1本メ 怠惰的胎内ルーティン
プロローグなので短めです。大罪人でも転生したい!というお話。
─────償いきれないほどの罪を重ねた人間の魂は、何処へ行くのだろうか。
右手に握りしめた赤いナイフを見つめた少年は、自分以外誰もいない部屋で、徐々に首筋へと右手を近づけていく。
この世界にいる理由がなくなった。それが少年が自殺する唯一の理由であり、かと言って自殺したくない理由がある訳では無かった。
「……」
何も言う事はなく、ただ首を斬る為に集中する。
「ッ!」
突き刺す。それに躊躇いは無い。
少年は痛みには慣れていたが、今までの人生の中でトップに入るくらいの痛覚の叫びが聞こえた。
走馬灯のつもりでこれまでの人生を振り返る。振り返ろうとするが────────上手くはいかなかった。
何を思い浮かべても、邪魔してくる人物がいる。どこを思い出しても、彼の記憶は彼の『父』で埋め尽くされていた。
「……父さん」
彼は人生に絶望してナイフを突き立てた訳ではない。
死でしか償えない罪悪感を背負っていた訳でもない。
彼は────────生きるために、死を選んだのだ。
『転生』し……再び人生を歩むために。
……しかし、人生そう上手くはいかないものだ。
彼の罪は、もはや転生した後の人生で善人を極めたとしても、償いきれないものだった。
つまり────彼は転生を許されなかった。
神に、嫌われたのだ。




