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人生のバトンを渡すということと先に進むということ

掲載日:2025/12/30

何かアップしたくて書き上げた短編になります。

よって登場人物の名前決めが苦手な私は、主人公をAとし母親をBとしました。相手の男性だけは名前が決まっています。何卒ご了承いただけますと幸いでございます。

私自身オタクでこの年で独身。

見かけるインターネットの情報でもこういう方がいらっしゃるとか、何かのオタクで独身で実家住まいは多いんじゃないかと思い、自分自身出来ていないことですが、どうにかそういったエネルギーを放出いたしたく書き上げた次第です。

「来ていると思うんだよね」

右手をあごに添えてそう呟くAに、母は封書を差し出しながら告げた。

「あなた宛てのカードの請求書なら来てたわよ」

Aは一瞥するだけで、受け取らずにテレビの画面を見て嬉しそうに目を細める。

「あの俳優好みなんだよね」といい、お菓子をつまむと、また「売れて欲しいよね」と同意を求めているのかいないのか呟いている。

母からため息がもれた。

「私は、あなたが売れるのを望んでいるわ。早く孫を抱かせてちょうだい」

「お母さん。いろいろスッとばし過ぎてる」

Aを見る母。目が合う二人。

「お母さん、相手ってどういう人がいいの?」

「あなたが良いと思った相手にしたらいいのよ」

「そこが難しいんじゃない」

「はぁ」

「お父さんとはどうして結婚したの?」

「なに?」

「いや、何が決め手とか」

「だから言ったでしょ。自分で”この人!”だって決めたらいいのよ」

「後悔したり」

「しないわけないじゃない。でもそれでも別れるかと問われれば別れない。それだけよ」

「うわぉ」

「お父さんの靴下の脱ぎっぱなしは残しておいても、家の掃除の参加については母さん頑張ったんだから」

「ばぁー」

Aは何て言う赤裸々なことを聞いてしまったんだ。

この場にいない父に、母が抱いたであろう”掃除も脱いだ靴下も洗濯籠に入れるのやれよ”という怒りと同情を向けた。

Aの頭の中に、上司である妻帯者の男性の姿が思い浮かんだ。冷静な態度で静かに指摘や注意をしてくるその上司も、家では奥様に母が父にしたように、何かしら怒りを向けられたことがあり、生活能力面での不出来なところを厚生なのか更生なのかされているかもしれないと思い浮かんだ。

「……」

「私も相手ができたら更生させられるの?」

呆れた顔して母は言う。

「あんた父さんに似たところあるものね。辛抱強く付き合ってくれるくらいの人の方がいいかもね」

Aは衝撃を受けた。

「私、お父さん側なの?」

「何言ってるの。さっき自分で、”相手ができたら更生させられるの?”ってきいてきたじゃないの、まったくもう」

「ばぁ?!」

「なに、その”ばぁ”って。もうちょっと男性が思い描く女性らしい驚きの声を発するようにしなさい」

大きなお世話だと思ったAだったが、母はそのことを見抜いているようで、

「相手の指摘を聞き入れないなら、別れるしかなくなるのよ」

「えっ! マジで?」

頷く母。

「今私の指摘に拒否反応示したでしょう、あなた」

頷くA。

「それ、つまり恋人が直した方が良いと考えているそのことを拒否したわけよ。一緒にいるにあたって嫌だなって思われていることをそのままにしたいって意思表示を向けるということよ」

「げっ」

「そう、一緒に時間を共にする人がそうなら嫌でしょ」

Aは反省をしたようで、俯いて、「そうだね」と力弱く答えた。

「あなたもあなたを見てあげないと。向き合いなさい。そうして相手ともきちんと向き合うことね。それができる相手と一緒になったらいいのよ」

顔を上げて母を見たAは、口を開いて質問しようとすると、母は「言わなきゃいけないのね、あなたは」時計を見る母は、「そんなところまで父さんと一緒なんてね」

「あなた相手のことを一目見て運命の人だと分かるわけない、じゃあどうしたらいいのか歎いている場合ですか。現実受け止めて、出会う人で合う人と誠実に向き合って自分を見つめなおすしかないのよ」

「つまり」

「はぁ……そんな素敵な男性と出会えるように行動するのよ。休日は出かけて、平日の夜はたまに外食して、飲み会だろうが合コンだろうが友や同僚や先輩の知り合いだろうがどういう人間なのか教えを乞うて隣が空いているなら紹介してもらいなさいってことよ」

