7話「神器」
食卓に並ぶ料理。ご飯、味噌汁、ベーコンエッグ。どこにでもある家庭の、どこにでもある朝食だ。シンプルだけど、俺はこれが一番だ。
「いただきます」
「どうぞ♪」
スィマニは明るく笑顔で言葉を返す。
「……!!………なにこれ……っ!!めっちゃ美味い……!!え、これホントにベーコンエッグだよな!?」
「そんなに言われると、照れるよ……」
スィマニ、赤面。
あれ、こいつこんな可愛かったっけ?
ちなみに、リビングダイニングであるこの一階は、スィマニが避けてくれた瓦礫がちょうど外との壁になってくれて、外からは今の食事風景やら何やらは見えない。ホントスィマニ、良い仕事したよ。
そして、食事もあらかた食べ終わり……
「じゃあスィマニ、本題に入……」
「ねぇねぇ!!この前のあの刀!!あれ凄いかっこよかったけど、あれ何!?」
「お、おう……」
話を遮るなよ……
「あれはまぁ、神器の一つだよ。」
「ジンギ……?何それ?」
ほえ?って顔してる。
「え、神器知らんの?この世界の民なら知ってるはずなんだが……」
「いいから教えて!」
うわあ興味津々の笑顔。しゃあないなぁ。
「……神器っつーのはな……?……」
神器。それは天・冥・魔のどの世界にも存在する、神が作り出したと言われる25の武器。形には刀や銃、斧など様々である。神が作り出したと言われるだけあり、どの武器も威力は強大である。
神器には皇神器と帝神器の二種類があり、数は皇神器が12、帝神器が13である。
皇神器の武器にはそれぞれに能力が一つずつ備わっている。あるものは武器の形を変え、あるものは威力を一時的に強化する。
俺の持つ刀、焉月も皇神器の一つであり、円形の斬撃を飛ばすことができる。斬撃を一点に集中させれば弾丸に匹敵する威力に、広げれば広範囲にダメージを与えられる。ただし楕円形にはできない。
ちなみに焉月に限り、刀身を短剣に変えて携帯できるようにさせたのは兄らしい。非常時も安心だ。
帝神器には個々の能力が備わっていない分、元の威力がズバ抜けて高い。その武器がどんな華奢な見た目でも、威力は舐めてかかると死ぬなんてレベルじゃないのだ。当たったらほぼ確で死ぬ。パワーだけで見たら、確実に皇神器よりこっちのほうが上だろう。だが、どの武器もとても重く、操るには相当な筋力が必要なのだ。また扱いも難しいため、手に入れてすぐには武器は使えない。
「………とまぁここまではOKか?」
「う、うん…!」
スィマニの頭から煙が出てる。そんなすぐに全部覚えろとかじゃないのに…。でもよく寝ずに全部聞けたな…。そこは凄く感心する。
「……よし、んでな?実は俺の焉G『ピーンポーン』…」
なんでこんなタイミング悪くインターホン鳴るんだよ……。
てかインターホンと玄関は無事だったんだな。じゃあ彼奴らは壁か窓から侵入したって感じか。
『ピーンポーン、ピーンp、ピーンポーン」
ていうかうるせぇ。
「はいはい今いきまーす。スィマニ、ちょっと続きは後でな?」
玄関に着く。まったく、誰だろう。
扉を開けると、そこに立っていたのは、俺と同い年くらいの、俺と同じ黒髪の少年だった。
見たこと、ある。でも、まさかなぁ…
「よっ、メイス!久しぶり!」
この軽く喋りかけてくる感じ……まさか、ほんとに…!?
「……ルオ……!!!?」