256-260
256ラーメン
この夏
甲子園の球児たちが
熱中症とゆっくり語り合っている
この夏
ストロベリーがメロン味になって
かき氷のシロップになっている
この夏
エアコンが壊れて修理に間に合わないので
団扇を100枚稼働させた
この夏
部屋の天井をぶち抜いてしまったので
自己修復機能を使って治したが
三週間かかってその間地獄のような暑さだった
この夏に終りが来る
そうしたら秋が来て
夏のことを懐かしむ人も
夏のことを忘れる人も
ラーメンを食う
ラーメン そして アーメン
257ミートソースパスタ
価格高騰の煽りを食らって
ミートソースパスタの
ミートが少なくなって
トマトソースパスタに
なりかけている
以前ミートソースを
自作したことがあるが
煮込みすぎたせいで
トマトソース分がなくなって
ミートパスタを食べた
どちらも物足りない
だがしかし
紛争地帯では飢えている人がいる
砂漠地帯では植えている人がいる
それに比べれば
やはり大した問題である
なぜなら、飢えている人も植えている人も
同じ意見を持つだろうからだ
味は組み合わせの妙とバランスが命
命を削って何が良いのだ
命ははみ出してこそ
命なのだ
そんなわけで天井をぶち抜いた
わけではない
258じぶんが自転している
昼
暑くなって
目が回るようになって
地球が自転してるのではなく
じぶんが自転している説が浮上した
夜
涼しくなって
頭が少し回るようになって
じぶんが自転してるのではなく
宇宙が自転している可能性を考えてみた
地球は自転しているか
そうでないかは
神のみぞ知る世界
だってここ
異世界だし
259小便小僧はアイドル
世界は温暖化している
そして人の心は寒冷化している
その関係性を理数的に考察して
小便小僧がうんちしたところを
見たこがないことに気づいた
小便小僧はアイドルだった
260お箸の持ち方は決まっている
センセーショナルな朝食
ドラマチックな昼食
センシティブな夕食
物語は食事の中で起こっている
そして事件は現場で起こって
次元は大介である
お箸の持ち方は決まっているようで
じつは決まっていない
正しいとされているものが
そうではないかもしれず
お箸は自由に使って
食べられてしまう
歴史とともに葬られた
紫式部の箸の持ち方
物語が始まろうとしている