表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

メールが届きました

 仕事中たまーに、ほんと極まれに、俺の携帯に嫁からメールが届くことがある。メールといっても、チャットアプリを介してのものだけど。

 お昼すぎ、大体14時頃、唐突に鳴る携帯。嫁からだ。

 普通は、何かあったのか! と心配するか、火急の用事かな? と不思議に思うかどちらかだと思うけれど、うちの場合は当然違う感情を抱く。

 あぁ、またか、と。

 そして、中を見てみると、いつもどおり変わらない文面。


『どうして起きたらとしぃさんがいないんですか!

 こんなに愛してるのに、起きたらとしぃさんがいないのはおかしい!』


 そりゃそうでしょう、俺は仕事です。


 ちなみに、嫁の理論は、俺の前の会社の社長の理論だ。

 ある日飲み会の帰り、酔っ払った前社長は、こう言った。

『俺が毎日あそこのラーメンを食ってるってのに、今あそこのラーメン屋の店主がいないのはおかしい!』

 おかしいのは、アンタである。

 

 そして、それを聞いた嫁が、えらくそのセリフを気に入ってしまい。

 事あるごとに、俺にいうのだ。


『嫁が毎日としぃさんの事をこんなに想ってるっていうのに、○○してくれないのはおかしい!』

 おかしいのは、お前だ。


 あ、何故こんな変な時間のメールかと言うと、嫁は起きるのが遅いから。

 寝る、という行為が上手にできない嫁は、どれだけ強い睡眠薬を飲んでもうまく寝付けない。そのため、寝るのが遅くなり、起きるのが遅くなる、という訳だ。

 まぁ、それについては、不満なんて一切ない。

 そういう人だと知って付き合っているし、ちゃんと朝ご飯・お昼ご飯の支度はすませてから寝てくれてるので、ご飯にも困らない。たまにサボリはするけど、誰だって完璧にできるもんじゃないってわかってるから、不満に思ったこともない。

 お見送りがないのは、ちょっと寂しいけれど、上手に起きれた日や寝れなくて朝まできてしまった日なんかは、玄関まで送ってくれてちょっと嬉しいので、そのたまにの嬉しさがある分、毎日じゃなくてもいいかなって思ってる。

 ただ、ひとつ。難点をあげるならば。

 遅く起きた嫁は、隣に俺がいない事が不満に思うのだと言う。

 休みの日も、俺の方が先に起きてしまうので、嫁が起きる時には、嫁の隣はいつもカラッポ。

 いつもは我慢している(らしい)けど、それが突然爆発する時がある。

 それが冒頭のメール。

 そしてそれが、いつも俺を悩ませる。


 俺だって仕事したくないし、嫁と四六時中いれるなら、一緒にいたい。

 けど、それができないから、仕事してるわけで。

 でも、それを主張したところで、嫁に通じるはずもなし。

 そして俺はもやもやとしながら、仕事を続けるのだった。


 ちなみに、嫁に

「俺にだって仕事があるんだから、一緒に起きるのは無理だよ」

 と、優しく告げたところ

「それなら、嫁と寝る用のとしぃさんと、お仕事行く用のとしぃさんがいればいいよ」

 と、何馬鹿なの? と言わんばかりの口調で答えられた。


 改めて言う。

 おかしいのは、お前だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