motvind<<苦戦>>
――motvind――
怒号にイロードは耳をふさぐ。
「俺の?なんだ?食事の邪魔をしたか?そんなことを恨んでるの?頑張って伯爵になったんだろ?そんなの笑って流せよな!」
相手が自分よりも格上だとわかっているため、イロードはウルヴァを挑発し続ける。
イロードの召喚した怒焔狼も笑っているような雰囲気を醸し出す。
「貴様ら!!!」
イロードは相手の反応を見てにやりと笑う。
こいつは力をつけても内面に関しては以前となんら変わりはない。
真っ向勝負では勝ち目がないとしても搦め手で何とかする。
自分の性格では真っ向勝負が一番合っているが、格上の相手にそれじゃ勝ち目がない。
だから相手を挑発して、隙を作らせる。
「なんだよ?図星か?ほら!かかってこいよ。お前じゃ、俺に勝てないからな。」
その言葉にウルヴァは我を忘れて飛掛かってくる。
そして、イロードを切り裂く。
「誰が…誰に…勝てないって!?ああ!?」
怒号と共に切り裂いたものをさらに切り裂く。
そして勝ち誇った表情をする。
「これだけやれば十分か?俺が強くなり過ぎたみたいだな?おい!」
そして、切り裂いたイロードだったものがウルヴァを包み青い焔に包まれる。
「わるいな?やりすぎたか?」
ウルヴァは焔に包まれ両膝を突く。そこへ背後からイロードの遠心力を存分に乗せた一撃を頭部に振り下ろす。そしてそのまま槍を突き刺す。そして油断もなくそのまま連撃を浴びせる。
…相手は吸血鬼。この程度じゃ少しのダメージしか与えられない。肉体には。
こういった相手には先ず精神的にダメージを与える。隙を見て強力な一撃を与える。
吸血鬼の弱点は神から祝福を受けた銀の装備、そして日光、十字架。
今手にある手段は十字架だけ。今は夜。そして相手の結界の中だ。
困ったものでウルヴァの体は少しずつ回復して行く。
「まったく、厄介な相手だよ!お前はさ!やめろって言ってもやめないからな!痛覚はあるみたいだしな?それとも崩壊の吸血姫に助けでも求めるか?」
回復した箇所に次々と攻撃加える。痛みを認識していることを見ているのを見て痛みを与えていく。
…っ…ウルヴァの回復速度がどんどん上がっていく!?このままじゃ…相手の回復速度のほうが上回っちまう!?
「ククク…そんなもんか?俺は…まだ!こんなもんじゃない!」
「本当に面倒な相手だよ!お前は!!一度焔を止めろ!魔力の温存をしておけ!」
(わかった…今はためておく…一気に焼き尽くそう。)
すると青い焔は静まっていく。
「ククク…火はもうおわりか?あれ無しの槍のみの攻撃じゃ…痛みを与えられても…俺にぱ…」
喋っている顔面に槍を突き刺す。わざと喋っているところに。
「俺にぱ?噛んだのか?残念な伯爵様だな!おい!!」
槍による連撃は加速していく。
そしてイロードが槍に魔力を込めて突くと、傷を与えた箇所が赤く輝く。
「いちいちと!むかつかせやがる!!」
ウルヴァがてを振り上げると、彼が攻撃され流した血が宙に舞う。その血が一つ一つ直径5センチくらいの真球となる。そして手のひらの動きに合わせて30個ほどの血の球がイロードを襲う。
彼はギリギリで血の球を回避しウルヴァの腕を切り落とす。
そして切り落とした直後、宙を舞っていた球は怒焔狼によって焼き落とされる。
「あっ…ぶねえな!死んだらどうしてくれんだよ!」
(まずいぞ?このままだと責めきれない。体力的に不利だ!!)
――――――――――
(それにしても珍しい形で召喚したね。)
大鷹から発せられる声は姿に合わず無邪気な子供の声が響く。
「思う存分楽しめるでしょ?いつも見たいな木じゃないとさ♪」
(ま、それもうか。でも相手はあの吸血姫だ。油断はできないよ?)
