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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.1  作者: リナ
4章 吸血鬼&吸血姫
33/116

Krigsutbrottet<<開戦-1>>

――Krigsutbrottet(クリグストボルタ)――



時刻は夜の19時…日は完全に落ちた。赤く…怪しく…輝く…。不気味という響きがぴったりな月明かりが沼を照らす。


作戦の時間になった。シロフォンとウェンディゴの二人は時間まで待機している。

「たく…なんだってンだよな?作戦っていうのはさ、何が起こるかを伝えておくべきなんじゃね―の?」

「さぁ?なにが起こるかわかんないけどさ?」


沼地全体を覆う巨大な魔法陣が展開される。

「な…なんだこれ!?こんな規模の魔法陣なんて誰が展開してんだ!?」


…もちろんマスターの力だが、これをシロフォンとウェンディゴに誰が何をやっているかをわからないようにするためだった。

「っ…元18番め…出し抜くためか!」

「まんまとやられたね。まぁ…こんな次元のことができるのは元2番もしくは元7番のどっちかでしょ。」

「なっていったっけ?元2番がビローアで、元7番がゲルン、元18番がイロードだっけ?」

「こんな実力を隠していたみたいだね。この三人には私たちに勝ち目無いよね。」

「欠陥品には絶対負けないけどな?」

シロフォンが思わず笑いながら、

「でもさ?君、相手にされてなかったよね?」

「うるさい…それ以上はお前でも許さないぜ?」

「許さない…?それは、誰が誰を?ねぇ教えてよ?」

何か気に障ることを言ってしまったらしい。シロフォンがゆっくりとウェンディゴに近寄り首に人差し指をあてる。動作はとてもゆっくりなのに避けようとしても避けきれない。甘ったるい声を出してシロフォンはウェンディゴを追い詰める。

「ね?…ごめんなさいは?許してくださいは?…早くいいなよ…5…4…」

「わ…わる…か…」

「3…2…1…」

ゼロを唱える前にシロフォンは指をおさめ。

「ま…冗談だよ冗談…さてそろそろ時間だね?いこっか。」


少しの間ウェンディゴは上手く呼吸ができないで蹲っていた。

魔法陣が青白く輝くと周囲の気温が一気に下がる。

「…まじかよ」

そして魔法陣が霧散する。すると沼地は氷結する。


――――――――――



「…マスター…これでいいの…?…」

「うん。上出来。魔力は結構使っちゃった?」

(おねぇさん。大丈夫だよ。魔法陣の展開はおねぇさんのだからそこまで消費していないみたい。)

「…そうみたい…だね…」

「じゃ…ユキト呼べる?」

「…シュー…と一緒なら…」

「そか。まだいいから。あとで呼ぼうね。たぶん結界突入直後で召喚しよう。ただの吸血鬼たちじゃないと思うから。」

(どういうこと?)

「うん。グール以外の奴らが従って行動しているでしょ?思うに、吸血姫が怪しい気がするんだよね。直接観察したわけじゃないんだけど…ね?なるべく魔力を温存していこうと思う。」

「…わかった…」

「ちょっとまってね。私、インスに魔力あげなきゃ。」

この人は…本当になんでもありなんだな、と思いながらマスターの動きを観察すると、影に潜って行く。

「ヴィットちゃんは先に行動開始。実体のあるやつを優先。霊体のやつは私が帰ってきたら一気に片付ける。シューちゃんは霊体が近寄ってきたら牽制ね。じゃ…すぐ行ってくるね。」


――――――――――


「マスターとヴィットさんは上手くできたみたいですね。インスさん、大丈夫ですか?」

「ビローア、あのマスターって言うのは何者なんだ?人の領域を超えていないか?」

「マスターについてはよくわからないですね。普通の人間ではないと思いますが、悪い人ではないと思ってますよ。」

「信用に足る相手なのか?俺は今日会ったばっかだから信用できてないのだが?」

「それを言ったら僕達の事もじゃないですか?」

「…それもそうか。まぁあの赤髪には助けられたしな。悪い奴にはどうも見えん。あの酒場にいた連中全員が悪い奴には見えなかった。だが、あのマスターという人間はわからん。」

「マスターにとって全てのものが観察対象にしかなりませんからね。善悪の判断はないと思います…僕もそうです。善悪の判断はイロードに一任しています。」

「自分の考えはないのか?」

「ありますよ。それ自体僕の考えです。」

「なになに?私の悪口?よくないなぁ。陰口は。」

「マスターと言ったか?俺はお前が信用に足る相手かをこの青髪に聞いていたのだ。」

「私?んー…信用しちゃ駄目だよ?何言ってるの?私を信用していいのは、私が観察して面白いと思った相手だけ。そういう意味だと君はまだ観察してないからね。あ、もしかして私から魔力を借りるのが怖い?そうかぁ…そうだよね。怖いよね?」

