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異世界奇想曲  作者: 入栖
第零章 序曲 - プロローグ -
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はじめてのぎるど 2

 俺はカードを受け取ると職員さんを見つめる。彼は笑顔でそこに座っているだけだった。カードの説明とか、ギルドについての説明は一言もきいてない。

「あの、それだけですか……?」

「なにがでしょうか?」


 何を言っているんだとばかりにはてなマークを浮かべるギルド職員。だが俺の方がどうしていいか分かんないんだけど。

「えと、ランクの説明とかは頂けないのですか……?」

「ああ、知っている方も多いので、そちらは希望者のみにお話ししておりました」

「えと、じゃぁおねがいします」


 そう言うと彼は足元から紙のようなものを取り出し、それを読み始める。

(おいおい、暗記してねぇのかよ……)

「えとランクはSランクからGランクまであります。Sランクに近ければ近いほど、難度の高い依頼を受けられたり、ギルド提携店で良いサービスを受ける事ができます」


「買い取り額とかも変わるんですか?」

「買い取り額は変わりません。ですが個人指定依頼を依頼する場合、ランクが高ければ依頼料が増加したりはしますね」


 つまり難度の高いクエストを受けられるぐらいで、それ以外はランクを上げる理由はなさそうだ。


「じゃぁランクを上げるためにはどうすればいいんですか?」

「Dランク以下は自分と同ランクかそれ以上のランクをいくつか成功させることでランクアップします。またCランク以上からはギルドが行う試験に合格したらランクアップとなります」


「ありがとうございます、大体解りました」

「はい、ではなにか質問は御座いますか?」

「あ、一つだけ」

「どうぞ」


「依頼の受注はどこでするんですか? それと商品や魔石買い取りみたいなのは?」

「ああ、そちらでしたらとなりの建物で承ってます」


「え、別なんですか?」

「……此処だけのお話なんですが、この建物は貴族様や一般平民用の建物なんです。貴族様がたに血でよごれたテーブルで案内なんて出来ますか? 下品な人間がうろついている場所を歩かせられますか」


 全くその通りですね。


「大きい都市なら大抵ギルドは二つに分かれているはずです。納品するときは間違えないようにしてくださいね。そうだ、時間があるのでしたら隣を一度見ておくのもいいかもしれませんよ」

 確かに一度見ておいた方がよいかもしれない。

「そうですね、少しだけ見ていきます。今日はありがとうございました」


 ありがとう、イケメン。わかりやすかったぜ。

「いえ、それでは貴方様の活躍を期待しております」



 俺は冒険者ギルドから出るとすぐに隣の建物を見つめる。こちらにも『冒険者ギルド』とあるが、その下に小さく『受注、依頼報告等はこちらで』とかかれていた。


 俺は前を歩いていくロングソードを腰につった男性の少し後ろを歩いて冒険者ギルドに入って行った。


(今度こそ俺が想像していた冒険者ギルドだぜ)


 猫耳筋肉冒険者にやる気のなさそうな受付。依頼を吟味する狐族女性とローブを着た男性。女性冒険者をいやらしい目で見るごろつきのような冒険者……っておい、こっち見るな。俺は男だ。


 俺は踵を返し、ギルドからでる。もしかしたら俺の可愛さに釣られて何人かに追われることも考えたが、幸いにもごろつき冒険者たちは追ってこないようだ。


 俺はため息をつきながら辺りを見渡す。いつの間にか日は傾いていて、俺の後ろに長い長い影ができていた。人の数もまばらで、もうみんな家に帰り始めたのだろう。


(時間も時間だし、急ぐか)

 俺は少しだけ足早で船着き場に向かった。俺がとってる宿もないし、さっさと船に乗ってしまった方が良いだろう。そうすれば船が宿代わりになるし。

 

(ああ、船に備え付けのベッドはあんまり期待しない方が良いかな)

 だなんて事を考えていたけど、それは結果的に無駄に終わった。

 

 船着き場についた俺はすぐさまチケット売りのおっちゃんの所へ歩く。そしておっちゃんに声をかけた。

「おじさん。チケットください」

「……おい、嬢ちゃん、今日の船は全部終了したぞ? 明日のでいいのか?」

 船着き場のおっちゃんの口から出た言葉は、散々同じ道を往復して疲れてる俺に対してとても残酷だった。


「……」

「おい、そんな死んだ魚みたいな目で見るなよ、諦めろ」

「私はね、今日ね、このあたりをね、何往復もしたの……」

 わかる? と上目づかいでおっちゃんを見つめる。

 さっきステータス見たら身体強化1上がってたよ? それくらいだよ?


 上がってたのは驚いたけど、そう言えば身体強化とか魔力強化は、10までは適当に日常を過ごしてるだけで上がる事を思い出したよ……まぁ最大1000のうちの2になっただけだから、効果はスズメの涙ほどなんだろうけど。


「んな可愛い顔しても駄目だ駄目だ。どうしたって出港は明日だ」

「もう良いです。じゃあ、明日の朝一のチケットください……」


 俺はアイテムボックスから大銀貨を取り出そうとして、思い直す。金貨崩しておいた方がいいかもなと。俺はおっちゃんに金貨を渡すとギルドカードを見せた。


「お願いします」

「…………お前、男だったのか」

 皆同じ反応だな。ネットゲームだったら超可愛い女の子の9割ぐらいは男だというのに。


「間違いを正すのも面倒なんでもう何も言わない事にしています」

「まぁひとそれぞれだよな……ほらよ」


 なんかおっちゃん俺の事女装趣味だと思ってないか? 口には出さないがおくがそんな趣味は無いぞ。


「ありがとうございました」

 俺は礼をしてチケットと釣銭を受け取るとアイテムボックスにしまう。

 そしてくるりと身をひるがえし、出口に向かう。が、ある事に気が付いた俺は出口から出ることは無く、チケット売りのおっちゃんの所まで戻った。


「すいません、近くにまあまあ安くて、一人部屋のある宿ありませんか? できればご飯付きの」

「なんか記憶に新しいやり取りだな……」



20151219

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