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ボクは、ギルドハウス!  作者: タハノア
1章 ボクは、動物の家
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2話 森の生き物たち

 どうやら僕は捨てられてしまったみたいです。ということは、魔王は僕の敵で魔王が戦う人間? という生き物と仲間になったのかな? うーん、難しい事はよくわからないなぁ。


 ええと、ここは、どうやらどこかの森みたいだね、海とかじゃなくってよかった!


 ここは、前にいた森と違って瘴気(しょうき)がかなり少ないみたいだ。だけど似ている動物がいる森のようです。


 とりあえず僕は本能に従うことにする。いろいろ吸収して、ミップを増やして体を大きくしなきゃいけないね。じっとしていても始まらない! と言っても動けないのだけど……。とにかく今できることは、体内にルアーを出現させることだ。


 僕は擬態できる家やアバター、ルアーとして生み出せるものを思い出すことにした。これは魔物になる前に僕に住んでいた鳥さんの記憶だ。


 擬態できる家は鳥の巣箱、アバターは青い小鳥さん、生み出せるルアーは芋虫くんだった。


 鳥に擬態できるんだね、やったね。さっそく鳥さんに変身してみよう! ぐぐぐっと力を入れると、巣箱の床が黒くなる。床は、ぐぐぐと盛り上がり、鳥の姿に変身した。


 すると視点が鳥さんに擬態をしたアバターへ移った。そして僕は落っこちて天井に頭を強打した。


 イテテテ!


 そういえば、今、僕は逆さまになってたんだ……。翼で頭をなでながら周りを見回してみる。そこには何もなく、ただの木の箱でした。


 そりゃ、そうだよね。よし! 外に出てみよう! 僕は翼を広げたりして、完全に鳥の体になっていることを確認する。そして巣箱の入り口に足をかけ、羽ばたきながら外へと飛び立った!


 その瞬間! 僕の体はどろどろに溶けてびしゃっと地面に落ちた。


 うわああああ! びっくりした! そうか、外に出たら溶けちゃうんだ! 死んだかと思っちゃったよ。


 あれ? それよりもまずいことになってる! 擬態をするために必要な素材であるミップが減ってるよ! どうやら、鳥の僕を外に出してしまったので減ってしまったようです。うう……ただでさえ少ないのに……。もうやってしまったことは、しょうがない! 切り替えていこう!


 僕は体の中に、芋虫くんを生み出した。ルアーとして生み出したものは、生き物でも動かせないんだね。もしかしたら、ルアーは僕とは別の物体になっているのかな?


 他にできることがないので、じっと何かが、芋虫くんを食べに来るのを待った。


 芋虫くんは時々獲物(えもの)を誘うように、うぞうぞと動いている。動かせないけど誘う動きは自動でしてくれるんだね! 僕って、実はすごい魔物なんじゃないの!?


 数時間後、すっかり日も落ちて、辺りは真っ暗になっていた。何も見えなかった頃はなんとも思わなかった。けれども見えるようになってからは暗くなると何だか怖いね。


 そんなことを思っていたら何かが、僕の中に入ってくるのを感じ取った。


「チュウ! チュウチュウ!」


 灰色をした四足歩行です。黒いくりくりした目が、かわいくて、しっぽの長い生き物が僕の中に入ってきた。


 たしかこれはネズミだね。鳥さんが巣箱に入られないように、ひっしに戦った記憶が思い浮かんだ。


 まずは、記憶の読み取りだ!


 芋虫くんを食べているネズミに、意識を集中すると記憶が、どんどん流れ込んで来た。


 体の作りなどがわかったことにより、ネズミさんに擬態ができるようになった。この生物が、家と認識している土をほった巣穴に、擬態ができるようになった。この生物が一番良く食べているどんぐりを生み出せるようになった。


 情報収集は終わったね……では! いただきます!


 僕は床や壁から黒い触手を出すと芋虫を食べていたネズミを拘束する。もがくネズミをゆっくりと壁の中に引き込んでいく。


 しっかりと包み込み、自分の体の一部へと変換した。ふう……鳥で失敗した分は取り戻せたかな。よし! 次はドングリを出してみよう。


 ――ドングリを出してから、だいぶ時間がたった。太陽が顔を出し、周囲が明るくなってきた。


 やはり周りが見えると、少し安心だ。


 安心していたところに何やら奇妙な音が聞こえてきた。


「フゴッ! フゴッ!」


 鼻息の荒い4足歩行の生き物が鼻を器用に使い、落ち葉を掘り起こして何かを食べている。


 あれは……イノシシさんだ! ネズミさんの記憶では餌を取られる怖いやつだ。餌の貯蓄場所を掘り返されて、ためたドングリを奪われた記憶がでてきた。


 イノシシさんはフゴフゴと鼻を鳴らしながら近づいてきた。僕をじっと見るイノシシさん……。


 フゴフゴとしながら、僕の巣箱の穴に鼻を突っ込もうとしてきた! さすがにイノシシさんのモノは大きくて、僕の穴には入らなかった。


 それから僕はされるがまま鼻でこづかれてゴロゴロと転がされた。回転した勢いで巣箱の出口からドングリがポロリと落ちた。すると転がすのを止めて、それを食べ始めた。そしてまた、匂いを嗅ぎ、まだドングリがあるのを確認すると、また僕を転がす。


 そうして僕は、しばらく転がされ続けた。僕が生み出したドングリを全部食べ終わると、鼻を鳴らしながらどこかへ去っていった。

 

 うわー、ひどい目にあった! ぐるぐる回されて、ドングリは全部取られちゃった。さらには巣箱の向きも、逆さまから穴を空に向けた状態になっちゃったし。雨がふったら水が入っちゃうよ!


 そんなわけで、僕より大きな生き物イノシシさんとの勝負は僕の完敗でした。



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