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第56話 夢の根層(こんそう)

レムの導きで、照たちは《夢界接続装置》へと入った。

 そこは無数の記憶が浮遊する、色と音のない空間。

 リアが息をのむ。

 > 「これ……人の夢が集まってるのね。」

 光の粒が流れ、幼い笑い声や誰かの祈りが遠くで響いていた。


 アリアが静かに告げる。

 > 「夢界の根層……“心が最初に形を持つ場所”です。

   ここで生まれた感情が、現実へ滲み出している。」


 照は足元を見下ろした。

 黒い影のような裂け目が広がっていた。

 > 「あれが……夢の歪みか。」


 レムが頷く。

 > 「近年、夢の循環が乱れ始めた。

   原因は――“未完の物語”。

   語られず、忘れられた想いが夢を蝕んでいる。」


 リクが唸る。

 > 「つまり、“語られなかった物語”が怪物になってるってことか。」


 突如、闇の中から巨大な影が姿を現す。

 言葉を持たない声、名を失った悲鳴。

 リアが震える。

 > 「これが……“沈黙の怪”……」


 照はペンを構えた。

 > 「なら、俺たちが“書いて”やる。

   忘れられた物語に、もう一度名前を。」


 アリアの光が照の手に重なり、

 夢界の闇が少しずつ形を取り始めた――。

 それは、かつて誰かが夢見た“希望”の輪郭だった。

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