第8章 羅剛神の在処8
「でも、あのまま放っておいたら大変なことになる!」
羅剛神はレイン達に足止めされたらしく、後を追ってくる気配はない。僕が走っている間もイアンは焦ったように僕に言った。
「分かってるよ! でも、僕らには何もできない。一方的に殺されるだけだよ」
何とか洞窟を抜けだした僕は、イアンに止められて渋々出口で足を止めた。その時、
「どう? 羅剛神を目の前で見た気分は」
と、あの憎たらしい声が聞こえてきた。足音が洞窟内で反響しながら近づいてくる。
「いやぁ、君達の協力がなきゃ復活まではできなかったよ」
ようやく光の下まで歩いて来て、ニールは笑顔で姿を見せた。今までにないぐらいニールは満足そうで幸せに満ちていたが、羅剛神を放っておけば手当たり次第に生き物を殺して多くの血が流れることになる。僕らは笑えなかった。
「これでこの世界の生き物は全て羅剛神に殺される。この世界を無にしてまた新しい世界が生まれることができれば、その世界は戦の無い平和な世界なのかもしれない。僕はそれが楽しみなんだ。いやぁ、ベリトルもやっぱり道具だよね。僕と一切話さないようにしてたみたいだけど結局プログラム通り持ち主に羅剛神の場所を教えた。ほんと、バカだよ。所詮道具だったってことかな」
レインが放っていたのと同じ、肌を刺すような冷たく鋭い気配を僕は背中から感じた。そう、これは殺気。
「イ、イアン……」
呼びかけに応えることなくイアンが背中から降りた。僕に目もくれずニールを睨むその瞳は明らかに怒りが宿っていた。いや、それ以上の、何かが。
「違う」
ニールにその声は聞こえない。ただ大笑いしているだけ。
「バカな剣。言わなければこんなことにならなかったのに、全部全部僕の思い通り。まぁ今はもう壊れてしまってるけどね。見せてあげたかったなぁ。復活した羅剛神を見たらきっと今度こそ声を上げるだろうね」
「黙れ」
「道具は道具。人間にいいように使われて勝手に壊れる哀れな物だよ」
不意に、頭の中にベリトルの事が浮かんだ。僕らにとって、物なんかじゃない。ベリトルは……。そう心の中で思った僕と同じことを思っていたのか、その言葉の続きがイアンの口から飛び出した。
「今もこれからも、僕らの大切な仲間だ!」




