を露わにしていきます。
露わになった肌は、ゆっくりと全身の老廃物や角質を溶かしていきます。
「ああ、気持いい」
イケメン社長の横では、部下の男達も同様に気持ち良くなっています。
「これからが本番よ」
女神さまはその美しい顔を楽しそうにほころばせると、ちんこに合図をしました。
合図に頷くちんこ。
「それじゃ『うつぼかずらさん』たち、フルパワーでお願い」
「わかりましたわ、ちんこ」
そう、イケメン社長たちは、かつてちんこの強敵であった『うつぼかずら』の体内に、その全身を囚われていたのです。
イケメン社長達はゆっくりと溶けていきます。
そのさまは、半透明に変化したうつぼかずらを通してじっくりと撮影されていきます。
肌が溶け、徐々に赤みを帯びてきます。
血管が浮き出し、真っ赤な動脈と青みを帯びた静脈が浮きだしてきます。
腹膜から解放された内臓たちが漂います。
ああ、気持ちいい。
こうしてイケメン社長達が骨も残さず溶けていく様子がちんこの手により撮影され、インターネットに無料配信されました。
最低最悪の『殺人映像』として。
王国の警察は当然ビデオの出所を捜査しました。
が、彼らはそこでとんでもないものを発見したのです。
それは、薬漬けにされてしまった姫さまでした。
◇
ちんこと女神さまは何事もなかったように池に戻りました。
村長兼王国復興大臣のカズくんには、アドニスくんを通じてマスタービデオを渡すことにしています。
業務請負契約にも契約名が個人の場合にはクーリング・オフを設けるように進言した書面を添付して。
「ところでちんこ、うつぼかずらさんたちはこれからどうするのですか?」
女神さまが恥ずかしそうにちんこに尋ねます。
「女神さまがお許し下さるなら、池のほとりに集落を作りたいと言っているよ」
ちんこは恥ずかしそうな女神さまの様子をおかしいなと思いながらも、そう答えました。
◇
姫さまは警察に保護された後、再び塔に幽閉されました。
今度は薬物を体内から取り除くため。
メイドのリリィは本来ならば冥王のところに送られるはずだったのですが、女神さまはアドニスくんに施したように奇跡を施しました。
生を取り戻したリリィに女神さまは優しく告げてあげました。
「リリィ、今日からあなたは池のほとりでエステティックサロン『ネペンテス』の店長として働きなさい」
こうしてうつぼかずらさんたちはリリィと一緒に池のほとりでエステサロンを開業したのです。
エステサロンは大人気となり、村の名所の一つとなりました。
◇
数ある祠のうち、女神さまお気に入りの小さな祠にうつぼかずらさんが一体出張してきています。
女神さまは誰に遠慮もせず衣を脱ぐと、その身体をゆっくりとうつぼかずらに沈めていきます。
「ああん、気持ちいいわ」
人肌のうつぼかずらは血行を良くし、新陳代謝を促して疲れを取ってくれる上に、ドクターフィッシュよろしく全身の老廃物をも除去してくれます。
その効果は女神さまにつるつるのお肌をもたらします。
ちなみにうつぼかずらさんは雌雄同体なので女神さまの裸体には何の反応も見せません。
隣の祠から声が響きます。
「女神さま、先に出るからねー」
つるつるのお肌に満足した女神さまは、紅潮したほっぺをじぶんでぷにぷにしながらほくそ笑みます。
ぷにぷにのちんこを思い浮かべながら。
ちんこが女神さまをぷにぷにしてくれることを思い浮かべながら。
今日も池の底は平和です。
めでたしめでたし。