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三界戦記  作者: 曇より青空
第一章
9/13

8話「ルオ」

聞き慣れた口調に、聞き慣れた声。確かに、ルオだ。


でも………あり得ない。


「なにボーッとしてんだよ!久々に俺が顔見せたっつーのによ!」


少年はニカッと笑ってみせた。


「あ、ああ……。って、いや、なんで、お前がここに……!?お前はあのとき……!!」


「死んでないんだなーそれが」


死んでない……?あの局面で……?


「ま、まあ、とりあえず上がれよ。」


「ではお言葉に甘えてー!おっじゃまっしまーす!」


俺はルオをリビングへと案内した。


「はぁー…外からは瓦礫で見えなかったけど、中こうなってたんだ…!割と良いじゃんこんな部屋」


「相変わらず能天気だな……」


そこへ洗面所に居たスィマニがやってきた。食器を片した後、どうやら洗顔をしていたらしい。なぜこのタイミングで。



「あれ、メイ君誰その人?」


「あ、ああこいつは…」


「うおっ!!どしたのこんな可愛い子!!まさか…」


「何もしてねーよ!!」


「ほんとかー?」


「何もしてねぇって!!」


下らないやりとりに、当の本人が入ってくる。少し頬を赤く染めて。


「可愛いって言われると、照れますよ…」


「おー!!ますます可愛い…!!ねぇ、名前は?」


「ス、スィマニです…」


「へぇー!スィマニちゃんって言うのかー!」


「おいルオ、お前もう変質者にしか見えねぇぞ。その辺にしとけ」


あぁ、何というか、こいつのペースに飲まれてるな…。


「とりあえず二人とも、一旦席つけ。いろいろ話すから」


「はーい!」


「え、俺も!?」


「当ったり前だろうが!!お前の話をするんだからよ!!」


なんでか面倒くさがるルオを無理やり引っ張り、リビングの四角いテーブルへと座らせ、俺とスィマニもルオに向かい合う形で座った。


「それじゃスィマニ、まずはルオについてだが…」




ルオとは五年前に知り合った。五年前、とある目的で俺は冥界主要都市の一つ、ミーダベルグまで行ったとき、俺に声をかけてきたのだ。見かけたとき、同じ境遇だと直感したから、らしい。そう、こいつも家族を失った者なのだ。おまけに差別対象にもなっている。まさしく俺と同じ境遇。

だから俺らはすぐに意気投合した。


だが、そのときのミーダベルグで起こったある事件で、俺はルオが死んだと思っていた。ゆえに、今回ルオが訪ねてきたときは本当に驚いたのである。




「……とまぁそういう事だ。ほんでルオ、スィマニはな…」


ルオにスィマニと出会ってからの経緯を話し終え、俺はスィマニより手渡されたお茶をぐいっと飲んだ。


「…分かったか?二人とも。」


「「……なんとなくー……」」


見事なハモりをどうもね。


でも俺が聞きたいのはハモリじゃない。


「それでルオ、お前は、なんでここが俺の家だと分かった?目的はなんだ?なんでこの時期に来た?」


「し、質問を一気に飛ばすなよー。一つずつ答えるから…」


そして、ルオは話し始めた。

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