ごーれむじいん 2
説明回です。
目を開くと、見慣れた石の天井が俺を出迎える。俺はぐぅっと腕を伸ばし小さくあくびをする。目をこすりながら立ち上がり、布団を一旦アイテムボックスにしまい窓から外に出る。
(あーぽかぽかだぁ。心がぴょんぴょんするー)
俺は日のあたる木の枝にアイテムボックスから取り出した布団をかけると、グーッと伸びをする。
(明らかに朝の日差しではないよな……お昼かな?)
俺は湖まで歩いていくと、水魔法でタオルを濡らす。そしてそのタオルで顔を拭いた。
顔を拭いたタオルは、水魔法で洗い近くに作っておいた物干しざおにかける。
エルさんから貰った鏡で軽く身だしなみを整えると、目の前にある湖をじいっと見つめる。透明で澄んだ湖は底まで見えて、そこには苔の生えた大きな石がいくつか存在していた。またその石の近くを美しいオレンジ色の魚達が気持ち良さそうに泳いでいる。
(もう少し暖かくなったら湖を泳ぐのもいいかもしれないな)
俺は湖に背を向けると、窓から四畳半へ戻った。
(窓を登るたびに思うけど、石で出来た遺跡の窓から、美女が出入りするとかいいシチュエーションだよな。妄想力が働く)
日課になった朝一のMP回復量上昇ポーションを一気飲みし、精霊魔法を使用する。MPが空になると、俺は魔法を止めヘイストダガーをしまった。そして自分の足元にクッションを置くとそこに座る。そして木の棒の先に、石の矢じりを付けた槍もどきを手に持ち、ゴーレムをちくちくつつきながら魔法書を開く。
(もう最後の1冊も終わりそうだな……それにもう上げたいスキルも無くなってきたし)
俺はほぼ一日中ちくちくゴーレムを攻撃していたためか、短剣スキルは2週間しないうちにマスターしてしまった。そのため一時的に戦士と鍛冶師に転職し、必要な武器を適当に作った。やっぱり違う武器スキルも上げときたいよね。何装備するか解らないし。
ちなみに武器作成で使ったのは『鍛冶スキル』と『そこらへんの木』と『初心者用ダガー』である。
そう、木をダガーで削って剣ぽくしただけだ。これで大丈夫なのか……と、自分ですら不安になった短剣だけど、結果的にスキルが上がった。だから細かい事は考えない。
剣スキルが終えたら今度は斧スキルだ。木の棒に石をくくりつけただけ。ちなみに斧スキルをあげた理由は、単に俺が、『お嬢様系のキャラクター』に『バランスが悪い巨大な斧』を持たせるのが結構好きなだけである。ギャップがたまらない。この世界で俺が斧を軽々振り回してたら、周りの目がどうなるんだろうね……。
華奢な女の子にしか見えないから、驚愕されることだろう。
あと子供の工作レベルで、鍛冶師スキルが凄い勢いで上昇していることに疑問を持ってはいけない。先も言ったけど細かい事は考えたらダメなんだ……。
斧が終わったら今度は体術。戦うお嬢様ってカッコいいよね。それに武器が無くなっても安心です。トンファーキックも多分体術扱いになるだろうし。
続いて棒術をマスターさせ、今度は剣を二本持って二刀流をマスター。そして現在槍術である。うん。種族的に筋力ないからさ、前衛職にする予定はなかったんだけどね。上げられるんだから上げておこうと調子に乗っていました。
また職業の熟練度の増加も凄い。短剣とか身体強化のスキルLVがすぐ上がるため、シーフを1週間もかからずにマスターしてしまった。そのため俺はすぐにハイシーフに変更したものの、これも10日ほどで熟練度は上がりきった。
ちなみにではあるが、職業には下級職、中級職、上級職、最上級職とランク分けあり、下級職は熟練度の最大が30、中級職の熟練度の最大は50、上級職の熟練度の最大は80、最上級職の最大は100となっている。
下級職であるシーフよりも、ハイシーフの方が熟練度をあげるのに時間がかかった理由の一つはそれだ。もう一つの理由は、単純に上級であればあるほど熟練度が上がりづらくなるせいだ。
