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龍と達夫と極彩色の異世界  作者: 大平奏
2/5

楽しい生活、そしてそこに忍び寄る影。

 それにしてもワンダフルワッチュンランド、やなところです。しかしそれでも最初はわたしもそれなりにたのしかったはたのしかったのです。都会のような悪趣味なビル軍がにょきにょきうごめくでもない、やさしい、やさしすぎるわたしを包み込むどこか懐かしい小自然は現代社会を生きてきた私にとって楽しい場所でした。そしてとにかく解放されました。何かに所属する、雇用されるがないわけでありますからね。それになんといってもルールがありませんから。そりゃはしゃぎましたよ。飯は自給自足、誰に指図されるでもなくその辺でコスコスやっているウサギや豚なんかを壊して食べるのですよ。女も五人は壊しました。うふふ。そんな生活のなかでわたしは現代社会の1問題についての見解を示しました。「人間はその個人と個人との間に関係を築き、それを深めすぎることで狂うのだ」。傑作でしょう?考えついた当初はぷぷぷと笑ってしまいましたが、今では自賛の偏りです。

 でも、そんな生活を続けるうち、わたしの中に底知れぬ不安がでてきました。「今は大丈夫だ。なにも問題なく高笑いして生きてられる。しかしながらこれはそうながく続くのか?」この世界で私が目にしたものはというと日本における里山などによく似た人間好みの小自然、わたしにされるがままの自閉的女共、センズリックアニマルズ、そしてあの赤い男だけでした。そうですそうです!あの赤い男!あれが私に底知れぬ不安感を与えたのでした。あの赤い男がいづれわたしのこの楽しい生活に終止符をうつだろうと。その不安のなか、私はやはりまたひとつの見解にたどり着きました。「人間は進化により、個人と個人の関係を築くことを学び、そしてそこから安定した生活及びに将来への不安を取り除くことに成功した」と。つまりは現代社会を生きていた私にとって完全に俗社会を抜け出し属すことをやめることは不安感を掻き立てかきむしるそれにちがいないのであり、割腹ものなのでありました。

 というわけで、私はとうとうこの世界に嫌気がさしてきたのでありました。

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