74話
※ 能力値にDEXの項目を追加することにしました。前話までのステータス覧には順次追加していきます。なお、ストーリー的には特に気にする必要はございません。
◇
翌日。
シルヴェリッサは夜明けとともに目を覚ます。そして自分に寄り添う形で眠っているアーニャたちを見、起こさぬようにそっと寝床から抜けた。
この時間だと、隣の部屋で寝ているカーヤたちもまだ目覚めてはいないだろう。
ちなみに昨夜は、シルヴェリッサと眠るのはどっちのグループかで揉めていたが、1日ごとに交代ということで落ち着いていた。
しかし、いつもの調子で起きてしまったが、この時間だと朝食まで少し長い。どうしたものかと少し思案する。
そういえば昨日、ここへ戻ってしばらくしてから『マナリーフ』がすべて届いたのだ。なぜか素材ギルドの職員は緊張と張り切りの混じった様子で、ラナンド商会の者は大仰に「この度はご利用いただきまして大変光栄でございます」と言っていたのを覚えている。
せっかくなら光と闇の魔術師が来てからいっぺんに済ますつもりだったが、先にやってしまっても問題はないだろう。
そう思い至り、従魔たちのいる厩舎へ向かうことにした。
夜の冷たさが仄かに残る廊下を、優しく暖かい陽光に照らされながら歩いていく。肌に貼り付くひんやりした空気が、窓からの日差しと相まって心地よかった。
そうしてしばらく歩いていくと、
「! シ、シルヴェリッサどの、おはようございます!」
「おはようございまーす!」
2人の女性騎士に会い、そろって頭を下げられた。昨日、例の試合後にされたリフィーズの紹介によると、たしか女性騎士団の団長と副団長だったか。
団長のほうはほんのりと黄緑の混じった肩口までの金髪で、右側横髪の上部にくるりと小さく巻いた、まるでコサージュのような一房がある。背丈はシルヴェリッサより少し高いくらいだ。
対して、副団長は頭ひとつ分ほど小さい。両の手を外側に反らして腰を直角に曲げる礼をしている彼女は、裾がピンとハネた薄橙の短髪に、後ろ髪の一房だけが尻くらいまで長いという髪型だった。
格好に関してはほぼ同じで、胸と腕、腰と脚を覆う軽鎧を纏っている。ガナンや男性騎士らの鎧と比べて面積が少なく、どうも動きやすさを重視しているように感じた。見る限り重量も鎧にしては軽そうである。
「我々はこれから訓練なのですが、その……よ、よろしければ、シルヴェリッサどのもご一緒にいかがですか?」
「ですかー!」
と誘われた。
もしかすると何かしら得られる可能性があるかもしれないが、今は他にやることがある。
「……行かない」
「そ、そう、ですか……」
「ですかー」
大いに沈んだ団長と、少しだけ残念そうな副団長。
とりあえず返事はしたので、再び厩舎へ歩を向けた。
「ピュイイイイイイイイイイーーッ!」
シルヴェリッサの姿を見た途端、セルリーンが胸に飛び込んでくる。とりあえず受け止めてやると、そのままそこで頬擦りをしてきた。それによって胸がむにゅ、むにゅ、と形を変える。少しこそばゆい。
なぜか羨ましそうにしている他の従魔たち(と、どうでもいいが城の従魔の世話番らしき女)を横目にしつつ、厩舎の隅に保管された『マナリーフ』を確認する。
兵士などの目もある可能性があり”神の庫”が使いにくかったうえ、メイドにここを使ってはどうかと言われたのでそうしたのだ。
まあとにかく、その『マナリーフ』をオーガたちと運び、サブライムホースのところへそれぞれ分ける。
「「「「「「ブルルルゥッ」」」」」」
すると説明するまでもなく、彼女たちはそれぞれ配された色種を一口食んだ。そして次の瞬間、
「「「「「「ヒヒーーーーンッ!!」」」」」」
と大きく嘶き、凄まじい勢いで食べ始めた。『マナリーフ』がみるみるうちになくなっていく。どうやらかなり美味しかったらしい。
やがて皆ほぼ同時に食べ終え、満足したように小さく嘶いた。
《――”サブライムホース”から”ユニコーン”への
進化条件を満たしました》
《――”サブライムホース”から”アパオシャ”への
進化条件を満たしました》
《――”サブライムホース”から”グラニ”への
進化条件を満たしました》
《――”サブライムホース”から”ケルピー”への
進化条件を満たしました》
《――”サブライムホース”から”スヴァジルファリ”への
進化条件を満たしました》
《――”サブライムホース”から”ペガサス”への
進化条件を満たしました》
問題なく進めたようだ。
続いて、それぞれ進化先を選択していく。
《――”サブライムホース”が”ユニコーン”に進化します》
《――”サブライムホース”が”アパオシャ”に進化します》