「油断してる暇なんてくれないよ!」
ゲルンが神樹の大鷹と話していると、彼女の首筋に何かが触れる。
「本当に…油断してないの?真面目にやってこれ?まぁいいよ?私も少し遊ばせてね?」
クラップスの舌がゲルンの首筋をなぞりクラップスはゲルンの耳元でクスクスと笑う。
笑っているクラップスの顔面にゲルンの裏拳が迫るが簡単に弾かれてしまう。
「君の魔力は残念ながら攻撃には向いていないようだね?そんなので私と戦えるの?飽きたら、君は私の食事だからね?」
「そう思う?じゃ、簡単には飽きないから安心して…ねっ!!」
肘がクラップスの鳩尾に入る。普通の人間が相手であればこれで既にノックアウトになっている手ごたえだが…。
「体術には目を見張るものがあるねぇ…でも人間がどう頑張っても我らにかなわないんじゃない?聖騎士でもない人間じゃあね?」
「油断してると…足元すくわれるよ♪」
肘打ちで仰け反ったクラップスに追い討ちで掌底を入れる。クラップスを打ち上げると背後に神樹鷹が飛翔しゲルンの方に吹き飛ばす。
…が、クラップスは余裕の笑みを浮かべゲルンの攻撃を無抵抗で受け続ける。
ゲルンは自分と相手の力量差がわからないわけではないが、それでも攻撃を止めるわけにはいかない。自分がやられると他の二人の負担になってしまう。
自分にできるのは、ただ相手に立ちはだかることだけ。
退治をできる相手ではない。運が良くて一矢報いることができる…位。
ボクの考えてた攻撃は全て受けてくれた。
ここからは、どれだけ強くても油断しているところを叩ければ!!
「もしかして…素手で私に勝てると思ってるの?それなら流石に私も怒るけど?」
「そんなこと思ってないよ♪はっきり言うけどボクはきみに勝てない。」
「なんだ…もう諦めるの??それはつまらないねぇ…じゃまず…」
「あ、勘違いしないで。諦めたわけじゃないから♪」
ゲルンが微笑む。
――――――――――
ちらちらと少女は周りを気にする。
…相当…こっちが劣勢…
…イロはまだ余裕がありそう…でも…ルンが…
(ヴィット!戦闘に集中して!!)
…言われなくても…わかってる…
…けど…!…
目の前には上位アンデッドのグールナイトが15体。…これは通常のグールとは違い、意識を持ったグールがレイピアや盾、鎧を装備している。吸血鬼への成りそこない。
それに加えてデュラハンが1体。
グールナイトに関してはそこまで苦戦しない。
グールの上位種とだけあって若干手ごたえはあるが、ヴィットの速力であれば通常グールと大差ない。
が、問題はデュラハンだ。
防御力に加え攻撃力、そしてそれなりの機動能力を有している。
ヴィットは両手にナイフを持ちグールナイトと戦闘を開始する。
シューはヴィットの踵に氷の刀を装備させる。
相手のレイピアをナイフで捌いて頭に踵を振り下ろす。
シューの形成した刀でグールナイトを切り裂く。
…次…次…次…
近くに相手に接近して魔力を籠めて一瞬で氷結させ、蹴り砕く。
瞬く間に、相手はデュラハンのみになる。
(ヴィット!?大丈夫!?後先を考えなさすぎ!暴走する!)
「…大丈夫…まだ…いける…!…今は…目の前に集中…でしょ…?…」
ヴィットは肩で息をして敵に集中する。
デュラハンは手に持っている大刀を振り下ろす。
大刀をナイフで受け流す。隙を見てデュラハンの腹部に蹴り飛ばす。
そのまま投擲用に準備していたナイフを鎧と鎧の隙間を狙って投げつける。
全身が鎧になっている為、物理的な攻撃は鎧の隙間を狙うしかない。
そして隙間に刺さったナイフを追撃に蹴り込む。
蹴り込んだナイフに魔力を籠める…そして凍らせてしまえば鎧といえども蹴り砕くことが可能。
…が、
…ヴィットが吹き飛ばされる。
そして受け身も取れずに地面にたたきつけられる。
戦闘がワンパターンになってしまっている気がします…
…が、頑張ります!
次は水曜日予定です!
よろしければ覗いてみてくださいね。




