嫁ってこういうモンだっけ?
俺は、としぃ。とある処で、整備士をやってる男。
嫁(と言っても、結婚はしてない。付き合って5年ちょい、同棲して半年位の彼女である)は、ゆえ。
一見ごく普通の二人は、実はとっても複雑な関係なのである。
何故ならば、嫁はとってもウザかったのです……。
「たっだいまー」
仕事で疲れて、今日の晩御飯はなんだろうなぁなんて、わくわくしながら扉をあける。
「おかえりー!」
玄関に嫁の姿。帰宅して早々、嫁の出迎え。普通なら、とても幸せなことだろう、普通なら。
しかし、我が家の場合、嫁が玄関で迎える=危険、である。
「アタタタタタタ!」
「いてぇ! いてぇから!」
某拳法? の構えで、襲いかかる嫁。どうやら今日は、DD○○の拳のアニメを見ていたらしい。最近の嫁のお気に入りである。
アニメを見て楽しむのは許そう。痛いくらいに、声優が~と言ってくるのも、まぁいい。
けど、実際にアニメで使っていた技を、俺に使ってみようと思うのはやめてくれ。
「はぁぁぁ!」
腕をゆっくり動かし、よくわからん構えをとる嫁。
「はぁぁぁぁ!」
俺も、負けじと構える。
「たぁっ!」
蹴りと突きを繰り出す嫁の手足を払い、受ける。
最近の嫁のブーム、格闘技ごっこ。
勿論、本物の格闘技をやってる人からは笑われるレベルではあるが、本気じゃないにしろ叩いてくる手は痛い。痛いもんは痛い。
反撃しようにも、嫁は女だしなぁ……。
反撃したら、痛い痛いとうるさいしなぁ……。
なので、払うだけ。
しかし、嫁はご満悦になったようなので、よしである。
満足しない場合は「あ、転んじゃった!」とか、何とか言いながら、パンツをおろそうと狙いかかるので、ここらで満足させなくてはマズい。
なんで、こんなに気を使ってるかって? そりゃあ、嫁がこいつだもの(涙目)。
疲れて帰ってきて、飯を食うでもなく、風呂に入るでもなく、まず最初にすべき事。
それは、暇を持て余した嫁を構う事である。
「今日はね、○○してね、○○してね、そしたらね」
食事の支度をしながらも、一緒にご飯を食べながらも、嫁のマシンガントークは止まることはない。
しかし、結論はいつも同じ。
「だからね、としぃさんが帰ってくるの、ちょー待ってたんだよ!」
普通なら喜ぶべきであるが、嫁の場合はちょっと違う。
待ってた=暇だった、と言いたいだけなのだ、こいつの場合は。
「ごめんねー。早く帰れると思ったんだけど」
「ううん、お仕事はね、仕方ないよ。自分の都合じゃどうにもならないもんね」
聞くだけならば、とても物分かりがいい訳だが。
「だけどね、いないと寂しいの!」
「つまり?」
「暇でしにそう!」
「大丈夫、暇で死ぬやつはおらんでーな」
「死ぬ! 今すぐ死ぬ! やばい、暇死する!」
「はいはいはい」
「ぶーぶーぶー」
ちなみに、暇死も、暇で死ぬも、嫁は毎日言っている。
が、まだ死んではない。死ぬわけがない。
しかし、嫁に言ったところで、話が長くなるだけなので(主に嫁の妄想による、死亡時の状況を語られる)言わない。
「ねーねーねー、構って構って構って構って」
「構ってるやん」
「もっとこう、ネッチョリでモニャッとしてて、ムフッとするのがいい」
「なにそれわからん」
「えーダッサー。知らないのー? あたしもしらなぁい」
「イラッ」
こういう時の嫁は、ほんとにイラッとする言い方をする。顔もめちゃくちゃドヤ顔。
スルーが一番いいのだろうが、ここでイラッと言って握りこぶしを作ってやれば、嫁は喜ぶので、あえてそうする。スルーした後に、数百倍ウザくなるからではない、断じて。
……ねーねー構って、が何言っても繰り返されるとか、どうしたらいいんだ。
これが俺の嫁であるわけですが、みなさんの嫁はどうですか?
嫁と俺の、共通の友人であるIに
「嫁がウザいんだけど」
と、言うと
「そんな当たり前の事、今更?」
と、言われます。
そんな俺と嫁とのエピソードは、まだまだ続きそうです。
嫁がネタに飽きるまで。
まぁ、飽きたら飽きたで、次のブームが来て、俺は構わなきゃなんないですけど。
願わくば、痛くないブームだといいなぁと思いました。