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みそっかす姫の父の混乱

ミハエル=バッカスは侍女メイからの報告に混乱しました。


「ねぇ、どういうこと?なして、そんな話になったのさ」

予期せぬ展開に思わず語尾が裏返ってしまったのは仕方がないことです。侯爵ご子息と娘のローラの決闘もとい、刃傷沙汰(予定)の話を聞き、子爵はきりきり胃を痛めます。お転婆さんの一言で片付けられないから困ったものです。

「旦那様にも責任はありますわ」

「そうは言ってもねぇ。困る、困るよ」

非常に困るの言葉に尽きる。決闘の日取りは侯爵夫妻の到着予定日。つまり、よりによって二人は侯爵夫妻の眼前で雌雄を決しようとしているわけで。

「ねぇ。もしもだよ?もしも、ローラがラルフ君を傷物にしちゃったら、責任を取って嫁に来いという話にならないかな?」

「落ち着いてください、旦那様。普通は男女逆ですし、それでは今とさして状況は変わりませんわ」

あわわわわ、と奇声をあげる子爵の背中にメイは気付けの手刀を一閃浴びせます。子爵の抜けかけた魂は現実に強制的に引き戻されました。

「あの娘が負ける姿は想像できないんだよね」

武闘大会なんてものが開かれたらうちのローラはぶっちぎりの優勝だと子爵は思うのです。ローラは剣術においては天才でネテロでさえ敵わないのです。それだけに女に生まれたのが惜しまれました。ああ、つくづくうちの子達は不憫、と思わず涙目になります。

「良かったですね。これも旦那様の日頃の教育の賜物ですわ」

「良くないよ。万一にでもラルフ君を傷物にしたり、返り討ちにしたら、それこそあの娘の貰い手はいなくなっちゃうじゃないか!」

ラルフが諦めたとしてだ。男勝りの令嬢を世間の男性がどう思うかは件の公爵令嬢の件で知れていました。

「お嬢様は既に諦めておいででしたよ?」

「ローラが良くても親としてはやっぱり心配だよ」

「旦那様、最近の上流階級は決闘をデートと言うらしいですわ」

「え?そうなの?聞いたことないけど?」

決闘をするのが貴族の男女の交際における流行りだというなら、問題ないかもしれませんね。確かに子爵の一人息子と婚約者はよく二人で剣を交わし、ネテロは一方的に負け続けています。

「言われてみると決闘デート、案外流行ってるのかもね。ネテロはフィンちゃんに負けっぱなしだし」

「旦那様も今度奥様となさってはいかがですか?」

「メイ、君は僕を殺す気かな?」

子爵は想像して色々な意味で身震いしました。

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