Flock av skruven<<オーガの群れ>>
――Flock av skruven――
ヴィットさんはうまく潜入できたかな…?
少年はオーガの群れに囲まれながら、1体、1体確実に葬る。
が、大太刀は血にまみれ、切れ味もどんどん落ちている。
―――そろそろ、この大太刀の切れ味も厳しくなってきましたね。合図はまだでしょうか?それに、あいつ雰囲気違う奴がいる。
大抵の奴は問題ないと思うが、あの1体はこの武器じゃつらい…かな?
20体は片つけましたけど、あとは10体ですか。しかも、そのうち1体はずっとこっちを観察している?
困りましたね。あの1体と戦うときまでは本気は見せられない。
―――合図が来たら、すぐに奴に本気でとびかかります。
ガッ…
いやな手ごたえを感じそのまま一度引き抜いて頭にねじ込み、バックステップで退避する。
「はぁ、…まずいですね。残り9体残ってますか。」
『いいのか?武器を手放して。それを無くしては俺らには勝てないんじゃないか?』
「驚きですね。あなたも喋ることができるんですね。僕はオーガロードだけかかと思っていました。」
『俺らを討伐しに来たのか。』
「ええ。人間からしたら害悪でしかないので、申し訳ありませんが、全滅していただきます。」
『ふむ。俺らの食料でしかならないお前らごときが何を言うか。』
「お互い、話し合いなんて求めていないでしょう。」
とは言え、他のと比較して小さな個体だが…。
『考え事か?余裕だな。』
気が付けば警戒していた敵が間合いに入り込んでいる。
正直驚いているが、驚きを見せない様にする。
『随分と無表情だな。余裕か?それは追い込まれているのか?』
―――僕、観察されていますね。
かわし切れずに、吹き飛ばされる。
「…っ」
全身打撲、骨は…折れていないか。
体をだらりとしながら、ほかのオーガも警戒する。
先にほかの奴らを消すか?
そんなことを考えながら、あたりを見渡す。
『お前の名前は?俺はキーケ。なかなか気に入った。今回は見逃してやろうか?』
完全に見下すようにキーケは優越感に浸っている。
今は、時間を稼ぐ。
「僕は、ビローアです。気に入っただけで見逃してもいいのでしょうか?僕が逆の立場であれば、有無もなく殺しにかかりますよ?」
『これだけ追いつめられてそこまで口が利けるのか?』
キーケは他のオーガに指示を出す。
『まぁ、五体満足で帰れるとは思うな?やれ。』
近寄ってきたオーガに対して蹴りを入れ体を利用して飛び上がり、その勢いを利用して踵をオーガの頭に振り下ろす。
「あと、8体…ですね?キーケさんでしたか?あなたにはかなわないとしても、ほかに対しては遅れをとりませんよ?」
『本当、こいつら使えないな…親父達も微妙なところだがな?』
「親父…達ですか」
(困りましたね。単体ではないのですか。ヴィットさんは大丈夫でしょうか?)
さて、挑発してしまいましたが、そろそろ…
上空に水色の魔方陣が展開され、一つの大きな氷が落ちてくる。
大きな音と立てて。
『あれは、なんだ!?』
「ふーっ…」
大きく息を吐き、立ち上がる。
「キーケさん。残念ですが、ここまでです。ここからは本気で戦わせてもらいます。ヴィットさんの方も大変そうですので。」
ビローアの体が水色に発光する。
<healing magiska(治癒魔法)>
「これで身体も回復しました。そして武器も主のものを使わせていただきます。」
双棍を構える。
『魔法使いだったか…油断していた!だが、そんな棒で俺に勝てるのか?』
「ええ。そして見込み違いがあります。ただの棒ではないですよ。」
双棍で突く。
キーケは難なくかわすが、避けた付近が裂ける。
『っ…なんだ!?』
「どんどん行きます。」
双棍でキーケを突く。突く。突く。
キーケも攻撃を寸前でかわすが、かわした箇所がどんどん裂傷していく。
他のオーガに対しても魔方陣を展開し激しい水流が襲わせる。
次の瞬間にはキーケ以外のオーガは瞬殺される。
『使えない奴らだが、仲間は仲間だ…許せないな。』
キーケは構えをとり、隠し持っていた湾刀を構える。
「ククリ湾刀でしたか?あまり見たことのない刀ですね。」
キーケが遠心力を使いビローアに斬りかかる。それをビローアは棍棒で受け流す。
普通の棍棒であれば、簡単に切られてしまうものだが、魔力を込めやすい、特製の棍棒のため切断されることは無い。
ビローアは一度距離をとると、本気を見せるといった手前です。
「本気見せます。」
<Vatten lie(水大鎌)>
二本の棍棒を直列につなげると長棍になる。そして彼はさらに魔力を込める。
巨大な棍に水刃物が生成され、巨大な大鎌になる。
「オーガのような巨体であればこれが戦いやすいでしょう。あなたを処理して、ヴィットさんを手伝わなきゃいけないので、短時間で終わらせてもらいます。」
遠心力を加えて、大鎌を振るう。
キーケは危険を感じ取り、死体となったオーガの体を盾にビローアから遠ざかる。
が盾として使用したオーガをものともせずに大鎌を振るう。
紙でも切るようにオーガの死体を斬って進む。
坑道の入り口まで追い込む。
だが、キーケを坑道に逃がすことはしない。
キーケの足を切り落とし逃がさない。
「残念ですが、ここまでです。僕はヴィットさんを手伝いに行きます。では、安らかに。」
ビローアの大鎌は的確にキーケの首を刈り取る。




