De som från himlen<<天から降るモノ>>
―De som från himlen―
少年は魔力を自身に満たす。両手に長刀をもち、ハウンドドッグに迫る。昨晩とは違い、自身から先制を打つ。近くにいるハウンドドッグを片っ端から片付ける。空から迫り来る、烏はリームシュークが氷で近寄らせない。ヘルハウンドと比較すると力はなく、速度もないが一人で相手する量が量だ。空中から襲い来る烏はリームシュークが防いでくれるが、完全に無視をする訳にはいかない。魔力を使うことを覚えたためか体力に心配はない。問題は自身の魔力が底をつかないかだ。少年は余裕を見てヴィットをみる。
「…キメラが…四…森に…ニ…他キメラは…いない…」
魔法陣を形成しその中からナイフを取り出す。そして近くにいたキメラにゆっくりと歩んで近寄る。ナイフには彼女の魔力が満ちる。傍目見ただけでは氷で形成されたナイフだ。その時点で普通ではないが、彼女の魔力がナイフを充満している。今そのナイフで貫かれれば出血がない代わりにそこから体内が凍りつくだろう。キメラに近寄るたびキメラは一歩ずつ後退する。四体のキメラの中心に立つ。わざとではあるが、誰かが見れば無警戒すぎると注意を促すだろう。……まぁ、キライはそれを見ていたが注意するほど余裕がない。
中心に立ったところでキメラは優位に立ったと認識したのか距離を詰め始める。それはヴィットの想定したものだった。そして死角にいたキメラが一気に距離を詰めて突進をしてくる。そのキメラをすれすれで回避し通過していく。通過していく際にはナイフの先端でキメラを切りつける。一体目のが、合図だったのか他の二体も突っ込んでくる。残りの一体に関しては、うごかなかった。それは昨日襲撃してきた一体。近くで見ると他の個体よりも身体は大きく、手傷をおい、翼をなくしているとしても今ここにいるキメラの中では一番力を持っているだろう。
「…あれ…君は…こなかったの…?…」
勢いよく突っ込んできたキメラの一体は一体目と同様で回避されナイフで切られる。もう一体の背中にはナイフが突き刺さる。するとそのキメラが振り返った後ガタガタと震えだす。そのキメラの方へ向き一気に距離を詰めると背中に突き刺したナイフを引き抜く。引き抜いた箇所から出血はない。引き抜いたのと同時にキメラの翼を切る。骨格に沿ってナイフを通す。すると翼は凍りつき飛んで逃げることは出来なくなった。
「ヴ、ヴィットもたいがいだな……。」
(ふふ。惚れる相手間違えたかもね。)
「シ、シューまで!!」
(あの子より強くないとボクが許可しないからね〜ダナエの元で頑張りなよ。)
そう言われてヴィットを確認するキライ。あの子より強くなるためには自分はどこまで登りつめればいいのだろう。そんなことを考えながらハウンドドッグを片付ける。烏はどんどん増えリームシュークの氷だけでは対応できなくなる。氷を抜けてくる烏はキライが切り落とす。ハウンドドッグの半数を片付けたキライは柄を合わせて双刃刀に武器を切り替える。先日のダナエを真似て片側の刃を持ち振るう。リーチが伸びた分空中の相手をしやすくなる。
一体のキメラが凍りついていた。
それは最初にナイフを背中に突き刺したキメラだった。次に近くにいたカメラを睨みつける。同時に羽を失ったキメラの周りに氷柱が生える。退路を断ち、それに加えて進む道を塞ぐ。くすりと笑みを浮かべる。人前だっていうのに。何故か楽しい。今までみたいに何がわけわからずに楽しいわけではない。誰かが自分を守ろうとしてる。しかもその相手は自分より弱いにもかかわらずだ。理解はできないし、正直困惑する話だ。誰かの役に立っている。
そう言う認識だ。思ったよりも早く、無理矢理に魔力が使えるようになった事もあるが、そんな相手を助けることができる。
「…なんだろく…悪い気分…じゃない…」
そんな雑念にまみれた状態でも多数のキメラに引けを取らずに、むしろ押していく。
「…隠れられても…邪魔だよね…」
そう呟くと氷が森に降り注ぐ。その氷を避けるため隠れていたキメラは炙り出される。彼女が思った通り二体のキメラだ。彼女の降らせた氷に巻き込まれて何体かの烏も撃ち落としたようだ。森から出てきた二体を合わせて計五体。うち一体は手傷を負い、彼女の氷で恐慌状態だ。
ヴィットの睨んだ通り山頂にそれはいた。いたのはキメラではない。人間だった。……人間か?
「あの子達は大丈夫かなー。まぁヴィットは問題ないさーキライがどうなるかな。あの子の魔力は普通の子とは違う気がするんだよね。そこらへんに関しても教えてくれると私とても嬉しいんだよね。」
「嬉しい。嬉しいか……。先生にさ年上の女性には親切にしろって言われてんだけどな。あれは人間限定の話だろうか?魔族はどうなんだ?」
「知るかよ。そんなこと言う余裕はアンタにはあるんだろうが俺にはないぞ?正直今すぐここから逃げ出したい気持ちで一杯一杯だ。なぁ?逃げていいか?俺、好みじゃないんだ。あっちの白い子のほうがいいなぁ。力ずくで打ち失せたい。ああいう手合いは簡単に折れないから楽しいだろ?」
「まてまて。あいつは俺のモノだ。誰にも譲らん?」
男の首根っこをつかむ男。金色の髪と金色の瞳。身長は170センチ程度。首根っこを掴まれたのは160センチ程黒髪でメガネをかけて右目に眼帯をしている。
「私の事はほぼ無視かい?それは楽しくないねー。その話だと少なくとも君はヴィットのことを知っているんだね?」
「あー、悪い悪い。人間以外が人語をしゃべるな。少し不快だわ。」
「確かに不快だな。」
「不快……ね。私としてはあんたらみたいのが不快に思ってくれればそれほどに愉快だね。」
「さて、化物退治を始めよう。おい!化物、殺しはしないが後悔しろよ。」
首根っこを掴まれた男がすると周囲が白く光りに包まれる。そして空にかかっていた雲が割れて六枚の羽を持つ白い装束の女が降りてくる。しかし神話で聞く天使とは大きく異なる点があった。首元に大きな鎖が巻かれている。
「これは……!?」
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ノシ




