2話「少女」
声の主を見ると、俺と同い年くらいの少女が立っていた。茶色の長い髪に白いワンピース。左目には眼帯をつけている。
「昨日は誰も居なかったのに…。まぁいいや!お隣、失礼しまーす!」
そう言って少女はほんとに俺の隣に座り、肩にかけていたバッグからおもむろに本を取り出して読み始めた。
俺だって本当は一人が良かったが、声もかけにくいし、俺も気にせずに本を読むことにした。
何時間か経ち…
腕時計を見るともう1時を回っていた。
なんか食いに戻ろう。
そう思って本を閉じ、隣を見ると、さっきの少女が気持ちよさそうに眠っていた。
何かかけてやりたかったが、あいにく何も持っていない。食事も兼ねて、毛布でも持ってきてやるか。
でも、いくら人が来ないとはいえ、こんなとこに女の子一人、置いてけないか。
再び本を開き、起きるのを気長に待つことにした。
…のだが、少女はすぐに起きてしまった。
「ん……、あれ…?寝ちゃったのか……。ふわぁぁぁ……」
ん〜っと伸びをして、こっちを見た。
「あれ、まだいたんだ」
「女子一人、こんなとこに置いてけないだろ」
「ふふ、優しいんだね。ありがとう」
少女から微笑みが漏れた。
「ま、君も起きたし、そろそろ帰るよ」
「あ、ねぇねぇ、ちょっと待って」
少女は俺の袖を掴み、引き止めた。
「君、名前なんて言うの?」
「俺か?俺はメイスだ。君は?」
「私はスィマニ!ねぇメイス君、お願いがあるんだけど、いい?」
「何?」
スィマニという少女は、少し頬を赤らめて言った。
「その…さ、今日、泊まらせてくれないかな…私、帰るとこ、ないから…」
え、
えええぇぇぇぇ!?