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フランケン事件

3話 フランケン事件


「フランケン大乱闘事件……なにそれ?」

「わたしの兄がヤンキーな友だちから聞いた話で」

「なに? 都市伝説?」

「なんでも大海田に夜中、フランケンがうろついていると噂を聞いたヤンキーたちが出かけ、本当にフランケンと出会ってしまいヤンキーたちはボコボコされ、ほぼ廃人化になったという話です」

「大海田にフランケンって、ヤッパあれ、デカくてフンガーとかいう。アレ? ありえない話ね。そんなの居たらすぐ噂になるわ。ドー、堂島ぁ聞いたことある?」

「ありません」

「そんな化け物居たらこのクロガネ様がのしてるぜ」


 フランケンなんて地元のあたしたちは皆知らない。


「ボクは隣の総金市なんですけど、その話聞いたことあります。友だちの兄の仲間がその場に居たそうで」

「ゴーレムも知ってるの。地元以外では有名なの? おかしな話ね。それ、いつの話しよ?」

「わたしは中二の時に聞きました」

「ボクもです。だからここ最近3、4年の話しじゃ。はじめのボコボコ事件から、後は聞きませんねぇ。だからボクはデマだと。でも、他の市の山本さんが知ってるとは、新しい都市伝説ですかね」


 今日は母に頼まれ、いつものスーパーでなく町はずれのスーパーへ行くため自転車で登校した。

部活の後、まだ陽が短い。帰りは薄暗くなっていた。

 近道をしようと田んぼの狭い横道を走っていると前方に何やら人が見えた。なんか白い人だなぁと思った。

 近づくとデカい。180はありそうだ。髪の長い女性だ。片手にはスーパーの白い袋。しかし、白く見えたのは腕や素足の露出が多かったせいだ。デニムの超短い短パンからはお尻が少し出ている。 その下の長い脚に低いサンダル履き。

 上は長い髪で背中の一部しか見えない。肩も腕も丸出しだが、まさか裸じゃないだろう。

 しかしまだ寒いこの時期のかっこうじゃない。スゴいなこの人。

 横まで来ると悪いと思いながらしげしげと見てしまった。ブラはしていた。水着のようなブラでその大きなおっぱいを。 


「あたっ!」


 でっかいおっぱいに見とれていたわけじゃないがよそ見運転をしてたあたしは電柱に激突してしまった。


「アイタタ。もーっ、なにやってんのあたしぃ」

「大丈夫ですか?」

「あははは。大丈夫です」


 照れ笑いしてごまかしたが、かなり痛かった。

 あっスカートがめくれてパンツ丸出しだ! 恥ずかしいトコ見られた。

 あたしが大丈夫だとわかった彼女は片手で自転車をおこし。


「曲がってる」


 と、簡単に曲がった自転車のハンドルを元の形に戻した。


「コレで大丈夫」

「ありがとうございます」


 なんだか気恥ずかしくなり、あたしはあわてて素早くその場から離れた。


 外灯の点いたウチの玄関まで着いて、買い物した袋がないのに気づいた。

 あそこにおいてきてしまったんだ。あたしは、また自転車に乗り、あの大きな女性を見てころんだ場所に戻ったら、何もなかった。 

 仕方なくスーパーまで行き自分の小遣いで買い物し帰った。


 彼女に再会したのは一週間後だった。部活がなかったのでまえの時より少し早くて明るいうちに同じ田んぼの横道を通った。そしたら、あのぶつかっだ電柱前にあの人が立っていた。あの時と同じかっこうだ。間違いない。

 前まで行くと彼女はスーパーの袋を差し出した。


「落とし物』


 それはあたしが忘れていったあの時の。


「ありがとうございます』


 わざわさわ拾って、この場所で。まさか、あれから每日。とんでもないイイ人だ。  

 まえより明るい時間。よく見るとちょと眠たそうな目。瞳の色は青だ。外国人かな。日本語は上手い。すごく美人だ。髪はソバージュヘアなのか、いやちょっと違うな、失敗パーマような。ボサボサしたロング。もっと顔出せばいいのに。

 ちょっと失礼だったけど、よく見るとおデコと右目な下あたりに長い傷線があった。この人事故かなんかで大怪我したんだ。同じような傷痕が首や肩両腕両足にもあった。

 だから顔を。


「ホント、ごめんなさ。あたし、この道めったに通らないから」

「グリュッウ」


 と一言、何語? 帰ろうとする彼女に。


「あっ待って」


 あたしは自分のマフラーを彼女の首に巻こうとしたが、背が低いあたしが首にとどかなかったのを彼女は腰をまげてくれうまく巻けた。


「これは?」

「お礼です。寒くないですか?」

「グリュッウ」

「あ・げ・ま・す」


 もしかしたら、あまり日本語出来ないんじゃないかとゆっくり言った。


「あ・り・が・と」


 そうゆっくり言うとスーパーの方に歩いて行った。

 買い物かな。


             つづく


 

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