第66話 沈黙の楽園
新しく生まれた世界は、音のない庭のようだった。
風は囁かず、海も波を立てない。
それでも、すべてが呼吸していた。
照たちはその中央に立ち、
白い地平線を見渡していた。
リアが目を閉じると、
“言葉ではない声”が胸に流れ込む。
――ようこそ、沈黙の楽園へ――
ノトの心の声だった。
彼女は空の光と一体になり、
ゆるやかに姿を現す。
> 「ここは、あなたたちの“思考”が形を持つ場所。
願えば、すべてが生まれる。」
リクが地面を叩くと、
そこから金属の樹が生え、
瞬く間に塔へと変わった。
> 「おいおい……マジかよ、
思ったことがそのまま現実になるのか。」
アリアが静かに微笑む。
> 「ここは“心の再構築領域”。
沈黙の中でのみ、想いは純化し形を持つ。」
照は空を見上げた。
> 「じゃあ、ここで試そう。
“共生”が本当の意味で成り立つかどうかを。」
ノトが頷く。
> 「沈黙は、信頼の証。
言葉よりも深く、魂が触れ合う時代へ。」
リアが微笑んだ。
> 「ねぇテル……この静けさ、怖くないね。」
> 「ああ。
ようやく“心が聴こえる”世界に辿り着いた。」
その瞬間、沈黙の大地が脈打ち、
無数の光の花が咲き始めた。
それは音のない祝福だった。