「お、おお。バリバリの営業職みたい」

「あんた」

明らかに母はまたしても呆れている表情をAに向けた。

「私、内勤の事務だよ」

母はAへ何やら父親へも向けただろう怒りも込められた思いを視線に込めて見つめた後に告げた。

「なら、内勤事務なりに攻略方法見つけて、動いてみなさい。まったく」

母親の剣幕のボルテージがだんだん上がっていることに気が付いたAは、頷くことにした。相手に従わなければ、嵐が家庭内に吹き荒れることになる。

「わ、わかった。やってみる」

「そうよ。まったく、あなたときたら」

「この際、ひとりで住んでみる?」

「ん? ヴヴェッ?!」

「あなたいったい何人になってしまったの? ”ヴヴぇっ”て」

「母さんがビックリすること言うからでしょう」

「そう、ちょっと考えたことあったのよね」

「や、やめてよ」

焦ったように止めにかかるA。

「推し活少し休んで、婚活しなさい」

いいことを思いついた。

「そうよ。やっと言えたわ。推し活、結婚できるまで控えておきなさい。その浮いた分のお金を婚活に使うのよ」

Aは、母親のエンジンがかかってきたと思った。

「善は急げね」

母親がリビングを出て二階に上がっていった。

「母さん」

「ちょっと」と焦るAは母親を追いかけて二階に上がる。母親の後姿が見えた。やはり、行先はAの部屋だ。

「マジか」

「入るわよ」

「げっ」

Aは心の中で叫んだ。

私の推したちが!!

続いて入室した娘のAに母は告げる。

さぁ、模様替えするわよ。

「お母さま。今からすることあったんじゃない?」

「何言ってるの、今日はあんたとこの話しをする以外の大事な予定は入れてないわよ」

Aは「Oh~、ジーザス」と歎いた。

逃れられない運命を感じたのだ。

お父さんに助けを呼ぼうと考えるも、一瞬で消え失せた。

ダメだ奴は。

こうして母に更生させられた人物だった。

助かる道は、自分でも率先して推しのアイテムを仕舞い、大切に保管できるように流れを作るしかない。そうして従いつつ守るんだ。

そう決意したAは、観念して言った。

「母さんがこのまま手伝ってくれるなら……」

「……そんなところまで父さんに似なくていいのよ……じゃあ、とりあえず余っている箱があるからそれに入れちゃいましょう」

「えっ」

「新聞紙に包んだりクッション代わりにして置いておいたら。それでもダメ?」

「わかった。あとでもっと良くする」

「呆れかえるわ、その根性」

「任せておいて」

「褒めてないのよ」

「わかったから、もう」

Aはメモとペンを用意して、誰をどの箱に入れていったか、どんな収納アイテムが必要か書いた。

母は思った。

やると決めると、早いんだけれど。本当に腰が重い子ね。

母はそんな娘の姿を観ながら、娘についての性格や特徴、生活スタイルを書いた用紙を作成して娘に突き付けて、反省を促しつつ自己理解を深めさせようと決めた。

唐突に母親の頭の中にさきほど娘に発言していた言葉が思い浮かんだ。

”ひとりで住んでみる?”

