メールが届きました
仕事中たまーに、ほんと極まれに、俺の携帯に嫁からメールが届くことがある。メールといっても、チャットアプリを介してのものだけど。
お昼すぎ、大体14時頃、唐突に鳴る携帯。嫁からだ。
普通は、何かあったのか! と心配するか、火急の用事かな? と不思議に思うかどちらかだと思うけれど、うちの場合は当然違う感情を抱く。
あぁ、またか、と。
そして、中を見てみると、いつもどおり変わらない文面。
『どうして起きたらとしぃさんがいないんですか!
こんなに愛してるのに、起きたらとしぃさんがいないのはおかしい!』
そりゃそうでしょう、俺は仕事です。
ちなみに、嫁の理論は、俺の前の会社の社長の理論だ。
ある日飲み会の帰り、酔っ払った前社長は、こう言った。
『俺が毎日あそこのラーメンを食ってるってのに、今あそこのラーメン屋の店主がいないのはおかしい!』
おかしいのは、アンタである。
そして、それを聞いた嫁が、えらくそのセリフを気に入ってしまい。
事あるごとに、俺にいうのだ。
『嫁が毎日としぃさんの事をこんなに想ってるっていうのに、○○してくれないのはおかしい!』
おかしいのは、お前だ。
あ、何故こんな変な時間のメールかと言うと、嫁は起きるのが遅いから。
寝る、という行為が上手にできない嫁は、どれだけ強い睡眠薬を飲んでもうまく寝付けない。そのため、寝るのが遅くなり、起きるのが遅くなる、という訳だ。
まぁ、それについては、不満なんて一切ない。
そういう人だと知って付き合っているし、ちゃんと朝ご飯・お昼ご飯の支度はすませてから寝てくれてるので、ご飯にも困らない。たまにサボリはするけど、誰だって完璧にできるもんじゃないってわかってるから、不満に思ったこともない。
お見送りがないのは、ちょっと寂しいけれど、上手に起きれた日や寝れなくて朝まできてしまった日なんかは、玄関まで送ってくれてちょっと嬉しいので、そのたまにの嬉しさがある分、毎日じゃなくてもいいかなって思ってる。
ただ、ひとつ。難点をあげるならば。
遅く起きた嫁は、隣に俺がいない事が不満に思うのだと言う。
休みの日も、俺の方が先に起きてしまうので、嫁が起きる時には、嫁の隣はいつもカラッポ。
いつもは我慢している(らしい)けど、それが突然爆発する時がある。
それが冒頭のメール。
そしてそれが、いつも俺を悩ませる。
俺だって仕事したくないし、嫁と四六時中いれるなら、一緒にいたい。
けど、それができないから、仕事してるわけで。
でも、それを主張したところで、嫁に通じるはずもなし。
そして俺はもやもやとしながら、仕事を続けるのだった。
ちなみに、嫁に
「俺にだって仕事があるんだから、一緒に起きるのは無理だよ」
と、優しく告げたところ
「それなら、嫁と寝る用のとしぃさんと、お仕事行く用のとしぃさんがいればいいよ」
と、何馬鹿なの? と言わんばかりの口調で答えられた。
改めて言う。
おかしいのは、お前だ。