ハイシーフを終えた俺は、次は忍者になりたかったのだが、あいにく忍者になるためにはアマテラス大陸西にある島、ヤマトでしか転職出来ないため、一旦盗賊系の職業はやめた。
その後、戦士を経由して凶戦士になろうとも考えたが、まずは自分の種族特性を生かせる魔法使いをあげることにした。
マジシャンに転職して驚いたことは、マジシャンの熟練度が0だった事だ。
ゲームでは他の職業についていても、適性のあるスキルLVさえ上がっていれば、転職した瞬間に熟練度が上昇していたのだが、こちらの世界ではそうではないようだ。
今回の場合で言うと、シーフと言う職業で魔法スキルをかなり上げていたため、転職した瞬間にマジシャンをマスターできると思っていた。
なりませんでした。
やばい。俺重大なミスしたか? なんて血の気が引いたけど、結果的に見れば全く問題は無かった。
ゴーレムに一度魔法を唱えて発覚したのだが、蓄積していたスキルLVアップ分は魔法を一度唱える、もしくは適性のある武器で素振りをすると、職業熟練度に換算されるようだった。
そのため魔法スキル系がかなり上がっていた俺は、一回魔法を唱えただけでマジシャンをマスターする事ができた。もちろんすぐに中級職であるウィザードに転職した。
そしてウィザードもすぐに終了した俺だが、その次が問題だった。
それは職業の分岐である。職業の上級職は、基本的に一つしか選択できない仕様がある。
詳しく言えば、俺がウィザードの次に転職出来るものは3つあって、その中の一つを転職してしまうと他の2つに転職できなくなるのだ。
俺に突きつけられた選択肢は3つ『ハイウィザード』、『ネクロマンサー』、『ウィザード・カオス』。ちなみに『ウイザード・カオス』はゲーム内で隠し職だった。これに転職するためには『混沌の意思』というアイテムが必要である。
俺がプレイしていた時では、プレイヤーの中でも最上位にいなければ入手が難しいアイテムだった。また入手出来ていたとしても、『ハイウィザード』や『ネクロマンサー』から『ウィザード・カオス』に転職出来ないためサブに渡しているプレイヤーが多い。俺だ。
慣れ親しんだハイウィザードにするか、一度もやった事のないけど楽しそうなウィザード・カオスにするか悩んだ末、ウィザード・カオスにする事に決めた。戦闘では圧倒的にハイウィザードだけど、ウィザード・カオスって時空魔法、転移が使えるんだぜ? ん、ネクロマンサー? なんだっけ。
そして時空魔法を覚えた俺は、早速転移を使用してみる。が、残念なことがいくつか。それは転移を発動させるのに10分くらい時間がかかる事だ。ゲームではすぐに発動する代わりにしばらく使えなくなる魔法だったけど、此処では発動にやたら時間がかかるみたいだ。
また転移先に魔法陣を書かなければいけないらしく、長距離転移用にしか使えない事もマイナスの一つだろう。
そのため敵と戦いながら転移するのは、残念ながら不可能だ。どこぞのジャッジメントさんみたいに使えれば最強だったのだが。
とは言え、遠くからでも『神の四畳半』に帰ってこれるんだ。とても使える魔法だろう。
その後俺はいつも通りごろ寝しながら、時空魔法スキルをさらっとマスター。ちなみに時空魔法にも攻撃魔法はしっかり存在していたので、それを使用してスキルLV上げをした。
1週間ほどでマスターした俺は、神託の壁の前で転職しようとして驚いた。それは『ウィザード・カオス』にはさらに上があるらしく、『ハイウィザード・カオス』が転職可能一覧に並んでいたことだ。俺がプレイしているときにはなかったんだがな。もちろん即それに転職である。
