第9話!!
話に少し展開があります。
人の部屋はその人物の内面をあらわしているという話をどこかで聞いたことがあったが、もしその話が真実というのならばこの部屋はまるで全てを拒絶しているように見える。
いや、これは拒絶というより遮断という方がしっくりくるような・・・。
そんないつもなら思わないだろう感想を抱きつつ私と真理は部屋の隅に座るセレナのもとまで歩み寄った。
途中、真理にヤツがセレナの下着を見つけ狂乱していたが、アレにかまっていたら話が進まないのであえてほっとく事にする。
「でっ、ヘブン・ゲートについて一体なにを知っているんだ?セレナ」
あい変わらず口を開かないセレナだがしばらくするとおもむろに辺りをゴソゴソと漁り始める。
どうやら何かを探しているようだ。
物色を続けること約一分、こんなに手間がかかるくらいなら整理整頓ぐらいしろ言いたくなるのを抑えつつセレナが取り出したるソレを拝見する。
「パソコン?」
そう、そこには何の変哲もない一台のノートパソコンがあった。
「へぇ~、セレナちゃんパソコンなんてやるんだ~。メモメモっと」
何時の間に来たのか真理が興味津々という面持でなにやら手帳に書き記している。
なるほどアレがシンの言っていた真理のセレナちゃんノートか、なんでもセレナの情報を事細かに記しているのだとか。
(おぞましいほどの執着だな・・・)
ちなみに、内容はあまり見ない方が良いそうだ。
「パソコンなんて取り出してどうするつもりだ?」
「・・・・・」
セレナは黙してたままただキーボードを打ち続ける。
(それにしても、随分と早いな。打つの)
軽やかにまるでピアノを弾くかのごとく動くその指にしばし見とれていると、ここを見ろと言わんばかりにセレナが私たちの方へと画面を向けてくる。
「なに?都市伝説調査隊」
画面いっぱいにうつる文字を読み上げる。
黒い背景に赤い文字という不気味な演出。
血を連想させる赤文字が目に刺さり痛い。
これらの事に若干の不快感をおぼえていると、
「なになに、このサイト!なんか面白そうじゃん!!」
先ほどまでまったくの無関心だった真理が突如として湧いてきた。
(ああ、そういえば真理は、この手の噂話が好きだっけ)
「ふ~ん、結構色々な都市伝説があるのね」
「うん。このサイト、全国の、オカルトマニアたちが、随時、情報を、提供している、みたいだから」
「へぇ~。なになに、『人を喰らうマンション』『時を操る時計塔』『恋を叶えるお地蔵様』『右腕の悪魔』『赤髪の吸血鬼』、なかなか面白そうじゃん」
別にオカルトマニアでもない真理だったがこの手の話には夢がありそこに個人個人の思いが感じられついつい見入ってしまうのだと以前本人が言っていた。
この話が嘘なのか本当なのかなんてことはどうでもいい、そこに人々の夢があり自分が楽しければそれでいい。
まあ、ようは自分が楽しめたら何でもいいんだろうこの女は。
「真理。ここの記事の、一番下、見て」
セレナの指示どおり記事の一番下を見る真理。
「これは・・・」
止まる真理の指、いくつもの嘘か本当か分からない記事たちに埋もれるかのようにそれはあった。
ほかの記事とは明らかに違い詳しい詳細は何一つ書かれておらず、ただ一文、
「死者を蘇らす扉。ヘブン・ゲートか・・・・。これがセレナの言ってた都市伝説なのか?」
コクリと頷く肯定の意を示しているのだろう。
「うん。自分が、心当たりが、あるのは、コレだけ」
「そうか、真理はコレどう思う?」
「どうって・・・・。別にいいんじゃない?夢があって。死者を蘇らすなんて人類の長年の夢でしょ?都市伝説なんだし信じたいヤツだけ信じれば良いじゃん。まあ、私はこういったウワサは見るだけで信じはしないんだけどね」
ヒヒと下品に笑う真理だがこの意見はほとんどの人間が持つものではないのだろうか?
誰だってそうだ幻想はあくまで幻想だと割り切れる。
幻想を真実にするのは自分にとって都合のいい時だけで用が済めばそれは再び幻想にもどる。
ウワサなんてほとんどがそんなものだろう。
信じたい者だけが信じればいいだけ、このヘブン・ゲートもそんなウワサ達の一つにすぎないだろう。
死者の復活を望む誰かが作り上げた一つの幻想。
それだけのモノ・・・それだけのモノのはずなのだが・・・。
「どうにも気になるな・・」
「気になるって何が?」
反応する真理の意見はもっともだ、私だって何が気になってるのかよく分からないでいる。
ただ、
「ただ、何だろう。このウワサ見逃したらいけない気がする」
それは勘の様なもの。
根拠なんて何一つない酷く曖昧なモノ。
けれど何か本能的なものが私に決して見逃すなと訴えてくる。
「えっ?まさかセナ。あの依頼・・・」
「ああ、受けることにしよう」
経験上この手の勘には逆らわないようにしている私は真理の問いに即答する。
初めっから乗気じゃなかった真理は露骨に嫌な顔をするが、これはもう決定事項なので無視することにする。
「セレナ、ほかに何か情報は?」
「ない」
こちらも即答だった。
そのあと他のサイトなどもあたりはしたが結局成果は上がらず、これはもう地道に探すしかないと諦めかけたとき、セレナが意外な情報を口にした。
「このサイトの、管理人。ウワサの、調査を、自分なりに、やっている、見たい。会えば、何か、教えてくれるかも・・・」