この言葉が背中を後押ししたのだとしたら……やっぱり料理や弁当を洗うことなど家事をさせなきゃならないわね。心構えを変えてやらないと。

とてもじゃないけれど、もうすこししっかりしてもらわないと、相手に申し訳ないわ。

さらなる決意が母親の中に目覚めた瞬間だった。

やることリストに段々加えられていく。

これは生活スタイルも変えさせるってことだから、いっそのこと本当にこの推しのアイテムを仕舞うだけじゃなくて、もっと大人の女性らしい部屋に変えないと。

ここは花嫁修業のようにいくらか出費をこちらでもしないと実現は厳しいだろうと、母親に娘の経済状況まで凡そ把握され、予定が組み込まれていた。

母親は娘のパソコンを使おうと、声をかける。

「ちょっと、パソコンで検索できるように、立ち上げて頂戴」

「えっ、何に使うの」

「この部屋を自分の意見を反映させて素敵にしたいなら従いなさい」

「あ、あぁ。なるほど。アイアイサー」

Aは推しをしまうのを中断させて、デスクの上のノートパソコンを立ち上げた。

検索エンジンを開いてから母親に声をかけて推しを大切に仕舞っていく。

母親は「ありがとう」とお礼を述べるも、眼差しの先にある娘のそんな姿に、「飾るタイプだと片づけるのも時間がかかるわね」と呟いた。

なんと「ちょっと待っててね。またちゃんとした収納アイテムで仕舞ってあげるから」とアイテムに呟くAの声は少女のようだった。

やっぱりやめさせようかしら推し活と娘の年齢を思って考える母親だった。

いや、今は部屋の感じをどうするのか、良い見本となる画像を検索しなければと頭の中を切り替えた母親は、検索エンジンにキーワードを入力していった。

いくつかの候補となる画像をプレゼン用の資料を作成できるソフトに貼り付けて、コメントを記入して、ファイルを保存した。

娘の様子を確認するために振り返った母親が目にした光景は、段ボールに詰め終わった娘が、その段ボールを仕舞う場所のクローゼットの中を整理整頓している姿だった。洋服以外のモノもいっぱいに入っている。

「あなた、旦那さんを探す前に、本当に自分を整えないといけないのね」

声が聞こえていないのか、モノの位置を「あーでもない。こーでもない。これならいけるか」と動かしている。

娘の肩をつかんだ母親は、言った。

「とりあえず、全部出しなさい」

「えっ」

「クローゼットに仕舞っているモノに今度は向き合うわよ」

そう告げなら次々と出していく母親の姿に、後戻りできない大仕事になると娘のAは覚悟を決めた。

「せめてお昼ごはん出前にしよう」

「いいわよ」

ガッツポーズを決める娘に笑顔を向けた母親は、娘のやる気がみなぎっていく姿を目にすると、「さぁ、さっさと出して見ていくわよ」と声をかけた。

「うん!」

「”うん”じゃなくて”はい”よ」

「はい」

洋服・鞄・帽子・学生時代の思い出の品・重要書類・部屋で使用している家電製品の取扱説明書・雑誌・使用しなくなったドライヤーなどの家電製品の中には学生時代に遊んでいた携帯ゲーム機の本体もあった。化粧品など美容アイテムの中身が残ったままのも何本かある。

「ちょっと取りに行ってくる」

母親は階下へ下りていった。

娘も後に続いて飲み物をとりに行った。

母親は段ボールを持ち出し、ビニール袋を取り出していた。市区町村指定のゴミ袋である。その種類はさまざまでどんなゴミにも対応できるようにしているようだ。半透明のビニール袋は袋ごともっていた。