《――”サブライムホース”が”グラニ”に進化します》
《――”サブライムホース”が”ケルピー”に進化します》
《――”サブライムホース”が”スヴァジルファリ”に進化します》
《――”サブライムホース”が”ペガサス”に進化します》
そうして各々が、いつもより一層強い進化の光に包まれ、その姿を変えていく。
やがて――、
「「「「「「ヒヒヒィィィィイイーーーーンッ!!」」」」」」
誇るような、猛るような、はたまた興奮したような嘶きを上げる馬魔物たち。先ほどまでのものより力強い響きだ。
世話番らしき女がなにやら驚愕、唖然としているようだが、それは無視する。そんなことよりも、進化した彼女たちの様子の確認だ。
まずはユニコーン。
体色は新雪のごとき美しい純白となり、額には薄ら透き通った白亜の一角がそびえていた。
次にアパオシャ。
体色はユニコーンの正反対である漆黒。頭部には、両耳に沿う形で透黒の双角が生えている。
グラニ。
燃え盛る焔のような真紅の体躯。耳と耳の間からは、鬣とは別に、長く流麗な紅蓮の透毛が靡いていた。
ケルピー。
大海を思わせる麗青の体躯。蹄と四肢の付け根には、透蒼の鰭のようなものがなめらかに揺らめいている。
スヴァジルファリ。
砂塵のごとき深黄の身体。胸部には、まるで装甲のような透黄の塊があった。
ペガサス。
草旋のような淡緑の身体。胴には鳥のごとき柔緑の透翼が静かにたたまれている。
そして6頭ともに共通しているのが、より大きく優美になった鬣と、鎧のように身に纏った装甲殻だ。それぞれの身体と似通った色のそれは、頭部、胴、四肢、臀部を覆い守っている。
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○ ユニコーン
Lv: 80/100
HP: 957/957
MP: 281/281
STR: 356
DEF: 322
INT: 281
RES: 450
DEX: 227
SPD: 696
LUC: 293
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □閃光脚Lv1
○ アパオシャ
Lv: 80/100
HP: 966/966
MP: 272/272
STR: 341
DEF: 327
INT: 443
RES: 284
DEX: 228
SPD: 699
LUC: 290
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □哭闇脚Lv1
○ グラニ
Lv: 80/100
HP: 970/970
MP: 243/243
STR: 469
DEF: 333
INT: 271
RES: 231
DEX: 227
SPD: 706
LUC: 279
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □灼火脚Lv1
○ ケルピー
Lv: 80/100
HP: 964/964
MP: 280/280
STR: 313
DEF: 301
INT: 297
RES: 306
DEX: 447
SPD: 679
LUC: 281
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □璃水脚Lv1
○ スヴァジルファリ
Lv: 80/100
HP: 997/997
MP: 218/218
STR: 343
DEF: 471
INT: 262
RES: 251
DEX: 209
SPD: 673
LUC: 275
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □巌地脚Lv1
○ ペガサス
Lv: 80/100
HP: 927/927
MP: 276/276
STR: 288
DEF: 281
INT: 313
RES: 300
DEX: 249
SPD: 855
LUC: 287
スキル: □採集Lv4 □騎獣
□空駆Lv1 □迅風脚Lv1
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”神の瞳”で視たところ、このような具合であった。どうやらそれぞれ1つの能力値が特化しているらしい。
ともかく、何らの問題もなく済んだ。
あとはジェムコクーンとオーガである。前者については魔術師を待つしかないが、後者はルヴェラがいればできるので、このままやってしまうことにした。どちらも魔術の習得が進化条件なので、ちょうど試しになるだろう。




