8話「ルオ」
聞き慣れた口調に、聞き慣れた声。確かに、ルオだ。
でも………あり得ない。
「なにボーッとしてんだよ!久々に俺が顔見せたっつーのによ!」
少年はニカッと笑ってみせた。
「あ、ああ……。って、いや、なんで、お前がここに……!?お前はあのとき……!!」
「死んでないんだなーそれが」
死んでない……?あの局面で……?
「ま、まあ、とりあえず上がれよ。」
「ではお言葉に甘えてー!おっじゃまっしまーす!」
俺はルオをリビングへと案内した。
「はぁー…外からは瓦礫で見えなかったけど、中こうなってたんだ…!割と良いじゃんこんな部屋」
「相変わらず能天気だな……」
そこへ洗面所に居たスィマニがやってきた。食器を片した後、どうやら洗顔をしていたらしい。なぜこのタイミングで。
「あれ、メイ君誰その人?」
「あ、ああこいつは…」
「うおっ!!どしたのこんな可愛い子!!まさか…」
「何もしてねーよ!!」
「ほんとかー?」
「何もしてねぇって!!」
下らないやりとりに、当の本人が入ってくる。少し頬を赤く染めて。
「可愛いって言われると、照れますよ…」
「おー!!ますます可愛い…!!ねぇ、名前は?」
「ス、スィマニです…」
「へぇー!スィマニちゃんって言うのかー!」
「おいルオ、お前もう変質者にしか見えねぇぞ。その辺にしとけ」
あぁ、何というか、こいつのペースに飲まれてるな…。
「とりあえず二人とも、一旦席つけ。いろいろ話すから」
「はーい!」
「え、俺も!?」
「当ったり前だろうが!!お前の話をするんだからよ!!」
なんでか面倒くさがるルオを無理やり引っ張り、リビングの四角いテーブルへと座らせ、俺とスィマニもルオに向かい合う形で座った。
「それじゃスィマニ、まずはルオについてだが…」
ルオとは五年前に知り合った。五年前、とある目的で俺は冥界主要都市の一つ、ミーダベルグまで行ったとき、俺に声をかけてきたのだ。見かけたとき、同じ境遇だと直感したから、らしい。そう、こいつも家族を失った者なのだ。おまけに差別対象にもなっている。まさしく俺と同じ境遇。
だから俺らはすぐに意気投合した。
だが、そのときのミーダベルグで起こったある事件で、俺はルオが死んだと思っていた。ゆえに、今回ルオが訪ねてきたときは本当に驚いたのである。
「……とまぁそういう事だ。ほんでルオ、スィマニはな…」
ルオにスィマニと出会ってからの経緯を話し終え、俺はスィマニより手渡されたお茶をぐいっと飲んだ。
「…分かったか?二人とも。」
「「……なんとなくー……」」
見事なハモりをどうもね。
でも俺が聞きたいのはハモリじゃない。
「それでルオ、お前は、なんでここが俺の家だと分かった?目的はなんだ?なんでこの時期に来た?」
「し、質問を一気に飛ばすなよー。一つずつ答えるから…」
そして、ルオは話し始めた。