憩いの場ってどこですか?
愛されてる、それはありがたい。
どこに出かけるにも、一緒についてきてくれる。
俺は、どちらかといったらベタベタした付き合い方が好きなので、出かけるのに全部ついてきてくれるのも、ありがたい。
だけど。だけど……。
「ねーねー、としぃさん今日ね」
ドアの向こうから、嫁の声。
ガチャガチャっとノブを回す音。
「はいってくんなっ!」
「えーいいじゃん、ちょっとくらい」
「ダメだろっ!」
「なんでよー、ケチぃ」
たまには一人にさせてください。
だって、ここは
「トイレまで一緒に入ろうとすんな!」
そう、トイレなんだもの。
同棲するまでは、なんでトイレに鍵があるのか不思議で仕方ありませんでした。
入ってる間に、家族が入っちゃうからかなぁとか、その程度。
実家のトイレは、一階と二階にあったので、利用するのは少なくて、俺と妹くらい。妹はめったに家にいないし、ほぼ俺だけ利用してたので、かける必要なんてなかった。
けど、同棲したら鍵をかけないと危ないと学びました。
嫁は、いたずらが大好きです。
そして、俺と一緒に過ごす時間も、きっと好きなんでしょう。
どこへでも付いてきます。
お風呂は、一緒に入れる日は嬉しい。たまに嫁だけ先に入っちゃって、俺だけ入る日でも、ドアの向こうにいて話してくれる事があるのですが、とても嬉しい。まぁ、ガラス戸に顔へばりつけて、変顔してくるんですけど。
けど、トイレは、ついてこないでほしい。
俺が嫌がるから、やってるのはわかってるんですが、普通嫌だろう!
鍵をかけずにいると、ドアを全開にされて、嫁はキャッキャと笑いながら逃げていきます。
怒っても頼んでも、嫁がドアを開ける事をやめなかったので、鍵をかけるようになりました。
「どうして鍵なんてかけるのよ! 一緒に入れないでしょ!」
「はいってくんなっ!」
「あーけーてー!」
「開けて何するの?」
「嫌がらせ」
「……」
最近少しブームが過ぎ去ったようで(もしくは、開けられないと学んだのか)、嫁がトイレのドアを開けようとする事は減りました。
だけど、気は抜けません。
いつまた再燃焼するか、わかんないからです。
家の中なのに、我が家は戦場です。
トイレって、ゆっくりできる場所じゃなかったでしたっけ……。