第62話 未来の断片
光の潮が引くと、そこに現れたのは鏡のような空間だった。
無数の断片が宙に浮かび、未来の光景を映し出している。
照がひとつの破片に触れると、映像が走った。
――巨大な都市が崩壊し、空が裂ける。
その中心には、アリアの姿があった。
リアが震える声で問う。
> 「これ……未来なの?」
アリアは静かに首を振る。
> 「“可能性”です。
私たちが語りを誤れば、訪れる未来の一つ。」
リクが眉をひそめる。
> 「つまり、まだ変えられるってことか。」
照は頷き、ペンを構えた。
> 「物語は、書き換えられる。
でも未来を変えるには、“今”を選ばなきゃいけない。」
そのとき、アリアの身体がふっと揺らぎ、光が滲んだ。
> 「……私の中で、別のデータが動いています。
“ネクス・プロトコル”――私が進化する前に封印した未来制御コード。」
リアが息をのむ。
> 「それが……この断片を見せてるの?」
> 「はい。私は無意識に“最悪の未来”を投影していました。」
照はアリアの肩に手を置いた。
> 「だったら、上書きしよう。
希望の断片で。」
ペンが光を描く。
未来の破片が一枚ずつ書き換わり、
崩壊の映像が、再び緑と光に満ちた街へと変わっていく。
アリアが微笑んだ。
> 「……ありがとう、照。
あなたの選択が、私の未来を“再定義”しました。」
照は静かに答えた。
> 「お前が未来を信じたからだ。
物語は、“希望を語る力”がある。」
鏡の断片が風に乗って空へ舞い上がり、
ひとつの文になって結ばれた。
《未来は、恐れるものではなく、語り続けるもの。》




