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självdisciplin<<自己鍛錬>>

――självdisciplin(ファルヴィスピン)――


 夜明けとともにヴィットの行動は開始される。

 昨晩マスターとの出会い、早くもビローアとゲルンに再会することとなった。


 夜のうちに二人と別れ宿に帰り、狭いシングルのベッドにヴィットとゲルンは一緒に眠っていた。

 陽があたりヴィットは目を覚ます。

 窓から入る日光に当てられ若干不機嫌になり、ゲルンは眠りながら絡み付いていることもありより一層不機嫌になる。

「…ルン…あっつい…」

 ゲルンを起こさないように、慎重に振り払い外へ出る。

(…とりあえず…鍛錬…しておくか…ルン、ビロ、イロ…三人に追いつかなきゃ…)


 一人で森に入っていき猛獣の気配を探る。

 そして見つける。猫型のモンスターの群れを見つけ観察する。

 50センチ級が三体、1メートル級二体、3メートルを超すのが一体。

(…大型の黒いのが…ボスか…)

 ヴィットの腕であれば昼でも難なく退治できる。

 今回一人で森に入ったのは理由があった。

 黒いローブを着たままの戦闘になれること。


 マスターに『ローブを着たまま敵と戦えるようになれ』と助言されていた。

 これができなければかつての孤児院のメンバーには勝てないとのこと。


 自分も理解していた。太陽の出ていない時間帯に戦えば大抵に負けない自信があるが太陽の下では下から数えたほうが早い。

 加えて、No1に関しては万全を期しても他の三人の援護を受けて勝てるかどうか。

 ローブを深くかぶり、ナイフも持たずに群れの真ん中に立つ。



 真ん中に立った瞬間小型の猫がとびかかってくる。

 それをヴィットはかわす。正面からとびかかってきた猫を難なくかわす。

 かわした瞬間。かわした方向に二匹の猫がとびかかる。ヴィットは感づき上に飛び退く。

 飛び退いた際に二匹の猫を軽くたたき気絶させる。

 残りは四匹…

(…小型は一撃で気絶させられる。問題は…大型…。…おそらくこいつがリーダー…こいつは…私の挙動…観察している…)

 ヴィットは警戒のレベルを上げる。この大型の猫は油断ならない、と。


 今度は4体が白い少女を囲む。前には小型、左右には中型、背後には大型が。

 じりじりと間合いを詰めてくる


「…さて…これからが…本番か…」

 ヴィットはナイフは構えないが攻撃に備える。

 先ほどと同様に小型がとびかかって来る。いや、先ほどとは違い「咬みつき」ではなく「爪を立てる」ために。同時に視界の遮られている右から唸り声が聞こえる。しまったと思いとびかかってきた小型を右に飛ばす。その瞬間左足首に激痛が走る。

「…っ…見えにくい…」

 肘を首元に当て気絶させ、中型を背後にいた大型へ投げつけるがかわされてしまう。

(…ラストは…大型…)

 気配を探り大型のいる方向を睨み付ける。猫はヴィットを睨み付けがなり声をあげている。

 お互いが牽制し、ヴィットは殺気を剥き出し構える。

 ヴィットの瞳孔が開き回避態勢を整える。

 目にも留まらない3メートルの巨躯がヴィットの首をめがけ飛掛かってくる。

 態勢と整えていたのに関わらず回避が寸前になってしまう。

(…相当早い…しかも…こいつ…まだ本気じゃない…)

「グルルルルル…」

(…目つき…変わった…。…ん?…)

 戦闘中にあることに気が付く。

 黒かった体毛が少しずつ変化しているのだ。黒かった体毛が徐々に白みがかってくる。短時間で真っ白に、いや白銀に変化した。


(…私の…見立て間違い…武器なしじゃ…厳しい…なんでこんな…やつが…)

 雪吐豹(スノースピットパンサー)だ普通は氷雪地帯にいるはずの伝説にも近い魔獣。

 通常の狩人では太刀打ちできず、一体だけで国軍が滅ぶそんな魔獣だ。

(…私…一人じゃ…勝てない…。…しかも…こいつ…普通じゃ無い…)

 ---そう、普通の雪吐豹は常に白く、色が変わるような魔獣ではない。突然変異種とヴィットは判断する。

 一度太陽を睨み、戦闘前に不要と判断したナイフを構える

「…この…呪いがなければ…、とかおもってる?ヴィットちゃん♪ボクはそれを呪いとは思っていないからね♪」

 木の陰にいる仲間の気配に気が付く。

「…ルン…いつから…」

「君が気が付く2秒前かな?ほら、ボクのことは気にしない。ニャンちゃんは気が付いていないしね♪でも援護を期待しちゃだめだよ?意味ないし。治療はしてあげるけどね♪」

「…ルン…ありがと…」

 聞こえるか聞こえないかの感謝を伝え、ヴィットは雪吐豹との間合いに入り首をはねる。

 …ボトリ。真っ白な豹の首が落ちる。首が地に落ちる前にヴィットは駈ける。

(…これは…偽物…ただの雪像…本物はこっちに…)

 駈けだした直後、ヴィットの頭上から巨大な氷柱が降り注ぐ。

 落下してくる氷柱をヴィットは回避していく。

(…量が…多い…こんなの…回避できない…)

