第16話!!
月日が流れるのは早い。
この年でこんなことを言うのも変な気がするけれどもこの一か月は本当に時間の流れを早く感じた。
一か月、まだまだこの新しい生活に慣れたとは言えないけれど、セナさんとは料理を通して少しずつ近づけている気がするし、真理さんも最初はぶつぶつ文句を言っていた僕の料理を最近は黙って食べてくれるようになった。
ただセレナさんだけはあいも変わらず部屋にこもったまま料理を食べてくれない。
だから今日こそはセレナさんにも食べてもらえるような料理を作ろうとスーパーまで買い出しに来たのだが・・・。
「品ぞろえ悪いな、この店」
家から歩いて徒歩五分という近場のスーパー。
安いと聞いたから来ては見たもののどうにも良い食材がない、やはり目先の安さに飛びついたのは失敗だっただろうか?
そう後悔の念を抱きつつもましだと思える食材をカゴに入れていく。
おっと、豚肉最後の一つコレは買わなければ!
我先にと豚肉に一直線したところで
「あっ!」
「うん?」
その豚肉を目の前でかすめ取られてしまった
豚肉を手にするその相手はいかにも不良っぽい高校生くらいの男子。
目つきが鋭く、そんな気はないのかもしれないけど睨まれているようで少し怖い。
「あっ、す、すみません!」
そのせいだろうかつい反射的に謝ってしまった。
しみじみと自分のヘタレさを実感してしまう。
「なんだボウズこれ欲しいのか?」
意外だった、そんなこと聞かれるとは思いもしなかったから。
「えっ、そうですけど、貴方が先に取ったんだし」
ズイと差し出される豚肉。
「やるよ、別に俺はそこまで欲しい訳でもないしな」
「でも・・・」
「いいから、人の親切は受け取った方が得だぜ」
「はぁ」
さらに前へとだされた肉をおずおずと受け取る。
「にしても結構な量だなボウズ一人で食うのか?」
「いえ、他にも」
「まあそりゃそうだわな。この量だしパーティーでもやんのか?十五人前はありそうだぞ」
すみません、これで四人前なんです。
「かしな」
いきなり奪い取られる買い物カゴ。
「え!?」
「一人で持つには重いだろ、俺はそんなに荷物ないし持ってやるよ」
「そんな悪いですよ」
「だから、人の親切は素直に受け取れって。ガキなんだからこの位気にすんな」
そう言うと僕の言い分なんて聞きもせず歩きだし、途中何かを思い出したかのように振り返ったり、
「そういえば、オメ―名前は?」
なんてことを聞いてきた。
「えっ、ユウって言いますけど」
「ユウ?変わった名前だな」
ほっとけ。
「ここであったのも何かの縁だよろしくなユウ。俺は桐川洋助っていうんだ。ここいらじゃけっこう顔もきくしなんか困ったらいつでも頼れよ」
そうニカっと笑う顔は凄く眩しくて男の僕でも少しドキリとしてしまった。
このなれなれしい男、桐川洋助。
彼も少しずつ非日常へと足を踏み入れる。




