プロローグ
基本的に、この物語は異世界における主人公、現実の主人公と交互に話が展開していきます。
クリスマス、雪が降り積もる寒い冬。カップル達がそこら中で手をつなぎ幸せそうに歩いている中、俺は普段と変わらない表情で携帯をいじっていた。やっているのは、友達とのLINE,メールなどではない。ゲームである。ソーシャルゲーム、いわゆるソシャゲといわれるものをやっていた。ずいぶんと多くのソシャゲがリリースされてる中、MMO(Massively Multiplayer Online)いわゆる大規模多人数型オンラインゲームといわれるものも携帯で容易にできるようになった。そんな時代である。
俺こと、木戸鋭介は19歳の大学生で男子校出身だ。名前は、母曰く目つきが鋭いから「鋭」で、「介」ってつけるとなんかかっこよくね?って理由で名前が決まったらしい。なんたる親だ。まったく。
中高一貫校だった俺は、6年近く妹以外の女子とは会話していなかった。大学デビューなるものをやろうとしてた時期はあった。結果?ストーカーだ、目つきは悪いだ、猫背だ、ラーメン臭いだ、、、などと散々言われた。もちろん失敗。
で、俺は大学デビューなんて幻想だったと諦めると、吹っ切れたようにアニメや漫画、ゲームにはまりだし、いわゆるオタクになった。正確には、中高時代から、そういう類にははまっていたが、それが異常なレベルになったということだ。俺は典型的な、リアルが充実してないーー「非リア」という人種に他ならなかった。
そんな俺はこのクリスマスという特別な日でも、カップルを心の中で呪いながら、ゲームをしていた。ただ今思えば、ある意味俺にとっても特別だったかもしれない。非リアの正反対、リア充からの呪いだったのだろうか。
その時俺は駅近くにある寮に戻るため、雪が降り積もってる交差点でただ赤信号が青信号に変わるのを待っていただけだった。車が通る。ただ、一台の車が少し変な動きをしていた。飲酒運転か居眠り運転?などと思いながらぼーーっとみてると、突然だった。
ゴンッッッ!
鈍い音とともに、雪でスリップした車に激突し、俺の意識は途絶えた。