明日、また明日と
Life's but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
And then is heard no more.
人生はただ歩き回る影法師、哀れな役者だ。
出場の時だけ舞台の上で、見栄をきったりわめいたり、
そしてあとは消えてなくなる。
ウィリアム・シェイクスピア 『マクベス』
ある少女が眠りについたことで、世界は大きく変わってしまった。目に見える世界も、目に見えない世界もみんな一様に変化を強いられた。でもそんなことはどうでもよかった。
ありのままの事実を受け入れていなかったら、裏に隠れていた真実を少しでも疑えていたのなら、きっと運命ってやつは変わっていたのかもしれない。目の前に広がるたくさんの『欲しいもの』よりも手の届かないところにある『光』を求めてしまったあの時から、前に進むことも後ろに戻ることもできなくなった。時に、人に、運に、定めに流されることしかできなくなった。それでもいいと思ってしまった。
柔らかい布の上に広がる黒い髪に、透き通るような白い肌に、ほんのり染まった頬に、そこに影を落とす長いまつげに、話し出すと止まらない小さな唇に、いつもの君に変わってしまったところなんて一つもなかった。外の世界なんて全く気にしてないかのように静かに眠っているだけ。だから…
ただひたすら眠り続ける君を前にして、願ったことはあまりにもちっぽけなこと。
もう一度目を覚ましてほしい。笑いかけてほしい。声が聴きたい。君がいたことを忘れたくない。
ただそれだけだったんだ。