不思議な呪文は、悪魔の言葉
年柄年中眠い俺ですが、最近は特に眠い気がします。
やっぱり、俺がクマだから冬眠の準備に入ってきたんでしょうか。(今更ですが、俺はかなりの大柄です。なので、嫁は俺のことをたまにクマと呼びます。)
眠れる、というのは幸せ。嫁は中々寝れない人なので、そう言いますが、必ずしも幸せじゃないと、俺は言いたい。
うとうと、もう少しで眠れそうな、まどろみの時。夢と現実が混ざり合って、あとちょっとであちらの世界の扉が開きそう。
そんな瞬間、どんっと体にかかる衝撃。
そして、耳元で囁かれる悪魔の言葉。
「じゅろれろどえれぃれうじゅろじゅぃじゅれ……」
お察しの通り、暇を持て余した嫁の仕業です。
俺が寝るのを最初は喜んでいた嫁。
珍しいな、とお思いでしょうが、自分の興味あることに夢中な時は、嫁は俺に見向きもしません。むしろ、鬱陶しいらしい。自分勝手なやつです。
そして時間が経ち、自分の興味対象が終りを迎えた時、暇を持て余した嫁は俺に構って欲しがるのです。
重ねて言いますが、嫁は自己中です。自分勝手の塊が独り歩きしてるようなもんです。
そんな嫁ですから、俺が寝てる事でほっといてくれるはずもありません。
疲れてるんだな、寝かせておいてあげよう。そんな気持ちで黙認してくれるのは、最初の一時間だけ。
冒頭の、衝撃。それは嫁がのしかかって来た事で発生します。遠慮もないし、俺は寝てるので察することができないので、相当の衝撃で目が少し覚めます。
その後の、悪魔の言葉。それは嫁が、巻き舌で何かを訴えている言葉。今のブームみたいですが、いつもながら、嫁のブームは俺にとって面倒なものばかり。ほんと、お菓子作りとか、お料理とかで、ブームが発生してくれたらいいのに……。
そしていつも思うけど、また小声なのが本当に嫌らしい。
大声じゃない分、余計に気になって眠れないっての。
「頼むから……」
「じゅろれるれいじゅれじゅるじゅろれぃ」
「日本語で頼む」
「寝かせてくれ、はナイから。嫁はもう一人は飽きた」
「最初から日本語でいえばいいだろっ」
「嫁言語だよ、最近発見された新しい言語。次の学会で発表されるんだって」
「嘘つくなっ!」
嫁と付き合ってると、新しい発見がいっぱいです。それも、普通ではまず出会わない発見が。
楽しいけど、楽しいけども。
でも、できたら、もっと平穏な生活もしてみたかった。
そう思う俺は、わがままなのでしょうか。
当然の主張だと、信じたい。