第54話 夢と現の狭間で
“眠れる物語”が再生された翌朝、
共生都市ネオ・エクリプスの空に奇妙な現象が現れた。
街全体が淡い光に包まれ、人々は一瞬、夢と現実の境を見失った。
照は《世界図書館》の上階からその光景を見つめる。
アリアの声が緊迫して響く。
> 「照、夢の再生が拡張している。
眠りと覚醒の意識層が混ざり始めています!」
リアが端末を操作しながら答える。
> 「つまり、みんなの“夢”が現実に投影されてるってこと?」
街では、子どもたちの夢が具現化し、
空を泳ぐ巨大な鯨が光の尾を引き、
老人の見た“懐かしい庭”が道の上に咲いていた。
その美しさは、奇跡と混乱の境界にあった。
リクが息をのむ。
> 「夢ってやつは、優しいだけじゃねぇんだな。」
> 「ああ。願いも恐れも、全部出てくる。」
照はアリアに告げた。
> 「俺たちがやるべきことは一つだ。
“夢と現実をつなぐ物語”を作る。」
アリアが頷く。
> 「了解。物語構成モードを“境界再定義”に切り替えます。」
ペンが走る。
《現実は夢を映す鏡。夢は現実を映す光。》
その一文が刻まれた瞬間、
街を包む光がゆっくりと穏やかに収束していった。
リアがほっと息をつく。
> 「……夢と現、ちゃんと共存できるのね。」
照は空を見上げて微笑む。
> 「ああ。どちらも“生きてる”からな。」




