彼女に夢を抱く男と打ち砕く彼女
本当に深く考えないで読んでください。
会話の前に男と書いてあるのが彼氏の発言
女と書いてあるのが彼女の発言
その他。彼の妄想の中の彼女と彼の心の中を
それぞれ。
彼女達の様子をもう少し具体的に思い浮かんだ
ので、2016年2月15日に書き加えました。
ここに彼女に夢を抱く男がいました。
まぁそれは良い言い方なので普通に言うとちょっと
妄想の激しい男がいたのです。
そんな男とその理想を打ち砕く男前な彼女の話。
彼らの日常はこうである。
パターンA
彼らは、街を歩いていた。人通りも多く込み合っている
ため、彼は意を決して、彼女にさりげなく手を
差し出しながら言った。
男「手、手つなごう。」
緊張で声が少し震える彼に対して、彼女は言った。
女「えっ、やだ。」
手の方を見ながら、ポケットに両手を咄嗟に入れる
彼女。
男の妄想
まさか、手をつなぐと恥ずかしくて、手なんて
つなげないもん。ドキドキで手汗かいていたら
嫌だし…。的な感じだったりして。
女「手ってばい菌だらけで嫌。」
眉を寄せながら本当に嫌そうな顔をした彼女。
男の心 (えっ?そんな理由…。)
彼は、手を元の位置に戻しつつ、若干歩く
スピードが遅くなるのを感じながら、あきらかに
どんより落ち込んだ様子を見せながら彼女の後ろを
ついていくのだった。
パターンB
男「こら、遅いぞ!何してたんだよ。」
(たまには、威厳を見せておかないと)
この時、待ち合わせ場所の噴水前で、
彼女が来るまで待ち続けた彼は、ちょっと
怒ってます、という雰囲気を見せながら
いつもの彼にしては、強めに張り上げた声で
言った。
女「わるぃ、おくれた。」
彼女はちょっと驚いた顔を一瞬したが直ぐに
何でもないことのようにケロっとしていた。
男「理由は何だって?」
ちょっとだけ心配しつつも、頭の中で、
理由を思い浮かべていると、
男の妄想
あなたのために準備するために時間かかっ
ちゃった、てへ的な。
女「あっ、なんか腹下して、便所行ってた。。」
彼女はお腹をさすりながら、すきりしたとでも
いうかのように笑顔で答えた。
男の心(腹下して便所って女の言葉じゃねぇ)
さすがの彼もちょっと引いてしまうような
下品な発言だったが、彼は、彼女らしいかと
思いなおすのだった。
パターンC
お昼休みの時、学校の中庭で過ごす彼ら。
ドカッと芝生の上を、あぐらをかきながら
座る彼女。ちょっと太ももが見えチラチラ
見てしまう彼。そんな彼の様子を気にせず、
何かを紙袋から取り出す彼女。
女「これ、食べてくんねぇか。」
彼女は、少し困った顔しながら渡してくる。
男「えっ」
そんな彼女にドキッとしてしまう彼女大好きな
彼氏。
男の妄想
それってもしかして手作りお弁当作って
きたぞ的な。
こんな日がこようとは…。神様ありがとう!
感動に打ち震えながら、受け取る彼。
女「味、どうだ?。」
何の躊躇もなく口を大きく開けて、
頬張る彼氏。
男「普通においしいよ。」
彼女に声をワントーン落として
優しく微笑む彼。
男の妄想
味、大丈夫だったかな…。心配だな的な。
女「いや、そうか、急によくわからん男子に
『食べてください。』
って言われたから、毒味するやついないとな。」
実は男らしい性格から一部の男子に絶大な支持
を受ける彼女。顔も黙っていれば大和撫子みたい
な容姿なのだ。
男の心
(作ったんじゃねぇのかよ、しかも男子かよ。
なんかすげぇ、ムカつくんですけど。
ていうか、怖いよ、普通に食べちゃったよ。)
一瞬ムカついた彼だが、一機に怯える。
顔が赤から青に変わる劇的な変化を見せる。
彼女は、自分の分のお弁当を広げ始めるのだった。
以上日常でした。
おれなんで、こんな彼女の事好きなんだろう。
理想とはかけ離れてるのに。
彼はそれについて悩み、悩み、そして悩む。
そのせいで熱が出た。
男「あっ。体きつい、たすけて…。」
自室のベッドに横になりながら苦しそうに
助けを呼ぶ彼。
女「おきねぇで、寝てろよ。」
そんな彼に強気な姿勢を崩さない彼女。
男の妄想
もう、心配かけさせないでよね。
でも、私がいるから大丈夫。
いつもの妄想の中の彼女に夢を見る彼。
男「心配してくれてんのか?。」
ちょっと期待する目で熱く見つめてしまう彼。
女「いや、普通に熱うつされたら困るだけ。」
そんな彼の期待は、もろくも崩れ去ってしまう。
男の心
(くそ、おれの心配なんてやっぱりしてくれる
やつなんていないよな)
弱気になってベッドにぐったりと体を預ける。
男「はぁ…」
溜め息まで出てしまうそんな彼に。
女「だって熱だして、おまえに会えなくなるのいやだし…。」
ちょっと頬を、赤くしながら、照れたように呟く彼女。
どこか、切ない表情にまで見えてきてしまう曇った目
と頭の彼。
男「えっ」
驚きつつも嬉しそうに返してしまうと。
女「ば~かぁ、じゃあな。」
ベーと舌を出しながら小声で返す彼女は、
手を振りながら、部屋を出ていてしまった。
彼女のいつもと違う様子に
彼の熱は別の意味で上がることになる。
部屋を出た先で彼女は心配そうに部屋の
ドアを見つめながら、彼女は、こう思う。
あんたが元気ないと私も元気でないんだからね。
寂しいよ。早く良くなりますように、彼女は祈るように
その場を後にするのだった。
そんな頭の中で思っているような事を心の
中でひそかに思っていた事を知らない彼は、
残念なことに彼女の貴重な姿を見ることは出来なかった。
それでもそんな彼女を思う事の止められない彼氏と、
自分の思っている事を素直に言えない彼女だったが
幸せなのでいいのだろう。
彼女の思いを自然にキャッチしてしまう彼は、
そんな彼女と離れられない彼がいるとかいないとか。
書き加えた事を気付いた読者がいたら
いいなぁと思いつつ、
最後まで読んで下さりありがとうございました。