Desperat Situation<<絶体絶命>>
―Desperat Situation―
ゴブリンの戦士達やキライにバレないように尾行するのにもそろそろ飽きてきた。……そんなことを言っていてもいい仕方ないのだが、ここまで隠れてきたのだ。バレるのも癪だなと思い大きくあくびをする。彼女としては相手がオーガと聞いて自分とビローアの狩り残りかと心配するがとりあえず見守ることにした。数分歩くとゴブリンの集落に到着する。どうやらオーガ達は休息を取っているようだ。集落の中央の広場で横になるオーガ二体が目に入る。彼らの図体だとゴブリン達の小さな家には侵入できなかったようだ。そして家などの破壊はまだ行われていない。ゴブリンには僥倖だった。逃げる際に若干の被害はあったものの、オーガを追い出せばすぐに普段の生活に戻れるのだ。デプロの指示でゴブリンの戦士達は二体にそれぞれ別方向から矢を放つ。たいしたダメージを与えることかなわないが彼らの目をさますことには成功した。そしてそれぞれの矢の飛んできた方向へ怒号をあげ歩いていく。上手く分断することができた。キライのいる方には大きな棍棒を持っているオーガが向かい、デプロの方には大きな刃物を持つものが歩いていく。ヴィットはとりあえずキライの方に向かう。デプロはあれが相手であれば心配ない。彼女は「黒い骸骨」に遅れをとったキライが心配になった。たかが人間の盗賊風情にやられてしまった少年には無理だと思いリームシュークにも準備させる。
「あ、あの、無駄だとは思いますが、こ、このまま引いてはもらえないですか?ぼ、僕は相手が魔物であれ……こ、殺したりなんかしたくないんだ。」
それを見たヴィットは思わず頭を抱えてしまった。彼が警告をしたが、それに対して何の反応もない。首をかしげるような素振りを見せた後、人よりも大きな棍棒を振り回してくる。彼の読み通り王ではない。やはり知性の欠片も持たない。ただ棍棒を振り回りてくるそれは脅威ではない。確かに当たれば致命傷を追うだろうが単調な攻撃だ。正確に見切り余裕を持って回避行動をする。彼女はそれを素直に感心しながら見る。自分とは違い大雑把な行動だが、リスクは少ない。強いて言えば距離を大きく取りすぎたりなど自身の体力を無駄に使ってしまっている部分はある。彼女のようにスレスレで回避するのには確かにリスクがあるがそれ以上に長期戦になっても体力を温存できるのと、反撃するのにナイフであれば間合いが重要になってくるのだ。彼の場合、デプロと同様で両手に長刀を携えている。柄の形が特殊といえば特殊だが……。それはさておきヴィットほど近くにいる必要はない。回避と同時に棍棒を持つ腕を集中的に攻撃する。確かに本体にはダメージが少ないが、効果的である。彼もヴィットと同様で身体は小さい。それからか自分より大きな相手と戦う手段には長けているようだ。
(ヴィット、助けなくて大丈夫?)
とりあえず現状であれば助ける必要はなさそうだ。実力の全貌は見れていないのが残念だが……。相手が怪物であれば足手纏いにならない。連れて行ってもいいかなと考えていると近よってくる気配を感じる。隠すつもりだが、上手く隠せていない。感覚が鈍っているせいか味方か敵かの判断がつかない。片手にナイフを構え、片手には投擲用のナイフを構える。今ここで見つかるのはなんとなく嫌だと思い素早く木の上に登る。果たして自分を見つけにきたのか、何かから逃げているのか……。少しすると相手が見えてくる。どうやら自分を見つけてきたわけではない。手負いのゴブリンだった。恐らくは襲撃に会った際逃げ遅れたか、何かで別行動を取っていたのであろう。とりあえず問題はなさそうだとキライの方へ視線を移動させる。オーガが痺れを切らしたのか大きく振りかぶっている。するとキライの構えが変わる。いや、武器もだが。長刀の柄と柄が結合し、特殊な武器にかわった。確かに彼の持っていた長刀は柄が通常の倍以上の長さだ。その長い柄が結合し二本の長刀が中央で一本になる。左手を前で前に構え右手でその刀を持ち棍棒が振り下ろされるのを待つ。
「エ、工ルカリの打った"天秤の双刃"。ほ、本気で行きます。」
怒号と棍棒の重みとオーガの頭上から振り下ろす加速度で轟音があたりに響き渡る。キライは振り下ろされた棍棒を双刃の片刃で棍棒を受けたその勢いを利用して逆刃でオーガの右腕を切断する。受けた棍棒の勢いをそのまま利用して攻撃に転じる。ヴィットはそれを見ながら確かに臆病者のキライとは印象がかなり違うなと観察を続ける。すると轟音に驚いたゴブリンが錯乱して飛び出していく、それもオーガの近くに……。飛び出した瞬間ゴブリンは直感した。自分は愚かな過ちを犯したと……。オーガは左腕でゴブリンを殴りつける。キライの刀はあくまでも相手の力を利用して攻撃に転じるというものだった。自分から攻撃するのは苦手であった。彼は急いでゴブリンの元へ向かい突き飛ばし、オーガの拳を受ける覚悟をする。
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ノシ




