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ボクは、ギルドハウス!  作者: タハノア
1章 ボクは、動物の家
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4話 緑のアイツ

 僕が大きな土の巣穴になって、蛇の姿で外をながめ始めてから、しばらくたった。近くを通るのはネズミと蛇ばかりで、いがいと大きな動物はいなかった。


 蛇に擬態をしていたら眠くなってきてしまった。家の状態だと眠くならないけど、生物に擬態をしていると眠くなってしまうんだね……。


 僕は眠気に誘われるまま眠ってしまった。


 スヤスヤと眠っていると、突然ガブっと頭にかみつかれた!


 僕は慌ててむちゃくちゃに体を動かした。すると偶然尻尾が何者かの目玉に当り、かみつきが緩んだ(すき)に巣穴の奥へと逃げ込んだ。


 傷を負った僕を追って、その生き物は巣穴に顔を突っ込んできた。


 体はふさふさの毛に覆われていて、黒い小さな目に小さい耳、足は短いけど、胴と首は長かった。


 コイツは、イタチだ! ネズミさんや鳥さんが、襲われた記憶がある。


 僕は、すぐにイタチの記憶を読み取った。


 いろいろ習得できたがそれは後回し! 読んだ考えでは、この巣穴でも体が入るようなので、このまま奥まで追い詰めるつもりのようです。


 よし! 良いぞ! 僕は、ゆっくりと奥へ逃げて行く。イタチの口が届きそうで届かない絶妙な距離を保つ。そうしてジリジリと逃げていると、ついにイタチの体がすべて僕の体内に入った。


 僕は擬態を解除した。するとイタチは、目の前の蛇が急に黒いドロドロに変わったのを見て驚いていた。


 いただきます!


 その(すき)を突き、壁から触手を一斉に伸ばす! 穴の大きさギリギリの体は、触手に絡まれてすぐに抜けなくなった。イタチは大暴れを始めるが、もう遅いイタチは静かに僕の一部になった。


 僕は、ミップが増えたことに満足しながら、イタチの記憶を確かめていく。


 擬態できる家は穴の空いた倒木だった。餌はネズミや鳥が主だったものだったけど、それではなく他によく食べていたものでした。マタタビの実という緑色で細長い木の実が、生み出せるルアーになった。


 ここで僕は、疑問に思った……。擬態できる生き物って、ルアーとして出せるのではないかということだ。

 

 僕は、まず内部が広い倒木の家に擬態をしてから実験の開始です!


 実験では、イタチをルアーとして出してみる。なぜかと言うと、今のところ、イタチを餌としている生物の記憶がないからです。意識を集中する。巣の中にイタチをルアーとして生み出してみる。思ったとおり! スヤスヤと眠るイタチを出すことに成功した。


 やった! やはりそうだったんだ! これでルアーの種類が増えるよ!


 それにしても、この倒木ってかなり大きいな~あらためて自分の姿を確認する。


 長さは、50cmほどで、幹の直径は30cm以上ある倒木です。木の中身は朽ち果て、外側の部分と木の皮だけが残っている。片側だけ穴が開いた筒のようになっている倒木だった。


 僕が出したイタチは、スヤスヤと眠っている。その様子を見ながら、これからのことを考える。すると何かが僕の中に入ってくるのを感じた!


 びっくりして視線を移し観察(かんさつ)すると、そこにあったのは緑色の手だった!


 なに!? 何だこれ! 僕は、それをじっくりと観察(かんさつ)する。


 緑色で、指は四本あり手のひらは小さく、指は細長く爪は鋭い。


 これは、見たことない動物の手だ……。手は何かを探すように、そこらじゅうをペタペタと触りまくっている。どうやら、木の中に入れないほど、大きな生き物のようだ。また視点を移し外を見ると、僕の中に手を突っ込んでいる生き物がいた。


 こいつは、ゴブリンだ! イタチさんの仲間が連れ去られる記憶があった。


 この辺の瘴気(しょうき)の薄い森で、生態系のトップに君臨する生き物だ。(わな)や待ち伏せが得意で、結構大きなイノシシも倒せるやつだ。


 皮膚は緑色でとがった耳に、黄色い瞳で黒目は横長でヤギみたいだ。やせっぽちで腕も足も細く背丈は1m20cmぐらいだ。服装は、毛皮を腰に巻いているだけだった。突っ込んでいる手と逆の手には、木の棒を握っている。


 よく見ると、このゴブリンは片耳の先が少し切れている。


 うわー……これ、どうしようか……。


 ゴブリンは、手を引っこ抜いたので、諦めたのかな? と思っていると、倒木に擬態をしている僕を木の棒で、たたき始めた!


 いたい! 何するのこいつ! 八つ当たり? それとも僕を壊してイタチを取るきなの?


 このままでは、大変なことになる! どうにかしないと!


「グゲ? 魔力ある!? これ木じゃない!」


 どうにかしないとダメだ! と思っていたら、ゴブリンは急に手を止めた。そして、その理由は木じゃない、と見破られるというもっとピンチな状態になってしまった!


「オレこれ知ってる! モノ消える魔法のゴミ箱!」


 そう言うと片耳のゴブリンは、僕を縦にして置いた。片側に穴の空いた丸太は、穴を上に向けて置かれまるで筒状の容器のようです。そして、そこら辺の木片や石を僕の中に投げ入れた。


 え? ゴミ箱!? どういう事? なにか別の物と勘違いされたのかな? とりあえず壊されなくてよかった! いや! 全然良くない! 僕はいったい、どうなっちゃうの!?


「あれ? 消えない? 消えないなら(まき)にするか」


 え? (まき)!? ダメダメ火気厳禁! ええと、これを消せば良いんだね? とりあえず僕の中に入れられた物をすべて吸収して消した。


「やっぱり魔法のゴミ箱だ! 家に持って帰る!」


 片耳のゴブリンはそう言って、僕を持ち上げると肩に担いで運び始めた。


 僕は一体どうなっちゃうのだろう?


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