lycanthrope<<ライカンロープ>>
―lycanthrope―
「はじめまして、ライカンロープの族長。私はエフトレット王国の第三皇女ウヴァといいます。」
堂々と臆することも無く彼女は亜人の群れで挨拶する。ここは族長の屋敷、もともとは道場か何かに使われていたのだろう。室内は広く、天井も高くなっている。
「堂々としたものだな。二人で来るのも大したものだ……護衛はこいつで十分だと?」
2.5メートルを超えるで有ろう巨躯。他の物と比較しても明らかに大きい。色も族長のみ赤黒く、爪も鋭い。横には子孫であろうか、同様の毛並みを持つライカンロープが立つ。
「…私…何でもいい…ウヴァに…なにかするなら……」
「あ?族長はいま皇女と話してんだ。隅っこで黙ってろ。」
横に立っていた族長と同じ毛並をもつ雄が唸りながらNo.22に剣を構える。
「威勢のいい娘だな。俺は話があるだけだ。そこで俺の息子と戦ってろ。名乗り遅れた。俺がここの族長ラマテガだ。息子が失礼を。」
「No.22大丈夫。ラマテガ様の言うとおりあちら様と遊んでて問題ないよ。私の言うことなら信じられるでしょ?」
少女は頷き室内の中央に向かう。
「お前の得物は?」
「…ナイフ…」
ライカンロープはゴム製のナイフを彼女に渡す。彼女は渡されたナイフのグリップを自分の使いやすいようにいじる。そして何度か素振りをする。
相手はゴム状の大剣を肩に担ぎ、両足、片手を地面に着き三つ足になる。
少女は対照的にナイフを両手に持ち高い姿勢でステップを踏む。
「お互いコレで切れることもないが、油断するなよ…コレの質量であれば怪我はするからな!」
「…弱い…犬ほど…」
挑発のつもりは一切なかったが、少女は思ったことを呟く。
その言葉を聞いて族長の息子は三つ足で目にも留まらぬ速度で突っ込む。
彼女の眼にはしっかり姿が捉えられていた。
「よくよけられたな。…敬意を表して名乗らせてもらう。ラマテガが一子、アビンザ。お前の名前は?」
アビンザは挨拶代りの一撃が回避されたことに驚く。
「…名前は…ない。…No.22…と呼ばれてる…。」
「そうか。No.22。お前を戦士と認めよう。」
「…手加減…いらないから…」
アビンザの目付きが変わり攻撃を仕掛けてくる。
先ほどの攻撃よりもずっと速かった。ぎりぎりで攻撃を回避する。
その後もアビンザの攻撃は続く、が彼の剣が直撃することは無かった。一度だけ攻撃が通りそうになったが、それを彼女は自身を回転させて回避する。
「…アビンザ…手加減…しないで…」
経費と同時に剣ののってアビンザに囁く。
「手加減などしてない!」
ナイフを高速でアビンザの身体をなぞっていく。高速でなぞっているためアビンザの体はナイフの摩擦熱でやけどを負っていく。
「っ…」
「…君…得意な武器…剣…じゃないでしょ…爪…でしょ…そっちで…やらないと…私には勝てない…剣を握るには…爪伸びすぎ…力…伝わってない…そんなんじゃ…」
「ちっ…おい!俺のグローブだ!」
配下のライカンロープが言われたグローブを持ちそれを嵌める。
「さっきまでとは違うからな…言われた通り本気だ。見誤るなよ。」
先ほどとは違い四足で地面に着く。見た目は狼のソレだ。
そして……。
矢よりも速く、風よりも速く、赤く巨大な弾丸が飛んでくる。
No.22の眼にはアビンザの残像が残ったまま目の前に巨体が現れ爪が襲い掛かる。
すれすれの所でナイフをだし軌道をそらす。
一度だけ見たことがあるライフルの弾よりも速い。
「…あは…」
アビンザにしかわからない程度、一瞬笑みがこぼれ、睨まれる。それに気が付いて笑いをこらえて引き締める。
片手のナイフで相手の攻撃の軌道をずらし、ずらした腕に逆手でダメージを与えるが、基本的な速度と質量に差異があるため少女は押されていく。部屋の中央で手合せは行われていたが徐々に壁際に追いつめられていく。油断を誘って大振りの攻撃を辛抱強く少女は待ち、ようやくまった大振りの攻撃を受け流して勢いをつけて距離をとりナイフを逆手に持ち替える。そしてアビンザをまねた低い姿勢をとって攻めに転じる。自身の小柄な体格を有効に使い懐に潜り込む。アビンザは爪を使用しているため攻撃のリーチは十分に近接ではあるが、更に超近接で攻める。攻撃を回避するためにアビンザは後退していくがその距離を詰めて攻撃を続ける。アビンザは天井まで大きく飛ぶ。天井に足を着いてその反動を用いて突撃する。落下速度を付加して突撃する。少女はナイフを軽く握り何が起こっても大丈夫なように警戒する。
轟音と共に大きな土煙を巻き上げる。
「そこまで。」
土煙が巻き上がった逆の壁際でラマテガがNo.22を抱えて手合せを止める。
やりすぎだとラマテガがアビンザを叱咤する。彼は正座をさせられ少々気を落としている。
「No.22。ちょっとおいで?君も正座。」
ウヴァに呼ばれ彼女もアビンザの隣に正座をさせられる。相手の本気を見たかったとしても自分の身を危険に曝したことを叱咤する。
「…ごめん…」
「まぁ、反省してるならいいわ。楽しかった?」
「…いや……うん…ちょっと…」
一度否定したが、彼女の前では意味がないので少し楽しかったと答える。
「おい、えーと…その白いの。ちょっとこい。」
ラマテガに呼ばれ首を傾げて警戒しながら近寄る。
「…お礼は…言わないよ…?…」
「…ふっ…ふははははは!!」
なかなか、いいタイトルが出ないです。
本文も大切だけどタイトルも重要ですよね
次話 水曜日♪