ちなみにハイウイザード・カオスは凄かった。魔法一覧を表示させての使えるようになった魔法を見たら、そこには『オーヴァドライヴ』と『クイックタイム』が追加されていた。この二つを実際に使用してみたのだが、性能はヤバ過ぎた。オーバードライブは自分の……多分全ステータスを一時的に超強化させる魔法で、俺のひ弱な体で木を芋のように引っこ抜く事ができた。怪力少女誕生である。
またクイックタイムが自分の思考を加速させ、反射神経を超強化させる魔法だった。これをアイアンオーアゴーレムで試してみたら、冗談抜きで止まって見えた。おいゴーレム。お前に足りないもの、それは情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ、そしてなによりも速さが足りないぞ。
その代わりこの二つの魔法はかなり魔力を減らしてしまうため乱用は出来ない。また悪目立ちしそうだから封印しようと考えてる。超ピンチの時のみ使用するということで。
とハイウイザード・カオスを堪能した俺は、転職をしてプリーストへ。すぐさまハイプリースト、ビショップも終えて、まちにまった凶戦士バーサーカー。だがその頃には斧スキルをマスターしてたせいで武器を一振りした瞬間にマスターしたが。味気ない……。
そして現在、暇つぶしに旅芸人系の職である、吟遊詩人バードに転職した。今は歌いながら武器をふるっている。何故歌っているかと言えば、歌えば歌うほど『歌スキル』が上昇し、バードの熟練度も上がるから。つか歌いながら戦うとか何処のマク○スだよ? 私の歌を聞きなさい、もしくは俺の歌を聴け!
俺は手に持っていた本をアイテムボックスにしまうとため息をつく。
(魔法書全部読んじまった。結構タメになったな……)
ゲームではただただ、魔法名を言って『ここらへんにお願い!』と発動する場所を頭の中で想像するだけで魔法は発動した。まぁ魔力をためる時間みたいなものがあるせいで、発動するのに少し時間はかかる場合があるが。
しかしこの世界では、ちょっと違う。
まずゲームで重要だったのは魔法名を早口で言うことだった。それは魔法名を言わないと魔法を発動できない仕様のせいだ。
しかし此処ではそうではない。
こっちの世界で重要視されているのは想像力だった。
たとえば『ファイアボール』は文字どおり火の玉が出現する魔法であるが、鳥の形をイメージしながら『ファイアボール』を使うことで、『鳥の形のファイアボール』を出現させる事ができる。実際にやってみたらできた。威力はファイアボールより弱かったが。見た目だけだね。
それだけじゃない。想像力が卓越していれば、魔法名を言わずに魔法を発動できる。実際にやってみたら少しコツが必要だったが普通にできた。
と言うわけで無言で魔法が使えるようになったけど、魔法名をきちんと言った方が威力が上がるようだったので適材適所なんだろう。
そしてゲームではなかったが、この世界には詠唱が存在するみたいだ。初め『詠唱』と聞いて『魔法名を言うこと』かなと思ったけど、それは違うみたいだ。
魔法名の前に『その鋭き氷塊よ』だとか『紅蓮の刃』だとか中二めいた言葉を言うことで、イメージさせやすくするだとか何とか。覚える気が無かったのでさらっとしか読んでない。
ちなみに詠唱には、決まった言葉は無いとか。魔法を発動する人が発現する魔法のイメージをしやすくなる言葉を入れるらしく、誰かと全く同じ詠唱を行う事は滅多にないそうだ。
そこまで聞いてつか詠唱している時間無駄じゃね? と思う人もいると思う。しかし魔法は種類によってマナをためる時間が発生するため、その無駄な時間を利用して詠唱をするらしい。
また詠唱を行うと、イメージしやすくなるし言霊の力が入るだとか何とかで、無詠唱より威力も上がるとか。でも俺は詠唱する気はさらさら無い。
何故詠唱を俺はする気がないか。それはいくつか理由がある。