「ぶっ」

その使用用途が瞬時になんのためか分かった娘は飲んでいた水を吹き出しそうになった。

こりゃ、大改造ビフォーアフターくらいの大事になる。

アーメン。

神様仏様。

私、更生させられます。

どうか、見捨てないでやってください。

今後とも宜しくお願いします。

Aは歎きつつ今後の自分の人生に幸運が訪れますようにと祈った。

「母さんの分の水も持っていくね」

「ありがとう」

二人はせっせと二階に戻った。

「さぁ、片づけるわよ」

「おお!」

そこからはあっという間だった。

「ついでに母さんたちの部屋もしたい」

と言われた時、Aは体力的にやめてくれと思ったが、さっさと自分の部屋に移動する母親についていくしかなかった。

置いていったゴミ袋を持って移動するA。

もうすでに母はあれこれ出していて、「これいらない」と分けていた。

それらを分別していくA。

作業分担が何も言わずに成立していた。

どんどん進んでいく。

中には明らかに父親の物もあった。

「いいのこれ?」

「何が?」

Aは手にしている父親の物を母親に見せる。

「あぁ、何年もしていないし、以前そのことについて訊ねたらしないって言ってたからいいのよ」

お父さん。お母さんは捨てる気でいるよ。

Aは父親へと心の中で囁いた。

ゴミ袋へ入れていく娘の心では何故か涙が流れていた。

お父さんとお母さんの扱い方や生活の行動の決めてや実行についてのはかなさや哀愁を感じたんだと夫婦の歴史に久しぶりに触れたAには何故か堪らなかった。

ごめん、お父さん。

袋に入れていくAは謝りながら次々と分別をしていった。

母親はあらかじめどこの物をどうするか決めていたようで、テキパキと進めていった。

「すごいね。考えてたの、捨てるの?」

「そうよ。父さんにも確認とってあるから大丈夫よ」

「な、なんだ。そうだったんだ。よかった」

「あなたもこういう時は本人の確認はしっかりとっておくことよ。しかも納得していただいている場合は問題にならないから。そこらへんは注意が必要よ」

「ホントだね。私焦ったもの、さっき」

「いくらなんだって、許可とってなくて捨てることなんて、怒ってどうしようもなくなった時くらいしかないわよ」

「お、おう」

Aは心の中で”あるんだ”と思った。

「こんぐらいかしら」

母親のアイテムも半分くらい入っていることに何故か安堵感を得たAは、にこにこし始めた。

「掃除機持ってきて」

母の命に従ったAはすぐにとってきた。

「ありがとう」

「下から拭けるように持ってくるね」

「えぇ。そうしてくれる」

「わかった。まってて」

階下へ降りていく娘の後姿が若干頼もしく感じた母であった。

「さっさと終わらせないと、娘のところまだ途中だったわ」

掃除機をかけ始める。

雑巾と除菌付きスプレーを持って戻ってきたAは母に置いておくと告げると、自分の部屋に戻っていった。手にはビニール袋を掴んでいた。

自室に戻ったAはクローゼットのアイテムを再度見直しにかかった。母の思いっきりの良さや日頃からどうするのか対策を練っていたことが解って触発を受けたようだ。

さらに選んで分別してゴミ袋へと入れていった。

机の方を見る。

「ここもしておくか」

机の引き出しや本だなになっているところも断捨離をすることにした。

要る物・要らない物・分からない物とに分けた。

要らない物を分別してゴミへと出せるように、整えていく。

要る物と分からない物を拭き掃除をして、要る物と分からない物を別々にそのまま置いておいた。

すると母が戻ってきた。

「やってるわね」

嬉しそうに言う母の顔は清々しいものだった。

ノートパソコンの前に移動する母親はAを呼んだ。

「こんな風にピックアップしてみたんだけれど。どう?」

「どれどれ」

見ていく中に北欧系や木目系の柔らかい印象のものがいくつか並んでいる。取り入れたい大人可愛いとカッコいいを足したような部屋にしたいと感じたAは、次々に「この画像のこれを取り入れたい」とリメイクの要素を上げていく。その中のものを実際どう配置するか今部屋にあるもので実現可能かを考え始めた。

