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三界戦記  作者: 曇より青空
第一章
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4話「刀」

「どこでもいい!隠れろ!スィマニ!」


追いついたスィマニに小声で言った。


「えっ…、う、うん!わかった!」


スィマニがその場から離れたことを確認し、俺は男と対峙した。


「…家、どうしてくれるんだ」


男は抱えていた斧を持ち直し、叫んだ。


「ハッハッハッ!!そんなのお前が考えやがれ!!自分のモノは大切にしとけ!!」


直後、男は斧を振り上げ、飛びかかってきた。


「……っ!!」


俺は懐から短剣を取り出した。


冥界において、差別対象とされる人間は、たいてい何かしらの護身用の武器を持っている。だいたいナイフか短剣だが。


「カッ!そんなんで受け止められるとでも思ってんのか!!」


「……ぶった切ってみろよ、この剣を。お前にゃ無理だろうが」


「ハァ?頭でもイカれたか!!そんなに死にたきゃお望み通り真っ二つにしてやるよ!!オラァァァァァァ!!!」


一気に斧が振り下ろされる、その刹那。


「モード、焉月。リミット、カウンター」


俺は力強く呟いた。


俺の声に呼応し、短剣は長い刀へと姿を変えた。


「斬り裂けっ!!焉月っ!!」


刀に当たった斧の衝撃を、刀は一気に凝縮させる。俺が刀を力任せに振り上げると、衝撃は大きな円の形の斬撃となって斧の方へ、男の方へと飛んで行った。


「なっ…!その刀、まさか…!!…っ!!」


男が次の言葉を発しようとしたその瞬間、斬撃は斧を割り、男の元へと届き、胸元をえぐった。


「ガッ…!!ア…アッ…アアアッ!!アアアアアアアアア!!!!!」


大量の血を流し、男は地に伏した。地響きのような衝撃が地面を走った。


「ハァッ…ハァッ…、…この刀、だろ…!お前の狙っていた刀は…!」


うっすらと目を開け、ゆっくりと男は口を開いた。


「ハァ…ハァ…、そうだ…。…だが、……いいのか…?……俺と、喋っていても……」


「……?……どういうことだ…!?」


「さっき言っただろ……、自分のモノは…大切にしとけ、と……」


「!!…まさか!!!」


俺はすぐに今来た道を駆け戻った。


そうだ……!!どうして忘れていた……!!


二つ目の曲がり角、暗い路地裏、そこにはうなだれて壁に寄りかかっているスィマニと、狂気に満ちた、別の大男がいた。

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