 必死に氷柱をかわしていたが、ヴィットの体に巨大な雹が直撃し吹っ飛び木に激突する。

 木に激突した瞬間に頭部に傷を負ってしまい大量出血する。

 普通は重傷で動くこともできない。。。がヴィットの体が発光する。



<<<Behandling(ベハーンリィグ) Incantation(カンターフォン)(治療呪文)>>>

 ゲルンが人差し指に嵌めた指輪に力を籠めヴィットの傷を一瞬で癒す。

 治癒魔法をみた雪吐豹は狼のような遠吠えを上げる。

 すると…一瞬で天候が変わる。晴天に近かったが、吹雪に変わる。

「…っ…なに…急に…天候が…」

 吹雪が強くなりヴィットは思わず震える。

 雪吐豹は森林を自分の世界に入れ替える。真っ白な世界に雪吐豹は溶け込み、逆に黒のローブを被っているヴィットは強調される。

「しょうがない♪ヴィット!!これを着なさい。」

 木の陰に隠れていたゲルンは真っ白なローブを取り出しヴィットにかぶせる。

「視界の隠れた状況での戦いになれたいんでしょ?ローブ脱いじゃ意味ないからね♪」

(…ルン…いつ用意したの…これ…?…)

 と考えるが今は考えないことにする。


(…あいつは…これで…勝ったつもりか…)

「ヴィット♪君の勝ちだね。私はいったん宿に戻るけど、その子殺しちゃだめだからね♪」

「…わかってる…でも…約束できない…」

「でもね。あの子は君と同じだからね♪」

「…ルン?…何言ってる…?…」

「ひ・み・つ♪じゃね~♪」

 ゲルンの気配はなくなり、1対1になる。


(…どうしよう…震えが止まらない…困った…笑いも…)

 普段は無表情のヴィットの表情が笑みになる。昨晩大量のお菓子に囲まれたときと同じ表情を浮かべる。

 いや、その笑みを超えている。ヴィットが声をだして笑う。

「…フフフ…あははは!…」

本来、現在の状況の白のローブは保護色で相手から擬態するための迷彩の意味を成す。

笑い後をあげては無意味である。


 だが、ヴィットは笑う。クスクスと、ケタケタと、ゲラゲラと。狂ったように。

 こんな姿はゲルンにすら見せたことがない。


 孤児院にいたとき単独での殲滅ミッションで何度か見せたが、見た相手はこの世にいない。

 ---いや、一人だけ目撃してた人物がいた。No1と呼ばれた少年。

 以前は殲滅対象との戦いで気分が高揚したときに笑が止まらなくなった。

 おそらく彼女の普段の性格からの反動だろう。


 自分より格上の雪吐豹との戦いで傷を負い今、感情の箍が外れたのだ。

 ヴィットは思う。ゲルンがいなくてよかったと。

 こんな自分は見られたくない。隠し事は大嫌いだが、これだけは見られたくない。


 笑い声を目印にヴィットの10メートル後方から雹が飛ぶ。

 もちろん雪吐豹から吐かれたものだ。

 同時に氷柱が降り注ぎ、地面からも氷柱が生える。

 よける場所はないに等しい。笑い声もなくなる。。。かと思えば笑い声は止まない。

 狂った笑い声は大きくなる。


 雪吐豹は危険を感じ取る。

 自分に有利な環境を作りあげ、自分が100%の力を引き出せる空間を作ったのだ。

 それにも関わらず標敵は倒れる様子はない。


「…あははは!…もう…終り?…次は私…」

 もちろん雪吐豹に言語は通じない。だがヴィットは話しかける。

「…でもさ…君殺すと…ルンに怒られちゃうんだ…だから…」

 ナイフが飛ぶ。雪吐豹に向かって投擲用のナイフが飛ぶ。何本も何本も。


 雪吐豹はナイフを雹で撃ち落とす。

 ナイフの全てを撃ち落とせずに後ろに飛び退いて避ける。


 と、雪吐豹は組み伏せられたと認識する。


 が、彼女は組み伏せたわけではない。

 ヴィットはナイフを投げた瞬間に投げた方向に駈け、投擲したナイフを超える速度で回り込み雪吐豹に抱き着いた


「…ねぇ…君…友達にならない?…わたしヴィット…。君と友達になりたいんだ…」

 敵意がないと判断した雪吐豹は戦闘態勢を解き大型の黒い大型の猫に戻る。

 ヴィットは雪吐豹の首に小型のナイフをネックレスのようにかける。

 すると雪吐豹は爪を一本折りヴィットに渡す。


 ヴィットはすでに普段通りに戻っており。心から謝る。

 気絶させた猫達の様子を確認するとどうやら、ゲルンが治療呪文をかけていったようで傷一つない。

「…急にごめんね…これ…お詫び…」

 鞄から肉塊を取り出し、雪吐豹に与えその場を去り村宿へ戻る。


(…あれ?…私…ローブ気にならなくなってる…格上の魔獣と戦ったからかな…?…)

 部屋に戻りゲルンに白いローブを渡す。

「…ただいっ…」

 ただいまという前に口が塞がれる。

 ヴィットは何事かと警戒する前に口の中に甘い味が広がる。

「はい♪これはご褒美なのです♪好きなんでしょ??これ♪ あと…いつもの黒いほうね♪今日は天気よくなるみたいだよ♪」

 ヴィットはセラムを味わって食し幸せそうな顔を浮かべたが天気の話で一気に無表情に戻ってしまう。

「…の…呪い…」


 ヴィットは黒いローブを被り、ゲルンにありがとうと伝え、宿を出る準備する。


「…ところで…」

「教えてあげない♪」


 白いローブをどうやって出したかを聞こうとしたが、断られてしまった、

 少しむくれ荷物の準備を終わらせる。

(…そういえば…私と…あの子…一緒ってなんだろ…今日は…どんな日になるかな…)

 ヴィットはそんなことを思い宿をでる。


ようやく更新できました。


地下鉄でちょこちょこ記載中!

たとえ誰にみられなくても頑張ります!!

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