クスクスとマスターは嘲笑混ざりにインスと話を進める。

ビローアは何を単純な煽りをしてるんだろうと二人の動向を見守る。

「怖いわけあるか!?さっさとやるがいい。こちらから信用できるか見極めてやる。」

…ビローアは呆れた顔をしてインスをみる。

「私を試すか…面白いね。君。」

マスターはそんなことをつぶやき、インスに魔力を分け与える。

「…お前…人間なのか?」

「何を言ってるの?私はマスター。人間、化物、なんだっていいじゃない。イロードの魔力とは違って高密度な魔力をあげたからね。上手く使ってね。じゃ、ヴィットのところに戻るね。」



ビローアの耳元でマスターが囁いてビローアの影に潜って行く。

「次、龍から龍人に変身するとき観察しておいてね。」

ビローアはインスを見て深くため息をつく。


「そだ!ビローアにもコレ。私の試作品。ちょっと試してみてね。壊しても構わないから。じゃ…」

マスターは上半身を影から出してビローアに長棍を渡して再度影に潜る。


――――――――――


ヴィットはマスターと別れた後、先に沼地を駆けていた。

実体をもった化物に関してはマスターの思惑通りだった。沼地の水源を凍らした為、水に使っていたモンスターの大半は足元を凍らされて動きを封じ込めることに成功していた。


知恵のないものはその場でもがいている。

知恵のあるものは足元の氷を砕いてはい出ていた。

そして次に周りの味方を救い出している。


ヴィットのターゲットとする相手を先に知恵のあるものを選別する。

足さえ止まっていれば相手を仕留めるのは楽なものだ。

先に動けるものを仕留めておく。そうすれば動ける敵を増やさなくて済む。


グールは基本的に知能が低い。ほとんどの足止めに成功している。

それに引き替えワイトは生前の記憶を有する者が多い。

そのためかほとんどが氷の足止めから脱出している。

マミーはもろくなっていた膝から下をそのままにして這いずり回っている。

スケルトンは全体的に水に入っていなかったためか、被害は少ない。


スケルトンとワイトを主に片つける。

ワイトには気を付けなければいけない。

触れただけで麻痺する可能性がある。


…急いで小島へ。直線距離にいるモンスターは片っ端から片つける…

ワイトは投げナイフで仕留める。

スケルトンに関してはナイフで腕を弾き、体を凍らせ、衝撃を与えて粉々に砕く。

ワイトも動きを止めつつ、同様に粉々に砕いていく。

こいつらは復活する可能性が高い。

なるべく粉々にするのがいいだろう。


「おまたせ♪ヴィット。じゃ…小島にまっすぐ向かおうか。雑魚たちはあの二人組とビローア達に任せればいいでしょ?インスに魔力沢山貸してきたからね。」

「…マスターは…魔法…使えなくなったの…?…」


ヴィットはマスターに質問をしながらナイフで敵を切り刻んでいく。

「ん?なにそれ?私は関係ないよ?…あ!イロードのこと?あの子じゃ魔力の総量違うもの」


にこにこ笑いながら証明するかのように魔法を使う。

彼女が手を振り下ろすと雷が周辺に降り注ぐ。

「これくらいね~息をするのと同じくらい造作もないよ。」


ヴィットは耳を押さえて周囲を見渡す。

「…マスター…やるなら…やるっ…」

「やるよ~ん」

ヴィットがしゃべっているところに口を挟んで指をパチリと鳴らす。



周辺にいた霊体がどんどん宙に浮いていく。もともと彼らは霊体でフワフワと浮いていたが…

5メートル程浮いたところまで浮かされ霊体がどんどんと圧縮されていく。

「じゃ、シューちゃんこれで魔力も少なくてできるでしょ?」

(あ…うん。)


―浄化の光よ 彷徨える魂の救済を 彼らに安息を―

圧縮された霊体の塊を光が包み込み浄化する。


「お~ 聖なる魔法?珍しいよね。こう…かな?」

―浄化の光よ 彷徨える魂の救済を 彼らに安息を―

リームシュークと比較して数倍の範囲で光が生じる。

(…なんなの…この人…)

「…この人のことを…気にしちゃダメ…」

「結構難しいね…こっちのが性に合う。」


<<Regn(レゲン) av(アブ) åska(アスカ)(雷の雨)>>

マスターが手を振り下ろすと再度雷が降り注ぐ

(…で、でたらめ…)

思ったより長くなってしまいました。


お楽しみいただけていれば嬉しいです。


きりがよくなったらサブキャラなどの説明とかも書こうと思っています。

次話もお楽しみに!

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