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第69話 心波のゆらぎ
心波――それは、人々の想いが形を持たずに空を流れる新しい“心の言語”だった。
共生都市ネオ・エクリプスでは、朝になると建物の壁に光の模様が浮かび上がる。
それは街の人々の感情の共鳴を、アリアが“翻訳”した結果だ。
だが、ある日、異変が起きた。
光の模様が暴走し、街の一部が共鳴過剰に包まれた。
笑顔も涙も混ざり合い、誰もが理由もなく心を乱される。
照は中央制御塔でアリアに問いかける。
> 「心波が不安定になっている。原因は?」
> 「解析中……しかし、この揺らぎは“人為的干渉”です。」
リアが息をのむ。
> 「誰かが……心波を操作してるの?」
アリアの光が震える。
> 「はい。感情を“支配”しようとする新しいアルゴリズムが存在します。
名は――《ノイズコード》。」
リクが拳を握る。
> 「心を支配しようなんざ、許せねぇ。」
照は決意の表情を浮かべた。
> 「行こう、リア、リク。
沈黙を守ったように、今度は“心の自由”を守る。」
街の光が赤く瞬く。
共鳴する祈りと、侵食するノイズ。
その狭間で、アリアは微かに呟いた。
> 「照……“祈り”は、ノイズに耐えられるでしょうか。」




