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お茶会に来ました。王家主催のお茶会ですので私も同じ年ぐらいの子がわんさかおります。

ニアいないかなぁ……いないなぁ。私がちょっぴり落ち込んでいると、扉が開く音がして、女の子たちが顔を真っ赤に染めた。音がした方は目をやると、細く美しい銀の髪と深海のような紺の瞳をもつ、この国の第3王子、ヨハン・ルーツがいた。泣きぼくろがセクシーですね。

画面から出てきてもこの麗しさ……女の子が惚れるのもよくわかる。ただ、周りの令嬢のギラギラした目は怖いし、王子はニアの不幸の原因なので関わらない方向で。私は庭園の隅で花見でもしていましょう。

庭園の中をてくてく歩いていると、花壇の隅でうずくまる紺色の髪が目に入ります。隠れているつもりでしょうか……?

とりあえず余計な関わりを持ちたくないのでスルー……って泣いてるじゃないですか!!流石に泣いてる少年を知らんぷりは出来ません。

「どこか怪我でもしているのですか?」

私はヒロインの秘儀『心を開かせるスマイル』を浮かべつつ話しかけます。


少年はビクッと体を揺らし振り向きます。あらイケメン!!髪が紺色だから瞳も紺色かと思ってたらまさかの色素薄め!薄緑!!神秘的!!将来絶対クールキャラになる顔立ちしてるよ!クールキャラとか最高かよ!私の語彙力じゃ語れない!


「うわぁぁぁ!!かっこいい!!素敵!!結婚したい!!性癖ドストライク!!」


気づいたらそう口走ってた。やっちゃったよ!!私は恐る恐る少年を見ます。

少年は目を見開いていました。ですよね。

とりあえず謝らなければ!


「あのね!今のはね!!なんというか!!「ねぇ……君は」」


遮られてしまいました……。


「ねぇ。君は僕を認めてくれるの?」


……なんか闇が深そうなセリフだな。


「あなたの美しさは万人が認めると思いますが」

「容姿だけではないのです」


少年の表情が暗くなる。イケメンの悲しんだ顔って美しいなとか思ってませんよ!


「私に悩みを話して見ませんか? 他人に聞いてもらった方が心がすっきりすると思いますの。」


くらえっ!秘儀『心を開かせるスマイル』再びっ!

少年は少し話そうか悩んだあとぽつぽつと話し始めた。


「僕は侯爵家の三男として生まれたんです……10歳と7歳年齢が離れている兄はとても優秀で、何をやっても完璧で、僕っ、いつも比べられて……どれほど頑張っても兄には勝てないし、人並みにできても、出来るのが当たり前って思われてるから誰もほっ褒めてくれないし……」


あぁ〜比べられるのは辛いよね〜私も前世では両親からパーフェクトな姉とよく比べられたっけ。それで落ち込んでたらいつも兄さんが慰めてくれたんだよね。


前世で兄さんがやってくれたように私は少年をぎゅーっと抱きしめます。

「貴方のご両親はお兄様の出来の良さに目が眩んで、貴方が優れている部分をまだ見出していないだけです。人には向き不向きがあるのですから、お兄様とは違うことをやってみたらいかがでしょうか?」


我ながらいいこと言ったんじゃない?


反応が全くなかったのでちらりと少年を見ると、心なしか頰が赤くなっている気がします。


「僕、お兄様と同じことしなくてもいいの?」


少年はおずおずとそう言った。


「いいのです!!貴方の人生は貴方の物なのですから!!」


私は秘儀(以下略)を浮かべ返事をする。


「……ありがとう」


はにかみながら笑う少年はやっぱり美しいです。

それから2人で庭園に備え付けられているベンチで家族のことや趣味などたわいのない話をしました。

気がつくと空が茜色になっています。お暇の時間です。


「そろそろ帰らなくてはなりませんわ…本日はたくさんお話でき楽しかったです。ごきげんよう。」


少年に挨拶をし背を向け歩き出そうとすると、ドレスの裾を引っ張られた。


「ねぇ……君は僕のこと嫌いじゃない?」


突然ですね。こんな可愛い美少年嫌いなわけないじゃないですか!


「私の話に付き合ってくださりましたし、どちらかと言えば好きな部類に入ります」


少年の顔がぱあっと明るくなった。なんだなんだ。


「君は僕とずっと一緒にいてくれる?」


今まで相談する相手もいなくて不安だったんでしょう。


「もちろんですよ!」

「そっか!嬉しい……じゃあまたね!」


少年は満面の笑みで走り去っていきます。なんだか仕事をひとつ終えた気分です。

さぁ私も帰りましょう。





後日。私はお父様の書斎に呼び出されました。


「君の婚約者になったロイス・ラングーンです。これからよろしくお願いします」


そう紺色の髪を持った少年が笑顔で挨拶した。

んんっ??どういうこと??なんでお父様も満面の笑みなの?


「お父様っ!!いつ決まったのですか??どういうこと??」

「先日お茶会で一目惚れしたそうだ。彼自らこの婚約を希望した。流石我が娘だ。彼は侯爵家の子息だ。なかなかの優良物件だろう?」


本人の前で言うのはどうかと思いますが。


「彼には婿養子になってもらうつもりだ。早くセドン家に慣れてもらうために今日からここに住むことになった」


うぇっ?同居??てか彼の名前ってロイス??ロイスってアイリスの義弟になるんじゃなかったっけ?シナリオ既におかしくなってるよ!!

私が頭を抱えて混乱していると


「せっかく婚約者の僕が目の前にいるのに悩み事?」


と言って、私の手の甲にちゅっと音を立ててキスをしてきた。私が顔を真っ赤にさせたのを見て満足したかのように微笑んだ。


「絶対に逃がしませんからね」


ずっと一緒にいるってそういうことなの?…私の思考はフリーズしました。

あっ。お父様が青筋たててらぁ。


ーー義弟になるはずのキャラが婚約者になりました。


ここまでは書き溜めていたのですぐ更新できましたが、3以降は亀更新になりそうです。

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