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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不義密通

作者: 天泣

はじめまして、妖星拓哉と申します。

小説を書くのは初めてなので至らぬ点も多くあると思いますが、どうか温かい目で見てください。

暗い小説が多くなると思いますが、そういうものには全て注意書きがあります。

では私の処女作をどうぞ。

君もか




私は貴方に初めて出会って、一目惚れしたんだ。


無気力で、バスケットボールが上手で、面白くて、イケメンで、でも私も貴方にも恋人がいた。貴方の彼女は私よりも可愛くて、同じバスケットボール部で、私の恋が叶うわけがなくて、でも諦めたくなくて、席替えの時いつも貴方を私と同じ班にしようと必死にしてた。グループを作るときもいつも貴方のところへ一番に向かった。


でも貴方の隣にはいつもあの彼女。見ててお似合いだったけどモヤモヤしていた。私は貴方の彼女と仲が良くて、貴方は私に嫉妬していて、貴方から嫌われていた。だけど私は簡単に諦める人ではない。自分をどんどん磨いていった。ちょっとずつ可愛くなってきたと思ったのに貴方は彼女に夢中。


これほど悲しいことはなかった。


そんな時貴方の誕生日を初めて知って、私と同じで運命だと思った。



貴方と私の誕生日の5月16日。


貴方は彼女からプレゼントをもらっていたけど、気にせず私はイキシアの花を貴方に渡した。

貴方は喜んだような顔はしなかったけど受け取ってくれた。私の恋人からのプレゼントは開けずにゴミ箱の中に入れた。


その恋人の誕生日には黄色いカーネーションを送った。恋人は気づかずに「ありがとう」なんて言って嬉しそうに受け取った。どうしても言葉で言いたくなかった。だから花を使って伝えようとした。確実に伝わるわけでもないけど。


でも恋人は私と見合うようになるために努力をしていた。学年1位の成績を取ったり、バスケットボール部の副部長になったり、頑張っていた。


しかし私には「いつも授業を受けず眠っているバスケットボール部部長」の彼しか見えていなかった。私が彼に告白しようとずっと思い悩んでいる間に彼は彼女を変えていた。イキシアの花を渡してからすでに1年が経っていた。



その後何も進展しなかった。そのまま卒業式を迎え卒業した。私は全国でも難関だと有名な学校に進学する予定で、彼は特別頭のいい学校などではなく地元の学校に通う予定らしい。


彼とは学校が変わった。

それでも私は彼の情報を聞いていた。見ていた。恋人とは関係を続けている。


何かあった時に()()として使えるかなと思って。

恋人らしいことは何一つしていない。


これじゃあ水商売をしているみたいだ。


どうでもいいと思っている話に相槌を打って、定期的に来る「愛の言葉」に偽の「愛の言葉」で返し、言葉に温かみがあっても私の心には温かみどころか火種があるとも思えない。厭味ったらしい毒々しい言葉に恋人は気づかない。私はツンデレでも、クールでもないのだけれどな。


彼は毎日女の子に電話を掛けられていた。迷惑そうだったから邪魔してやった。何回も何回も。楽しかった。嬉しかった。私が邪魔した後、彼は嬉しそうに「ラッキー」と呟くから。


あぁやっぱり私は彼に必要なんだなぁ。



私が進学してから数日経つとよく視線を受けた。別に怖いとは思わなかった。


電話は充電するのが面倒くさくて形だけの意味がないただの機械なので誰かに連絡することはできない。しかし視線の人が何か行動を起こすことはなかった。


しかし最近私の家までついてくるようになった。家までついてきたのか。彼に迷惑がかかることだけは避けなければと思い、部屋に入って窓から外を見るが外には誰もいない。視線がまだ続いていた。私は後ろを振り返った。そこには顔が見えない人がいて誰なんだろうと思う前に私は意識を失った。


起きたら朝になっていて夢かなと思ったが、彼がいつ来てもいいようにと綺麗にしていた部屋は荒らされていて夢ではないと改めて教えこまれた。まあいいか。今の私に部屋を綺麗にする気持ち、やる気はない。後でやろう。後で。私はせっかく進学したのにと思ったが今日は休んだ。


年に1日ぐらいサボらせて。



私は彼を独り占めしたくてとうとう彼に告白をした。


「前から貴方のことが好きでした。奴隷扱いでも何でもいいです。なので付き合ってもらえませんか。」


彼を独り占めできるなら私は何でもしようと思った。酷い扱いでも。自殺しろと言われればするし、真冬の川に浸かってろと言われれば何時間でも浸かっているだろう。身も心も捧げるとよく言うが、私は私の人生、命、来世を捧げるつもりだった。


しかし、彼は告白した私にこう言った。


「僕は君が途轍もなく嫌いなんだ。」


知ってる、知ってるさ。だってだって聞いてたから。でも諦めるなんて選択肢があるわけがなかった。



そんなところに恋人が川に現れた。手には包丁や私があげたバタフライナイフがあった。なんでバタフライナイフなんてあげたんだろう。あぁ恋人が彼と同じような能力を持っていたら、彼よりも能力を持っていたら彼よりも恋人が好きになると思ったからだっけ。


「なに。用事?今忙しいんだけどな。」


ちょっと冷たく言ったけど恋人は私の話を聞いていなかったようだ。恋人は彼と私を見てこう言った。私は俯いていたからどんな表情をしていたかはわからなかった。


「やっぱり。」


そのあとの言葉は何だか知らないけどその声には確信が隠されていた。あぁそうだよ。ずっと昔からね。知らなかったのは君だけなんだよ。私は悪くない。私を作った神が悪いんだ。恋人は私を川際に追い込んだ。これが地引網に引っ掛かる魚の気持ちか。恋人は狂気の目をしていた。初めて見た。もっと見せてほしいと願い近づいたら恋人は川に私を突き落とした。


その後彼も突き落とした。2月の川。水温は冷たいに決まっている。せめて2月じゃあなかったらな。衣服に水が染み込み沈んでいく中恋人は言葉を残して川を振りかえず去った。



「自分は君が途轍もなく嫌いなんだ。」



知ってる、知ってるさ。




 感想

(わたくし)はこの話の人物を見たことも聞いたこともありません。

ただ少しばかりおかしいと感じてしまうかもしれない話とは聞いていました。おかしいと感じる点が私はわかりました。

この話に登場する人物の中で「私」と「恋人」だけの性別が分からないのです。一般的な話なら性別が分かるようなことが書いてあるがこの話には性別が分かるようなことどころかどちらの性別でも当てはまるように書かれているのです。これが言っていたおかしい点でした。私はこの話を持っていた方に話を聞いた。

「この物語が出てくる『私』と『恋人』の性別は分からないのですか?」

「そうだね。分からないっていうか書けなかったんだよ。」

そう言ってその人は窓の外を見たが窓の外には何もなかった。あったのは世間からの無数の視線だけだった。


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