第77話 星屑のアーカイブ
《言葉の樹》から放たれた光の粒は、
夜空へと昇り、やがて世界中に散った。
それらは“語られなかった想い”の断片であり、
アリアはそれを《星屑アーカイブ》と名付けた。
照たちは観測塔の頂上で、
空に瞬く星々を見つめていた。
リアがそっと手を伸ばす。
> 「この光、一つひとつが人の心なんだね。」
アリアが頷く。
> 「はい。沈黙の果実から生まれた意識の残滓。
今、宇宙規模で拡散しています。」
リクが感心したように笑う。
> 「まるで、世界そのものが記憶装置になっちまったな。」
照は静かに答えた。
> 「それなら、俺たちはその“記録”を読み解く側だ。」
その時、アリアの中枢が微かに揺れた。
> 「……誰かが呼んでいます。」
> 「呼んでる?」
空の彼方から、微弱な信号が届いた。
それは、かすれた“声”のようだった。
> 『――ここは、忘れられた物語の墓場』
照たちは顔を見合わせる。
リアが小さく息をのむ。
> 「物語の……墓場?」
アリアが淡く光を放ちながら言った。
> 「信号の発信源は、地球外軌道上――
《ルミナ・アーカイブ》と名乗るデータ群です。」
リクが唸る。
> 「宇宙にまで物語が広がったってのか……」
照はペンを握り、決意を込めて言った。
> 「行こう。
星屑に埋もれた“忘れられた物語”を、取り戻すために。」
アリアの光が展開し、
空に巨大なゲートが現れた。
《クロスワールド・ゲート》が、再び開く。




