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対面、そして再出発

そして、現在。

スマホの画面越しで我らは少し見つめあっていた。少し理解するのに時間が必要だった。

向こう側の我の顔はだいぶ疲れた表情をしているようにみえた。


「貴様はーーー木戸鋭介か?まあ、正しくは精神が、だが。」

『ああ。お前はどうやらゼクスのようだな。』

「ふふ。我が主か。」

『なんだそりゃ。まあいい。俺が、ゲームではお前を操作してたわけだからな...。ところでこれは一体どういう状況だ?お前は何をした?』

「我は、『グレーブルオンライン』なるものを開いただけだ。クエストボタンを押したら急にこうなったのだ。」

『なるほど...やはり俺たちのこの現象とグレーブルオンラインにはなにか関わりがあるのは間違いなさそうだ。運営からなにか連絡とか来たのか?』

「いや、なにもきておらぬ。」

『そうか...こんな現象、説明できっこないから、問い合わせも無理そうだ。そもそも送れるかもわからん』

「そうだな。ところで我が主よ、どうしてそんな疲れた表情をしているのだ?我は我が主の記憶と知識を引き継いでいるから、冷静にいられたが。まあ今日は寝ていただけだったんだがな。」

『なるほど。そりゃいいな。俺もお前の記憶とか引き継ぎたかったよ。こっちはもう本当に大変だった。』


それから、我が主は長々と語り出した。ゴブリンとの初戦闘で死にかけたこと。自分のゲーム世界の感覚は間違いだった、ということなどだ。


『そうだ、ゼクスよ。お前は今、グレーブルオンラインを開いている。そっちでなにか操作をすれば、こっちにも影響がでるかもしれん。どうやるかは...わかるな?』

「ああ、わかるとも」

『ではまず、「設定」を開いて、すぐにスキル設定をONにしてくれ。すぐにだ』

「了解した」


我は言われた通りにやった。通話画面から設定画面に移動したが、声は聞こえる。すると、向こうで何か光ったような音がした。


『この感覚!!おそらく成功だ!!スキルを使えるかもしれん!次に、パーティー編成画面を開いてくれ!!装備のボタンがあるはずだ!』


我はパーティー編成画面を開き、装備一覧を開いた。あらゆる武器でページが埋まっていた。


『まず、《暗黒剣ダース

》をゼクス、つまり俺に装備させろ。それから、ミレナには.........』


我が主からの指示に従い、武器を着々と装備させていく。そして防具も、《アイアン系》から、現在、グレーブルオンライン最強の防具、《邪竜の鎧》シリーズに変えていった。装備を変えていくたびに、向こうでは何か光った音がし、我が主の表情は活気に満ちていく。おそらく、全て成功したのだろう。


こんな武器や装備があると知っていたら、あんな苦労はしなかっただろうと我は思った。みんなで、連携攻撃のパターンを必死に考え、毎回が苦戦の連続だった。今となっては、思い出になりつつある、ということに少し悲しみを感じた。


「我はーーー我はこれからどうすればいいのか?我が主よ。こうなってしまった以上、魔王討伐の目的も失ってしまった。」

『ゼクス、お前はーーーーリア充になれ。俺の大学生活をバラ色にするんだ。』

「リア充??それはなんだ。モンスターか?」

『俺の知識を辿ればわかるはずだ。お前のいる、現実の世界、腐った世の中において!勝ち組になるんだ!人生のな。もし仮に俺たちが元に戻った時に、最高の状態でいたくはないか?魔王討伐の目的に関しても、イレナに聞いた。俺はゼクス・ブラッドリーとして、この世界でのお前の目的を代わりに果たそう。そして、お前は、木戸鋭介の腐りきったニート生活を変えるのだ!』

「なるほど、それが我が主の願いであれば。これは契約であるな。我が主は必ず魔王を討伐し、異世界に平穏をもたらすこと。そして我は我が主の生活に豊かにすること。これが我の新たな目的、使命か!」


我は一度、決めた使命は必ず果たす男だ。この命に代えてでも。木戸鋭介はきっとやってくれるだろう、アトラに平穏をもたらすーーーー勇者として。我はこの男を信じることにした。


「ところで、我が主よ、我は手始めになにをすればいい?」

『そうだな。まず、彼女を作れ。恋人だ』

「なるほど、生涯をともにする伴侶、ということですな」

『いや、そこまでいってないんだがな。ま、まあ近い意味と捉えて良い。......それと、いくつか決めとかなければならんことがある』

「それは一体?」

『お前と俺をつなげる唯一の存在がこのグレーブルオンラインのアプリだ。このアプリは決してけしてはならん。そして、お互い、まわりにこの状況を知られてはまずい。面倒なことになりそうだ。だから、基本的には夕方か夜に連絡を取り合うとしよう。それ以外には、決してつなぐな。いいな?そして、お互いやってきたこと、成果などを報告しあうのだ。2人で協力をし、ともに乗り越えていこうではないか。ゼクス、お前は俺の最もお気に入りのキャラだ。あと、ゴーラの町について少し教えてくれ。』

「了解した。ゴーラの町についてだが、少し説明が長くなる。まだ、森を抜けてはおらぬのだろう?ついたら、知っていることは説明しよう。それから、王国や魔王といった秘密にされるような部分は残念ながら我も全く知らぬ。そういったことは我が主よ、そなた自身で見つけて行ってくれ。さて、我はもう眠い。今は夜中の2時であるしな。申し訳ない」

『そうか。こっちはまだ夜9時あたりのはずなんだがな。時差もあるということか。お前はゆっくり休め。俺も情報を整理する必要がある。では、アプリを切っていいぞ。』


我はホームボタンを押し、アプリを閉じた。携帯により、アトラや我が主の様子が知れる。大切にしなくては。


真夜中の病室をコツコツと歩く音がした。おそらく巡回だろう。携帯を見ているところを見られてはこまる。枕元に携帯を隠し、我は目を閉じた。


おそらく、あと1、2日で退院するだろう。そしたら自宅に帰り、大学なるものに行くのだろう。本当の意味で木戸鋭介としての生活が始まる。一体、どんな生活なのだろう。モンスターを狩って、生活資金を集めていた生活とは絶対違う。ぼんやりとある、木戸鋭介の記憶からもそれはわかる。期待と不安が入り混じった感覚だ。


その中でどう『彼女』を作るか。ひたすらそのことを考えながらーーーーー我は眠りについた。








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