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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.1  作者: リナ
3章 マスターの依頼
20/116

master igen<<マスター再び>>

――master(モースト) igen(イゲン)――


ユキトの空間で制限の解除方法を学んでいたヴィットだが、ユキトの空間に何者かが侵入した。

水辺でくつろいでいた、ユキトが唸り声をあげて立ち上がる。

…この気配はおそらく、


(ヴィットよ、主は感じたか?)

「…ん…?…何かきた?…」

(そうだ。そして、)

「…殺気…気持ち悪い…」

(主、勝てるか?)

「…やってみる…」

ユキトの魔力がこもったナイフを装備する。

水辺で侵入者を発見する。


影鬼(デモンスクーガ)

2メートル弱の真っ黒な鬼、実体部と影の部分が見分けがつかない黒。

そして何より、特殊な能力を持つ。

影鬼の攻撃は体で避けても、影に接触するとダメージを負ってしまう。


…単純に攻撃を避けるだけじゃダメ…

この空間での戦いでなければ、単身での戦闘は避けている所だ。


ーーー先制…攻撃を…仕掛ける…


「…ユキト…行くよ…」

ヴィットは影鬼の頭上に大きな魔方陣を展開、雨のように氷のナイフを降らせる

<<Iskniv regn(氷ナイフの雨)>>

(…直撃……していない…どこへ…)

彼女は気配を探る。

気配は見つからない、背後から風を斬る音。回避のため、大きく飛び退く。

「…っ…いつの間に…」


攻撃のされた方向を凝視するが、目の前には何もいない。

(…あいつはどこに…?…)

過信ではなく自分がこうも簡単に標敵を見失うのは、違和感がある。

認識能力に低下?擬態能力?

再度ある攻撃に備えて感覚を研ぎ澄ます。周囲には何もいない。

少し遠くにユキトを感じる。


やはり、影鬼の気配を感じることはできない。

再度風切り音がする。音のする方向を注意しダメージを覚悟し防御する。


腕の伸びている部分を凝視する。

驚愕の事実。自分の影から腕が伸びている。影鬼。聞いている話では、影に対する攻撃を可能としている魔獣だった。広まっていない情報として影と同化し、そこからの攻撃も可能らしい。

どうやら影から攻撃する際には影に対しての攻撃は行ってこない。

…まだ攻撃を行ってこないだけか?なんにせよ油断はできない。


自分の影に気を使う。さっきはこの影から攻撃が飛んできた。

おそらくその前もこの影から攻撃を。


と自身の影に気を使っていると後ろから音がする。

(…なんで…!?…)

木の影からはい出た影鬼の姿があった。

…考えが足りなかった。陰から陰に移動することが出来るようだ。彼女は少し考え、行動に移る。

巨大な魔方陣を足元に展開。魔方陣の明かりで陰をかき消す。隠れ蓑にしていた陰が光でかき消される。結果陰鬼の姿が炙り出される。

魔方陣に魔力を注ぐと更に光は強くなる。

ヴィットはナイフを構え陰鬼との最短距離を走り出す。


一気に距離を縮めると、首を狙い的確に攻撃を仕掛ける。

陰鬼はナイフを素手で捌くが、捌く度、手の温度が奪われていく。


実体を見つけ出した後は、彼女の一方的な責めだった。

陰鬼の腕は凍りつき、動きが追いつかなくなった時、ナイフが、陰鬼の首をそぎ落とす。首からは陰のように黒い血が噴出し、彼女はそれを避けるように距離をとる。


「…ユキト…終わったよ…」

(どうやら、もう1人、来ているようだな。)

「…もう1人…?…でも…気配なんて…」

「やぁヴィット。元気かい??ユッキーも元気そうだね。」

「…マスター…?…なんでここに…?…」

(お前の実験体か?)

「そ…私が実験に使っていたサンプルが逃げ出してさ?ちょっと追ってたんだよね♪さっきイロードの坊やに依頼してきたんだけどね。無駄足になっちゃったかな?」

「…陰鬼…の討伐…?…」

「そう♪もしくは捕獲ね。結構珍しい個体だったから、手元に置いておきたかったんだけど。観察できたからいいや♪」

「…珍しい…?…」

「そう!陰から陰に渡る能力」

(ああ、さっき使っていたな。珍しいとは思ったが…)

「私の前じゃ使ってくれなくてさ?困ってたんだよ。ヴィットちゃんに対して使ってくれて助かった♪報酬は部屋に送っておくから。追加分もね♪」


マスターがなんでこの空間に来たか、陰鬼もどうやって侵入したか等色々な謎はあるが、理解できなさそうだから聞くのもやめた。

「…マスターと…ユキトは…知り合いなの…?…」

(以前契約を交わした事がある。この魔女が興味を無くしたと一方的に破棄してきたがな?)

「破棄したのは謝ったでしょ?氷の魔法がよくわからなかったから研究対象にしただけでさ?見返りもあったでしょ?」

(まぁな…制限解除の方法は此奴が編み出したのだ。)


新たな疑問が生まれる。

「…見返りが…それなら…ユキトに…必要だったの…?…」

「ヴィットちゃんはユッキーの本当の姿は見れた?」

「…まだ…ユキトが…全力になる前に…凍っちゃって…」

「そう。ユッキーも訳あって力が制限されてるんだ。君と同じでね?まぁ…完全に解放しなくてもすごいんだけど…」

「…そうなんだ…」

(我の場合、封印だな。忌々しい。術者は行方不明になっておるし、彼奴さえ死ねば封印も解けよう。)


ゲルンの言っていた『あの子は君と同じだから』の意味がようやくわかった。

(…なんで…ルンは…わかったんだろう…)

そんな疑問も生まれだが…


「そうそう、イロード坊やには伝えておいてね♪他にも何個か依頼してるから、時間があったらやっておいてね♪またねユッキー、ヴィットちゃん。」

マスターはそう言っていなくなった。


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