Mitt namn är …<<私の名前は…>>
ーMitt namn är …ー
彼女は数発の銃弾を浴びさせられる。そのすべてをナイフで軌道をそらしていく。これだけの芸当だ……並みの集中力ではできない。それに加えて敵に向かって移動するなんて無理がある。一度集中をとぎらせてしまった瞬間……。一瞬動作に遅れが生じる。あと一歩の所で……ナイフを弾かれてしまう。視界に敵を捕らえたところだ。次の弾は弾くことはできない。この距離だと逃げることも敵わない。だが彼女もまだ諦めていない。どうにか致命傷を避けて相手に止めを。いや、致命傷を負ったとしてもどうにかして相手の命をとってやろうと。
それを見てにやりと笑う男がいた。そして男は引き金を……。引く前に男の手から銃は弾き飛ばされる。呆気にとられる男、そして後方から破裂音。それを聞いて彼女も行動に出る。そのまま接近して懐に隠していたナイフで切りかかる。新調したばかりのナイフで手になじんでいなかったせいか一撃で仕留めることに失敗してしまう。
「…まだ…使いにくい…でも…ここまで…近寄れば…」
そう言ってそのまま二撃目を入れる。それも致命傷には至らなかった。少し困った顔をしながら……。
「…三度目の…正直…か…」
ナイフを首に突き立て、そして柄に踵を入れナイフを首の深くに突き立てる。No.7から教わった技だ。彼女では速度が足りず正確なところにナイフを突き立てることはできないが、No.22の速度を持ては思ったところの深くに突き立てることができる。勢いよく踵が入った瞬間ナイフは首を突き抜けそのまま勢いよく背後の木の幹に突き刺さる。
「…これくらいじゃ…気が済まない…」
彼女は崩れ落ちた敵に対して持っている投擲用のナイフで何度も何度も突き刺す。最初のうちはまだ絶命していなかったのか呻き声を上げていた。そのうち反応もなくなっても彼女は涙を流しながらナイフを投げつける。手持ちのナイフが無くなるか否かのところで一人のライカンロープが彼女の元へ駆けつける。
「おい、ウヴァ殿が待ってる。」
ラマテガは少女の首根っこを掴み背に乗せる。普段人を乗せることなんか、無いから振り落とされるなよ。と言い彼女が反応する前に走り始める。……それはまるで雷の如く。少女は無意識に彼の首にしがみつく。数秒後には元のいた、みんなのいるところに戻っていた。
「……ああ、心配かけたね。No.22私は、この通り無事……だからね。」
No.7を背を支え、見るからに強がっているのがわかる……。
「…あ…ウヴァ…そんな…ごめん…私が…」
「だから、大丈夫だって……。それに君たちの仕事は本来であればエフトレット領に着いた時点で終わってたんだから……。」
「…そんなの…関係無い…」
ウヴァは少女の手を掴み。感謝を述べる。
「ありがとう。私は初めて同じ年の友達ができた。……君に、あげたいものがあるんだ。」
涙を浮かべながら白い少女は首を横にふる。
「…そんなのいらないから…」
喋るのを彼女は止めさせようとするが、それを遮って彼女は続ける。
「悪いけど喋らせてもらうよ。君はNo.22……。そんなのだめ。私が名前をつける。……君は今日からヴィット。駄目かな?」
「…名前…?…いいの…?…私に…?…」
「変かな?」
首を横にふり、ぎゅっと抱きしめる。
「ふふ。他のみんなにも……。No.2君はビローア。……No.18……君は、イロード。そしてNo.7……、君はゲルン。……気に入らなかった、捨てて構わないから。」
力を振り絞りそれぞれに微笑みながら名前をつけていく。
「いや、俺は気に入ったぜ。」
「僕もです。」
「ゲルンか♪うん。ありがとう。ウヴァ♪」
そして、白い少女はウヴァにこう言う。
「…ウヴァ…自己紹介…遅くなった…私は…ヴィット…。…大切な…友達が…つけてくれた…大切な名前…」
ヴィットはにこりと笑ってウヴァに伝える。ウヴァもそれを聞いてにこりと笑って……そして意識を無くす。
その場には普段聴くことの無い絶叫が響く。それを聞いてイロードはヴィットの頭を撫でゲルンにアイコンタクトをとる。そして彼はビローアとヴィットを連れ、ライカンロープ達の船に乗り込む。船にはアビンザが先に乗り込み出向の準備をしていた。イロードがアビンザに頷くと船は出航する。ライカンロープ数名が船を巧みに操る。手にいたばかりのはずだが、既に乗りこなしている。
「…ゲルン…は…?…」
「あいつは後で帰ってくる。エフトレットで別件があるみたいでな。俺らは先帰って報告をしなきゃいかんし。予定よりも少し遅れたしな。イロードか、あまり、ナンバリングと代わり映えはしないが、それでもあいつにつけてもらっただけで違うな。」
「…代わり映えしないの…?…」
「そうですね。名前を頂くだけでこんなにも気分が変わるんですね。知りませんでした。僕でも嬉しいと思いますからね。孤児院に戻ったらどうせ名乗ることを許されませんが、絶対に捨てません。」
「ヴィット。お前は大人の前で名乗るなよ?捨てろって言われて反逆。最終的には独房にぶち込まれるのが目に見えてる。」
「…わかった…でも…私は…何があっても…捨てない…」
帰りに彼女らの行く手を阻む敵はいなかった為、孤児院へはすぐに帰ることができた。――最終的に、ヴィット、イロード、ゲルン、ビローアの四人は長い期間独房にぶち込まれる事になった。うっかりゲルンと話している時に口を滑らせたのだ。たが、彼女ら全員は独房に入れられても罰を与えられても名前を捨てることはなかった。全員が全員自分の名前を捨てることなく最終的に大人たちが諦めた。
お楽しみいただけましたか?
パソコンに向かって書くより、スマホで書いたほうが文章がでてきます……。
でも 書く速度がとても…。
次は金曜日です!
ノシ




