大海田ロズウェル事件
8話 大海田ロズウェル事件
〘また、大海田町上空にUFOらしき浮遊物体が現れたと多くの人が目撃してます。現場の今井さーん〙
〘はい、こちらにUFOを目撃したという板倉さんが。見ましたか?〙
〘畑の仕事中に、空見たら……〙
「また、やってんな」
「なんだかここのところ多いねぇ。前にもあったよねぇ。アレは隕石だっけ」
夕食時に家族でテレビを見ながら。
「ああ、そういえば部活の後輩が隕石の事言ってたっけ。大海田のロズウェル事件だって。オヤジ知ってる?」
「ローズマリー事件とか知らねぇけど。隕石落下の話はよく憶えてるぞ。俺は現場に行ったからな」
さすが野次馬根性のオヤジだ、そういった事件は足が早い。
「ありゃな、普通じゃねーぞ。民宿の隣の平ちゃんが今でも言ってる。落ちたのはUFOだってよ。平ちゃんはあれが落ちるのを見たそうだ。石ころが落ちてきたのとえらい違いだったてよ」
「そうなんだ。円盤が落ちたの見たの平さん」
「円盤ってわけじゃねーが、なんだかオレンジ色の発光体がゆらゆらと落ちて来たそうだ。オレも平ちゃんから電話もらってよ、すぐに現場に行ったら」
「その頃電話あったの?」
「電話ったって家電だ、携帯とかまだない時代だ。サダヒコがまだ生まれてねぇ頃だ、平ちゃんはクルマに乗ってて。すぐに電話ボックス見つけてかけてくれたんだ。民宿で仕事してたから、ちょっとかかったな現場まで。そしたらよ、すでにウルトラ警備隊が来てて現場は封鎖されてた」
ウルトラ警備隊ってなんだよ。オヤジ。
「おまえ、疑ってんな。その顔」
「ウルトラ警備隊ってなに? 真面目に聞いてるのに」
「まあそー言うな。お巡りには見えないヘルメットかぶった連中がうろついてたんだ。関係者以外は入るなってよ、おいかえされた」
「その話、昔何度も聞いたね。一週間後また現場に行ったんだろ」
「かあちゃんよく憶えてるな」
「だから何度も聞いたって」
「ボクは初めてだ。で、現場は」
「まだロープは張ってあったが、デカい穴でよ、今、役場にあるアレが落ちたと思えねぇ穴だった」
ってオヤジが言ってたんだ。
「堂島さん、それは貴重なお話ですね。ボクも図書館で見つけましたよ。当時の新聞記事」
霧島と大田和と3人で昼休み学校を抜け出し、近くにある役場に隕石を見に行った。
「あー。コレはないわ」
つづく