表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

バースデーパーティー

第一話の投稿になります!楽しんでくれたら嬉しいです!

木の葉が青々と茂った学校の大きな中庭で一人の少女が本を読み、それをもう一人の少女が聞いている。


「しかし怪物は言いました。お前が私の妻となるならばこの国には攻撃しない。怪物の目はその女戦士だけを見ていたのです。しかし彼女は言いました。私はお前のものになる気はないと」


小説愛好家のアネットは熱気にこもった声で読み続ける。その横で長い白髪をいじりながら静かに聞いているのはリフェリア。彼女の黄緑目の視線は本から景色へ移る。


「ならば仕方がない。この国には脅威を与え、人間から血肉を奪うしかない。そう言って怪物は国中に沢山の脅威を与えたのでした。よし!今日はこれで終わりにしよう」


アネットの声を聞いてリフェリアはあくびをして言った。


「アネット、怪物って本当にいると思う?」


「もちろんいるわよ。この本だって実話をもとにしているのよ」


「そう。でも私は一回も見たことないわ。ほらそろそろ授業が始まるから戻りましょう」


「リフェリアは何も知らないのよ。怪物は人の形になれるんだからね」



授業が終わった後、リフェリアは家に帰り、家族に挨拶をする。


「ただいま」


「おかえりなさい」


「おかえり。今日は早かったんだな」


「うん。色々イベントが終わったしね」


リフェリアの両親は赤子の頃に交通事故で死んだ。父の妹の叔母がリフェリアを引き取り育ててくれているのだ。明日はリフェリアの16歳の誕生日だ。


しかしリフェリアが階段を上がると、叔母と叔父の顔つきが変わった。


「全く。あの子がもう16歳になるなんてね。本当に良いご身分だわ」


「落ち着きなさい。あと2年だよ。あの子が学校を卒業したら早々に家を追い出せばいいさ」


二人の会話はリフェリアと挨拶を交わしたあの感じからは想像もできなかった。

だがリフェリアはその話が聞こえてきても平気そうに階段を登る。


14歳の時、初めて彼女は事実を知る。まだリフェリアが赤子の頃、本当は叔父も叔母も育てるつもりはなかったが親戚から半ば無理やり押し付けられたのだ。その代わり、毎月、親戚たちから多くのお金を貰っているから陰口を言うだけで済んでいるのだ。