実を言うとウイザード・カオスとハイウイザード・カオスに転職した際に、『魔法発動速度向上』と『魔法発動速度向上極』がスキルに追加されたのだ。これをマスターしたら、初級レベルまでの魔法は溜め無しのノータイムで発動できるようになった。
中級も3秒とかからずに発動できるのに、詠唱なんかする暇ないだろ。と、これが表向きな理由だ。裏の理由? 恥ずかしいからに決まってるだろJK。
なんか人間離れしているのは気のせいだと思う。
俺は手に持っている槍を布団の横に置くと、その場に立ち上がりステータスを開く。
ステータス
名前:カグヤ
性別:男
LV:1
種族:ハーフエルフ
職業:バード(熟練度-41)
称号:転移者、スキルコレクター
スキル
異世界言語LV-M
身体強化LV-M
身体強化極LV-M
体術LV-M
剣LV-M
短剣LV-M
二刀流LV-M
斧LV-M
棒LV-M
槍LV-230
索敵LV-M
隠密LV-228
解錠LV-1
罠探知LV-1
魔力強化LV-M
魔力強化極LV-M
魔力量増加LV-M
魔力量増加極LV-M
魔力回復量増加LV-M
魔力回復量増加極LV-999
魔法発動速度向上LV-M
魔法発動速度向上極LV-M
火魔法LV-700
風魔法LV-M
土魔法LV-M
水魔法LV-M
神聖魔法LV-M
精霊魔術LV-624
時空魔法LV-M
鑑定LV-250
鍛冶LV-100
調合LV-1
もう、充分だろう。それに食料もあと1週間分を切った。って既に3カ月ここに滞在しているんだけどね。ランプの魔石も残り数個だし、潮時だな。ただ……。
(居心地良すぎて、ここから出たくない……)
暇つぶしの何かさえあれば、一生此処にいてもいいレベルの居心地のよさだった。
(町に行きたくないでござる……なんて言っていられないよな)
底をつきそうな食料に、暇つぶしの物が何もないこの部屋。俺は深くため息をつくと立ち上がる。
(魔力回復量増加極のLVをマスターさせたら、普通にゴーレムを倒してLV上げちまうか)
俺はそう考えると、魔法を唱え精霊魔法をゴーレムに唱え、上級MP回復量上昇ポーションを飲み込む。
(上級MP回復量上昇ポーションも30個ぐらい余ったか)
俺は四畳半の荷物の一部を残してアイテムボックスに入れると、ゴーレムの腕と足の隙間から中部屋に出る。
(魔力回復量増加極のLVは……Mになったし、じゃぁこのミスリルゴーレム倒すか)
ちなみにスキルレベルの増加に伴い、ゴーレムは比較的早期に倒せるようになっていた。ただ与えられるダメージが小さいためとてつもなく時間はかかるが。
そして俺はもちろん、倒すことはしなかった。自分のLVが上がってしまうと、スキルLVが上がりずらくなる。そのためゴーレムの体力が減ったら回復魔法を唱えて回復させるか、自然治癒を待たなければならなくて少し面倒だったが。
(スキルLVまだ上がりきっていない火の魔法でいいか)
俺はミスリルゴーレムに向かってクリムゾンフレアを放つ。少しの溜め時間が合って、それは発動した。
灼熱の火球。それは地上の太陽のように凄まじい光と、熱を持っていた。
その熱さ肌を焼くような程度ではなく、体を一瞬で炭にしてしまうんじゃないかと錯覚するほどの熱気。
ちなみにイカちゃんにこの魔法を使うと、イカちゃんは勢いよくこれに突っ込んでいく。イカちゃんすげぇよ、俺には無理だ。
俺はそのクリムゾンフレアをゴーレムに休憩をはさみながら何度も何度も繰り返し放つ。そして15回ぐらい放っただろうか。
まず先に反応したのは俺の体だった。まるで体の中から力があふれてくるような感覚が俺を襲った。
そして目の前のミスリルゴーレムは淡い光を纏いながら、だんだんと透明になっていく。そして数秒ほどで完全に消えてしまった。すると部屋の中央にこのゴーレムの討伐したことで宝箱が出現する。
「よしっ!」
異世界に来て約3カ月半、俺は初めてモンスターを倒したぞ!