アイデアを出しあう二人。

「いちど移動させるわよ」

「ラジャー」

机とベッドを移動させて、棚もどけてから配置を決める。

落ち着いた白に近いベージュものと差し色を設けて今ある木目調のデスクやベッドとのデザインを統一させることにきまった。

机や棚にものをしまっていく。

良く使う物を手前にして年に一回しか使わないものは奥に仕舞う。

「ぐうぅぅぅ」

「で、出前とりましょう」

母親も体力を使ったようで、ため息をつきながら告げた。

「う、うん。助かった」

「こうなったらスタミナ系にしなくちゃね。お重にするわよ」

「なっ、マジで?!J

「その代わり絶対成功させるわよ」

「わかった」

なぞのやる気に満ち溢れてきた二人は注文を終えると、鼻息荒く頷いて、続きを行った。

しばらくして玄関のチャイムがなった。

二人は思わず、「やった」や「来たー」と叫んだ。

「はーい今行きます!」

娘のAは元気で大きな声で出前を運んでくれた人物へと声をかける。

振り向きもせずに、母親へ告げる。

「お母さん。お金お金」

「はあい、今持っていくから受け取っておいて」

「はーい」

玄関を開けるとそこには若い男性が立っていた。

急に恥ずかしくなったAは、「すみません、お待たせしてしまって」と告げると、扉を大きく開けて、受け取る。

「今、お金用意しておりますので」

と知らせると母親が財布を持って現れた。

「お待たせしました」

「こちらこそ、待たせてしまって。いくらになりますか」

支払いを済ませていく。

Aは受け取ったお重をダイニングのテーブルに移動させていて、直ぐに食べれるようにセットしていっていた。小分けのパッケージに入ったお吸い物をのめれるように用意する。

「失礼ですけれど、あなた独身の方」

「えぇ、そうですけれど」

「お付き合いされている方は」

「えっ、いえ」

「そう……おいくつ」

「あ、あの。年齢ですか」

その時、部屋の中から、「母さん」と呼ぶ声がする。Aだ。

「友人からでもいいのでお付き合い願えるかしら」

玄関に当の本人が現れたAは「用意できたよ」と母へ告げる。

二人の雰囲気に違和感を感じたAは「どうしたの」と訊ねた。

「あなた携帯電話持ってきなさい」

「待ってて、私も持ってくるから」

「え?」

「え?」

Aと配達に来た若い男性も驚いている。

「いや、どういう状況」

「ほら」

それでも促す母親にしがたい玄関に持参したA。

「連絡先を交換したい」と告げた母親に目を見開いて声もなく驚いたAは、ゆっくり母親を見た。

無理無理相手の顔なんて今見られない。目を合わせらんないよ。

とAは焦りながら目で母親に訴えた。

母親の眼差しはものすごく力強いものだった。

ぐうの音も出ないAは、はっと気が付いた。

これが、母親がこうしなさいと告げていた営業職のような婿探しの方法なのではと。

自分の母親の行動力のありように感服したAは、「申し訳ありません」と枕詞を使い、ことの事情をこの若い男性へ説明した。

「友人と申しますか、男性目線で私とお付き合いしていただきフィードバックをいただければと考えております。年齢的、好みの異性でないかどうかもありますのでそのことを踏まえて、えぇーお教え願えれば……」

「母さんは、呆れたはわ」

「何言ってるの」と母親のボルテージがあがった。

「ごめんなさいね。この年になるまでろくにお付き合いもしてきていないようで。それでいて推し活には励んでいるもんだから。もうそろそろ孫を抱きたくってね。それで今推し活を控えさせて婚活をさせ始めたところなの」

「あぁ。なるほど」

若い男性も何事なのか飲み込めたようで、笑顔を見せた。

「面白いのでいいですよ。今バイト以外暇ですし」

「まぁ、じゃ、娘だけとじゃ心配だから私とも交換してくださる」

「はい、わかりました」

心の中で泣いているAを気遣ったのか若者は自己紹介をし始めた。

「自分はS大学に通っている3回生の竹生流星と申します。家は隣のX町になります。以後お見知りおきを」

「まぁ、ご丁寧にありがとうございます」

「私、主婦の前は○〇社で経理担当をしておりましたAの母親のBと申します。経理面でお困りのことがあれば、ご相談ください」

「ありがとうございます」

「ちょっと失礼します」

そう言って娘Aは室内に消えていった。しばらくして戻ってくると、会社の名刺を持ってきていた。

「こちらどうぞ」

そう言って、名刺を差し出す。

「こちらの××社の事務方として勤務しております。NAともうします。さきほど母が申しておりました通り男っ気がなく、そのお付き合いもないもので、そのですね自己理解や相手ありきの長期的な濃いお付き合いで必要なことがみについておりません。その自身の見直しをし始めたところでして、申し訳ありませんが、お付き合いいただいて、ダメ出しやあなたの意見などお聞かせ願えれば幸いです。結婚願望もありますので、結婚のあとは末永くお幸せにっという人生全うするというところまで生きたいとは思っております。ときましては、その道中お付き合いしていただければと思います」

「分かりました」

笑顔で承諾してくれる竹生流星に深々とお辞儀をして連絡の交換をする。

そんな娘の姿に、満足そうに頷いた。

母親が初めて目にする娘の仕事モードの時の姿だった。


あの時から三年目の春、Aと竹生流星の姿が結婚式場にあった。

「病める時も健やかなる時も愛し慈しみ合うことを誓いますか」

「はい、誓います」

母親の腕の中には赤子が寝ていた。

誓いのキスをして、頬染め見合うAと竹生流星。

鐘の音と、祝福の声が晴れやかな会場に響いた。

祝福するかのような晴天の中。

「おめでとう」

の声が彼らを包んでいた。

Aの脳裏に、これまでの三年間で自分自身を見つめて向き合う。竹生流星も自分を見つめ向き合うということをしてきた。

お互いの感情が溢れ、時には涙し喧嘩をしては仲直りをして、本当のことを話し合った。

そしてお互いが自分のことも相手のこともすべて受け止めてきた。受け止めてから発してきたのだ。想いを言葉を行動を。

そしていくうちに授かった命を二人は守ると誓い合った。

今日という日はその証なんだ。

父親は泣いていて、母親も孫をあやしながら目に涙を浮かべていた。

「さぁ、新たにまた始まるわよ。ねぇ、頑張って一緒に生きていきましょうね」

歓声が上がる。

ブーケトスされたのだ。

歓喜に湧く若人たち。

そうしてまたバトンが渡された。





いかがでしたでしょうか。

後半、長編にして実際の向き合う姿を描けよと思われた読者の方々多いかと存じますが、体力がありませんでした。

すらすら頭に思い浮かぶというよりは、どうにかこうにか願いを込めて動いていただいた彼らを支えタイピングをしていくのがなかなかしんどいことなので、1,2時間の短時間しか集中して書き上げられないので、いまだそれだけの体力であるということでこうなっております。後半そのため早足になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ご感想などお待ちしております。

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