表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/75

第9話 削除と再生

 炎の戦士リクが消えた場所には、黒い灰だけが残っていた。

 リアは膝をつき、言葉を失う。

 > 「リクが……いない……」

 > 「……“削除済み”って、そういうことか……」


 照の手の中で懐中時計が震えている。

 針は激しく回転し、まるで怒りを表すように火花を散らしていた。

 > 「九条……お前は仲間まで“文章”扱いするのか。」


 その瞬間、空気が震え、光が散る。

 灰の中から小さな光が立ち上がった。

 それは“文字の欠片”。リクの名を形作る一粒の光だった。


 > 「……これは……」

 > 「もしかして、リクの“コード”?」


 リアが手を伸ばすと、欠片が彼女の胸に吸い込まれた。

 その瞬間、瞳が赤く燃える。

 > 「テル……リクの力、まだ消えてない。」


 彼女の背に、炎の紋章が浮かび上がる。

 > 「リクの“物語”は、私たちの中に生きてる。」


 照は頷き、時計を掲げた。

 > 「じゃあ書き換えよう。削除じゃなく――再生だ。」


 針が静かに動き出す。

 青い光が、リアの炎と混ざり合い、

 世界の文字がゆっくりと反転を始めた。


 > 「境界装置、再構文モード起動――!」


 黒い壁に亀裂が走り、リクの姿がぼんやりと現れる。

 彼は苦笑いを浮かべた。

 > 「ったく……俺の出番、まだ残ってたか。」


 リアが涙を拭い、笑った。

 > 「当たり前でしょ。あなたは物語の仲間だもの。」


 リクは照に親指を立てた。

 > 「ありがとな、現実人。お前の物語力、なかなかだ。」


 その背後で、九条の声が響いた。

 > 「再生……か。

   だが“作者”に逆らうなら、その代償は命だぞ。」


 天井が割れ、巨大な羽根ペンが降り注ぐ。

 それは“物語の神”の手。

 照は歯を食いしばり、リアとリクを庇うように立ちはだかった。


 > 「俺たちが“読む”限り、物語は死なない!」


 光が弾け、世界が書き換えられる――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