「結局、自分の産んだ子の方がかわいいに決まってるよね‥」


その時だった。開けっぱのドアの部屋から声が聞こえた。


「誰がかわいいって?」


「セリオン」


セリオン。それは叔父と叔母の実子。セリオンはミルク色の髪と緑色の目をしている。いつも物静かで落ち着いていて、この家で唯一リフェリアが心を許す存在だ。


「また父さんと母さんの陰口を聞いたの?」


「うん。明日私の誕生日会やるのよ?なんか気まずいんだけど」


「仕方ないよ。明日はご馳走を食べられるっていうことだけ考えなよ。母さんも、お金貰ってるんだから文句を言うのもおかしいけどね」


セリオンは苦い笑顔で答える。


「そういうことじゃないけれど‥まあいいわ。私、18歳になったらこの家を出ていくから、もう少しの心房ね」


「出ていってどうするの?」


「しばらくはどこかのレストランにでも働こうかな。セリオンは大人になったらどうするの?」


「僕?‥何も決めてないな。やりたいこともないし」


セリオンは自分のことに関しては本当に関心がなかった。彼ほどの冷静さと勉強の出来があれば、何にでもなれると思うのに。そんなことをリフェリアは思った。



そして夜。みんなが寝静まった頃だった。突然、下から声が聞こえる。なんだかパーティーを開いていそうなにぎやかな声だ。


「もう‥うるさい」


リフェリアは我慢できずに様子を見に行くことにした。階段を降りて一階のを覗くと、そこには叔母と叔父が踊り狂ったかのように踊っていた。

音楽などないのに。


「なにしてるの?あの二人‥」


その時だった。叔母がこちらを振り向き、リフェリアに気づく。


「リフェリア!いたのね!あなたも踊りましょう!今はあなたの誕生日パーティーの時間よ!」


「叔母さん!まだ寝てる時間じゃない!」


「何を言ってるの。もう少しで0時を回るわ。そうしたらあなたは16歳よ!」


「そうだぞリフェリア!少し早く祝ったほうが嬉しいだろ?」


叔父も陽気に踊りながら言う。いつもの穏やかな叔父からは想像もできない。


「わ‥私、明日も学校だし、明日のほうが嬉しいわ。叔母さん達だってそっちのほうが助かるでしょ?」


「大丈夫だよリフェリア!さあ踊ろう!」


叔父はリフェリアの手を取り一緒に踊らせようとしてくる。


「じゃ‥じゃあ少しだけ」


リフェリアはぎこちなく踊るが二人は盛り上がった。


「いいぞリフェリア!」


「あらかわいい!」


もしかして、二人は本当に自分のことを祝ってくれてる?リフェリアは口元が緩み、照れるように笑った。その時だった。


バキッ


叔母が木棒でリフェリアを殴った。


「なんで‥?」


突然の衝撃に耐えられず、気を失う。


「やりました。約束通り、この子を渡したら大金をくれるんですよね」


「もちろんだ。ほう、綺麗な見た目じゃないか。あの方は大層喜ばれるだろう」


叔母の声とともに一人の黒尽くめの男が出てくる。

その時、リフェリアは目を覚ました。


「‥叔母さん‥どうしてこんなことをするの?そんなに私のことが邪魔だったの?」


リフェリアの目からは涙が流れる。


「‥ちっ起きたわ。もう一回殴っておいたほうがいいわね」


叔母が木棒を構えてリフェリアに近づこうとした時、彼女の背中を誰かがナイフで刺した。


サクッ


「セリオン!」


「ごめんリフェリア。遅くなった」


叔母がドサッと倒れると、セリオンは叔父に殴られ、床に倒れる。


「このガキが!殺してやる!」


その時だった。


「もうやめなさいよ‥」


リフェリアが叔父に向けて手を伸ばす。

すると、途端に叔父の身体は何かに締め付けられたかのように血を吐き出す。


「がはっ‥何を‥」


しかしセリオンの親であることに躊躇したリフェリアはセリオンの方を見る。


しかし彼は静かに言った。


「リフェリア‥いいよ。こいつら全員怪物だから」


その言葉を聞いて、リフェエリアは躊躇わずに広げていた手をぐっと拳の形に変える。

すると、叔父はバキっと首の骨を折られて倒れた。


「てめえら、よくも‥」


黒尽くめの男は何か言いたそうだったが、リフェリアはそのまま男の首も折り、倒した。


「すごい‥リフェリア、こんな力持ってたんだ‥」


「私も全然知らなかったわ‥ただ、何か感覚で動いたというか‥」


すうと、セリオンは時計の方を見た。時刻は0時を回っていた。


「あ、0時になった。」


「本当だわ」


セリオンはリフェリアの方を見て微笑みかけて言った。


「16歳おめでとう。リフェリア」


「あ、ありがとう‥」


その時だった。倒れていた叔母の手がぴくっと動くと、起き上がった。

叔母の目は赤く光り、鋭い眼光を向けてきた。


「よくも私の計画を邪魔したなぁ!」


もうそれは人ではなかった。気がつくと他の二人も立ち上がっていた。3人とも目が光り、不敵な笑みをい浮かべる。


「これはもう人じゃないわね。逃げる?」


「だから言ったでしょ。こいつらは全員怪物だって。うーん、そうするか」


しかし突然、ドアが吹き飛ぶように破壊される。


ドゴォッ


そして風が入り込んだかと思うと、3人の身体はいきなり粉々に粉砕された。


「リフェリア!見ちゃダメだ!」


セリオンはリフェリアを抱きしめる


リフェリアはセリオンの服を掴んで目をぎゅっと閉じた。



その時。破壊されたドアの向こうで声が聞こえたのだ。


「これはこれはひどい有様ね」


そこには深緑のローブを着た一人の女と男達が立っていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