jag ……<<私は……>>
―Jag ……―
夢馬は通常の馬なんかと比較にならないくらいの速度で野山を駆け抜ける。ダナエは流石としか言いようがない。ヴィットももちろん余裕で乗りこなす。……問題は闇夜の中絶叫を上げてる少年だ。翠色の夢馬に乗る少年。彼の乗る夢馬はキライのことを気に入ったらしい。通常彼らは契約した相手からの命令を聞き、それ以上の事をすることは無い。無邪気に戯れるように走っている。高く飛んで見せたり、蛇行したりと自分が何をできるかそれをキライに見せているようだ。それに付き合わされているのは成長中の少年。鞍も付けず馬に乗ることはとても難しい。そんな中、曲芸のように色々な走りを見せている。
僕はきっと嫌われているからこんなことされているのでは?と少年は勘ぐっている。
ヴィットはそれを見て思わず笑ってしまっている。この人は戦闘になったらそこそこに度胸を見せるし、孤児院外ですごいと思える人なのに、それが必死に夢馬にしがみつき、涙目になりながら旅に同行している。彼女の乗る夢馬は彼の乗る馬とは真逆で静かに走る。馬に乗っている事を忘れる程に振動を感じない。リームシュークに至っては夢馬の頭へ向かって歩いたり、背を伝い尾の方へ行ってみたりと楽しんでいるようだ。
「ははは。キライ!キミは運がいいねー。夢馬に気に入られたみたいだよ?魔力がちゃんと使えるようになったら契約してみなよ。ヴィットは流石としか言いようが無いけど、それにしてもキミは面白い。」
ヴィットも思わず頷くき、平原についたところで夢馬は足を止める。もちろんダナエの指示だ。下馬し、一度夢馬を放す。
「ど、どうしたんですか?」
「んー…まぁ、キライ、君には私が何か知っておくべきだと思ってね。」
ヴィットは首をかしげて二人を見守る。
「な、何とは?」
「私は人間では無い。沼の事件のまぁ、一応関係者だ。いや、ちがうな。首謀者の友達だ。」
「……?な、何を言っているか……わ、わかりせん」
「おや?キミはこの前のアンデット大量発生の事件を知らない?」
「い、いえ。ぼ、僕は昨日まで倒れてましたから……。い、一応報告書に目を通しましたが大事なことがぼやかされてたので。」
「……はぁ。めんどくさいなぁ」
そう言うと彼の絶叫が平原を走り抜ける。ひっそりとうとうとしていたヴィットの目が覚醒する。そして二人を再度みると、確かに絶叫を上げるにふさわしい状態になっていた。ダナエがデュラハンであることを見せていた。……彼女の首は彼女の手にあった。
「そ。私は人間ではない。普通のデュラハンとも違って、もともと妖精として生まれたわけでもない。元吸血姫だ。キミはそれでも旅に同行するかい?私から魔力の使い方を学びたいか?まだここなら引き返せる。ヴィットは知っててついてくるけどキミは違うだろ?不公平だし、何かあってからじゃ遅いからね。」
「デ、デュラハン!?ま、魔族。ぼ、僕は……。」
彼は俯いて考える。帰るかついていくか。もちろんデプロが彼女の事を知るわけも無い。彼がもし知っていたらついて行かせただろうか?……僕は馬鹿か。あの人なら好きにしたはずだ。自分の尊敬するあの人なら。
「…難しく考えない…やりたいの…?…やりたくないの…?…」
「じ、事件のことなんて、ぼ、僕は知りません。な、何があったかは気にならないわけじゃないですが。そ、それでも僕は……。」
「そうかー。魔力については?魔法もしくは魔術を私から学びたいかい?そこもはっきりさせよう。もう知ってのことだ。私は魔族。それに学ぶっていうことは人から見ると逸脱した行為だ。まぁ、魔族に学ぶっていう機会は世間からするとないと思え。」
「…ね…?…私も…いいの…?…」
「もちろん。と……言いたいところだけどその場合ユキト話してきてほしいかな?契約した相手は彼だろ?それにキミは自分がかかっている呪縛を解く必要がある。」
「…とけるの…?…」
「可能性はないわけじゃないよー?もちろん、一人じゃ無理だし、人の手には余るよ。それにキミが祝福の民ならねー。まぁ一族に会わなきゃいけないし、色々と準備は必要だ。あ!氷の魔法に関して教えれるかな?他のは使えなけど」
「あ、あの……よ、横からすいません。ぼ、僕は学びたい。つ、強くなりたいです。」
「そ。じゃ明日までに魔法使いと魔導師どちらになりたいか考えておいてねー。ま、好みと向き不向きは別だけどね。私はちょっとお仕事してくるから今日はここまで。ここで休んでね。明日からは少し頑張るんだからね。」
ダナエはそう一言残すと一冊の古い本をキライに渡す。そして闇に消える。
渡された本には魔法使い、魔導師がどんなものか書いてあった。ヴィットも少し興味ありげにキライの読む本を目を擦りながら覗き込む。
日曜…まにあった!!
明日も更新するよ♪
お時間があればそちらも♪
ノシ




