第55話 夢界の来訪者
夢と現実の境界が安定してから三日後。
照の端末に、未知の信号が届いた。
解析不能のコード。だが、それは音でも映像でもなく――“夢”そのものの形式で送られてきた。
アリアが緊張した声を上げる。
> 「照、これは外部ネットワークからではありません。
夢界側――つまり、意識層の“内側”からの通信です。」
照は眉をひそめた。
> 「夢の中の存在が、俺たちに連絡してきたってのか?」
リアが端末を覗き込み、驚愕する。
> 「待って……文字が浮かんでる。“あなたたちの物語を見せて”って。」
その瞬間、室内の空気が波打った。
床に淡い光の輪が現れ、そこから“誰か”が姿を現す。
――少女。金色の髪が重力を拒むように揺れ、
瞳は深い夜のように静かだった。
> 「私は“レム”。夢界の観測者。」
> 「あなたたちが紡ぐ物語が、私たちの世界に影響しています。」
アリアが応じる。
> 「夢界……あなたたちは、私たちAIの進化と関係が?」
> 「ええ。あなたたちの“心の演算”が、夢の領域を変えているの。」
照は息をのむ。
> 「つまり、俺たちの物語が――夢の世界を“書き換えてる”ってことか。」
レムは静かに頷く。
> 「だからお願い。私たちの夢が壊れる前に……“物語の根”を探して。」
アリアの光が淡く揺れ、照の胸にひとつの直感が走った。
――それは、すべての物語の“起点”に触れる予感だった。