(……やべぇ。すごく感慨深いな……)
俺は出現した宝箱、石づくりのそれに手をかけると蓋を持ち上げる。中に入っていたのは銀色の指輪だった。
(なんの指輪だ?)
俺はその指輪に鑑定を使用する。すると指輪の上に小さなメニューが表示された。
(えーと、怪力の指輪、STR強化のアイテムか。一応、付けとくか)
俺は自分の右手の薬指にそれをはめると一度四畳半に戻った。そして忘れ物がない事を確認し窓から外に出る。
俺は布団を回収しながらふとある事を思い出す。
(そういや俺LV上がったよな? どれくらいに上がったんだろうか?)
俺はすぐに自分のステータスを表示させ、自分のLVを見つめる。そしてすぐにステータス画面を閉じた。
(ふぅーおちつけ。まずは落ち着くんだ。目を閉じて深呼吸だ。ふぅーふぅー。うん、よしいいぞ)
目を開けもう一度ステータスを開く。
(コンタクトレンズの替え時かな? ってかこの世界ではコンタクトしてないか)
俺は息をついて空お見上げる。うん、いい天気だ。
そうしてステータスを見るも、やはり見間違いではない。
(LV表記確かに1から上がってる上がってるけど……)
「LV3ってどういうことだよ!?」
まてよまてよ、俺が倒したのはLV100越えの木偶の坊ミスリルゴーレム。
そして俺はLV1。ならさ、20くらい上がってもおかしくないよな!? 竜探索ならLV1で『灰色の逃げ足速いヤツ』を倒すぐらいの経験値を貰ったんだぞ。おかしいだろ!?
なんかいやな予感がする……もしかするとゲームとは違ってLV上げに相当な経験値が必要なのかもしれない。もう一匹倒すか?
俺はすぐさま身をひるがえし、寺院の中に入る。そして今度はアイアンオーアゴーレムを一匹見つけ、魔法を連打して倒す。遅い。お前の体ハエが止まって見えるぜ。
光の粒子を纏って消えていくゴーレムを尻目に、俺はステータスを確認する。
(ああ、やっぱりLV上がってないわ。アイアンオーアゴーレムって80だぞ? どういうことだ?)
そこで原因に行きあたる前に俺はある事に気が付いた。
(ん、いやちょっと待て、確か身体強化とかって掛け算で計算されてたよな……自分のLVが低いってことは、それに伴って基礎ステータスのSTRとかDEXとかが低いから、それに掛け算をしたところで……)
冷や汗が止まらない。最悪が発生している気がする。
(あれ、俺最強になれるかと思ったけどこれじゃ少し強いぐらいにしかなれないんじゃね? もしかして今の俺器用貧乏?)
俺はぶんぶん頭を振る。
(ダメだダメだ、くよくよしても仕方ない。とりあえず街へ戻ろう)
(スキルが上がって色んな魔法が使えるようになったんだ。それに幸いにも魔力は元から高いおかげで、これを軸にしていけば戦っていけるだろう。そう考えよう)
泣いちゃだめだ。泣いちゃだめだ。
俺は湖の近くに転移用の魔法陣を刻むと、乾かしていたタオルを回収し、ゴーレム寺院の入口まで戻る。そして転移ゲートの上に立つと力なく呟いた。
「ぐすぅ。ううっ、転移ぃぃ……」




