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龍と達夫と極彩色の異世界  作者: 大平奏
3/5

夜の入れ違い、出会い

 その夜はいつものようにパコパコやろうとおもいついたわたしでした。パコパコやるのにまず必要なのはやはり女です。その辺にいるちょうどいい女をつかうのですが、それが夜なのであまり見つからなかったりします。なのでいつも私は昼のうちに女を木にくくりつけたりなどしています。 

 なのですが、この夜は違いました。昼にくくりつけておいたはずの女がなんと脱走していたのです。おそらく、結びが緩かったのでしょう。ちくしょぉー!!。困りました。この時期のわたしの心の支えはそのパコパコ以外なかったのですから。わたしは仕方なく夜の森をさぐりさぐり歩くことになりました。

 わたしは森の夜を知りませんでした。森の夜というものは都会の夜とはそれはわけがちがいました。なにもみえないのでございます。ここへ来てしばらくはその恐怖にさらされました。が、しばらくたてば案外これもなれるものでして、こうして歩き回るくらいはできるようになりました。

 探すこと約6時間(誇張はしておりません。森の闇は本当に暗く、そしてわたしの欲もそれはそれはすさまじいものでした)ついに見つけましたのはとても貧相な体つきをした私と同い年くらいであろう子供でした。わたしはみつけるやいなやその行為を始めました。が、しかし、その体はわたしを拒みました。穴を間違えたかとも思いましたがどうやらそうでもなく、なんとこの子供、男、ボーイだったのです。わたしは恐怖しました。なんせあの赤い男以来の男でしたから。冷や汗冷や汗な私でした。


「不安なのかい?」

「え?あ…」


私は恐怖していたのにもかかわらず、彼からの意外なる言葉、またこの世界にて初めて聞いた人間らしい言葉に驚きの色を隠せなかったのでした。


「うん…。確かにこれは不安だ。しかし恐怖もある…。」

「…。」

「しかしだ。安心しなさい。大丈夫だ。」


私は次の瞬間、突発的な涙を流してしまいました。ボーイの背中に。果たしてその涙、何に向けられたものだったのでしょう。ただその涙は久々に人間を感じれたから流れたものなのでしょう。そしてボーイは私にわたしのぶつを引っ込めるよう言ってからわたしの方をむき、優しくなぐさめるのでした。

 私が落ち着くと今度は私が先行でおしゃべりを始めました。


「わたし、不安なのだよ。きみがまさしく言うとおり。このエキセントリックな世界。楽しいには楽しいがね、不安がつきもの。」

「…わからないことだらけだものね。しょうがないよ」

「そこに現れた君…。君はやさしいひと…。いや、やさしいのかい?」

「なんだねなんだね、それは。ははは。まぁひとまず寝ようじゃないか。いや、夜中なのだよ。今は。君は僕を訪ねてきた。理由はなんであれね、客人にたいして粗末に扱えないよ。なのだから今は夜だ、夜中だ。なので休もうではないか。」

「そうだね。でも、でもさ。きみ、いなくなったりなんかしないかい?あさ起きたら「あめま!いないぞぉ!にげられた!ちくしょぉー!」なんてことにはならないよね?」

「ははは、にげもかくれもしないさ。さあ、よいこはゴートゥベットだぜ。」


 ねた。ぐっすりすりと。いままでのようではない、深い眠りであった。

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